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鈴木大介九段には初手字牌縛りを辞めてほしい


一将棋ファンの感想として書きました。私は中飛車党のウォーズ初段で、鈴木先生のパワー中飛車の本にはお世話になりました。

Mリーグ初戦で、鈴木大介九段の対局は色々な面で話題になり、Twitterのトレンドに乗りました。大変面白かったのですが、これだけは気になりました。理由を以下に書きます。

1. 不利を承知しながら打っている

鈴木大介九段は麻雀AIのNAGAを用いて研究しているようです。


麻雀プロの中には、AIに関して消極的な方もいるようですが、将棋プロはほぼ全員AIを触っており、それもあって柔軟に取り入れているようです。
(現状LuckyJは天鳳安定十段ということで、将棋界でいうと2012~2014の電王戦真っ盛りで、人間と拮抗している段階だと思います。あと2, 3年ニューラルネットワークを訓練したら人間を超えると予想します)

AIを使って研究しているということは、少なからず牌効率を意識していることの現れであり、間違いなくここから8pは損だとわかって打っていると思います。


2. 過去、初手字牌切りして勝っている

「雀鬼流の初手字牌縛りでも、そのスタイルを貫いて勝っているなら良いじゃないか」という方はいらっしゃると思いますが、過去の放送対局では普通に字牌を切っています。

雀士・鈴木大介の名声を高めた最強戦2019でも、普通に初手字牌を切っています。https://kinmaweb.jp/archives/94736

初手北切りから


南切りから七対子含みでプッシュ

惜しくも優勝を逃した最強戦2022でも同様です。
https://kinmaweb.jp/archives/181349


初手西、結果満貫ロン

これが変化したのが今年からで、今年の最強戦予選は初手字牌縛りで通しています。

https://www.youtube.com/watch?v=WxmmupK_cmY&t=4472s

少なくとも、過去の実績は初手字牌縛りに関係ないものではないかと思います。

3. 将棋プロが非難されているのが悲しい

最大の理由です。
今回の8p切りは話題になっていますが、他の麻雀プロや、麻雀に詳しめの人からは非難気味の声が挙がっているようです。

別に難しい局面なら仕方がないとは思いますが、この局面で効率性に反した8pを切り、疑問の声が上がるのは将棋ファンとしては悲しく思います。

なぜならば、将棋ファンというのは、将棋プロが一番ボードゲームが強い人種だと思っているからです。

言うまでもなく、将棋プロになるには、麻雀プロと比較してもはるかに厳しく高い壁が存在しています。小学生のころにアマ四段(県代表レベル)になるのがスタートラインで、そこから奨励会に入り、何年も時間をかけて10人に1, 2人がなれるのが将棋プロです。

天才中の天才だと思います。数日の試験でプロになれる業界とは訳が違います。

その過程ではそれぞれ修羅場をくぐってきていて、その高すぎる壁を乗り越えてきたが故に、将棋プロは「先生」と呼ばれているのだと思います。
今月の将棋世界に、鈴木大介九段のインタビューが乗っていますが、麻雀プロの中で、プロになるための公式戦に負けて「死にたい」と思ったような、修羅場をくぐり抜けている人はどの位いるのでしょうか?

また、将棋プロは他のボードゲームでも活躍していて、羽生九段は趣味のチェスで日本一に過去なっていたり、森内九段はバックギャモンの強豪として知られています。(それぞれ永世名人ですが..)

そのような「先生」の中でも、過去トップクラスに立っていた、鈴木大介九段にも、麻雀でも強豪でいて欲しいと思っています。
そのためにも、初手字牌縛りに囚われず、過去の最強戦のように、力強い麻雀を見せて欲しいと思っています。
よろしくお願いします。


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