農家が彼氏あるある

私の歴代の彼氏は全員、農家だ。

初めて手を繋いだのも、
初めてキスを交わしたのも、農家の男達。

第一次産業殺し と呼び名がついてもいいほど、私は農家の男との交際を重ねに重ねてきた。

ある時友人から
「彼氏とのデートはどこに行くの?」と質問されたことがあり、
どこも何も畑だけど?と返すと
「えっ?」と眉間にしわをよせ
「マジか…」と半ば絶望的な表情を見せられたことがある。

世のシティガールからすれば、ランドだのシーだの代官山だのがデートスポットになるわけで、畑仕事をデートとしてカウントする私は
「マジか…」の対象物になることをその時に知った。

たしかに私の過去の手帳には
「彼氏とデート(鶏糞と籾殻撒き)」とか
「彼氏とデート(収穫からのJA出荷)」などと記入されていて、それはデートでなく立派な作業内容だった。

スケジュールには早朝5時集合と記載されている欄もあり、どこぞの高校球児だ、とツッコミたくもなったが、その新手のデートは東京で生活する私にとって新鮮そのもので心地良かったのだろう。

事実、普通の会社員男性と二人で映画を見る機会があった時、凄く退屈で仕方がなかった覚えがある。
この時間があればどれだけ畑に牛糞が撒けるのだろう、とついには身体が牛糞を求める始末だった。

ここまで読んで
「うわ、農家の男は取り敢えず遠慮しときまーす」と鍵を閉めた女達に告ぐ。

農家の男と付き合う最大の幸福は、取れたて新鮮農産物が好きなだけ食べられるという点だ。

ブドウ農家と付き合っていた時は、家にシャインマスカットが何箱も送られてきたし、もぎたての桃をその場で噛り付いた時の幸福は畑にいるからこその感動だった。

それに、畑作業をするとその男の人間性や性格が前面に現れると思う。
例えば農機具を大切に扱う男もいれば雑に扱う者もいて、そういう何気ない瞬間に人間力というのは垣間見えてしまう。

つまり普段見れない生活風景が畑にいると自然に映し出されることは、彼を知る上ではとても大切な過程であると言える。

身体を重ね合えば彼の愛を知れるなんて言うのは浅はかな考えだ。
本当の愛は、畑で牛糞まみれになった彼女に
「くせー」と笑いながらも優しく泥を拭ってやるところにこそ宿るもの。
「セックスをして君をもっと知りたい」なんて言葉を吐く男には、
とりあえず二人で牛糞を撒いてみましょう?と提案してみてほしい。

時間はもちろん 早朝5時集合で。

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