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マンタめも


美ら海水族館で飼育員さんがマンタやエイの質問に答えてくれたので、その時の会話を思い出してみた。(脚色あり)


お気に入りのブラックマンタ
堂々としていてかっこいい


───今日はブラックマンタを見にきました!前から気になっていたのですが、オニイトマキエイにもブラックマンタはいるんですか?

ブラックマンタは当館でしか見られないですもんね!オニイトマキエイにもブラックマンタはいます。ところで、オニイトマキエイとナンヨウマンタの見分け方は分かりますか?

───口の周りの色と背中の模様でしたっけ

(ここで、タブレット端末を取りだして説明してくれた)

そうですね。主には口周辺の色、背の模様、鱗や歯の並び方などで区別をしますが、両者はとても似てるので、近年までは同種とされていました。当館にブラックマンタが来たときは念の為遺伝子検査を行って、ナンヨウマンタのブラックバージョンだと分かったんです。今では来た時の2倍くらい大きくなってますよ。

───遺伝子検査をしないと確信が持てないくらい似てるんですね!

ブラックマンタは世界的にも目撃例が少なくて珍しいんですけど、ブラックマンタの方が多い海域もあるみたいなんです。黒くなる理由は解明されていません。

───そういえば以前まで、頭のクルクルした部分がある方が、糸巻きっぽいからオニイトマキエイなんだと思っていました!

この部分は頭鰭(とうき)といって、オニイトマキエイもナンヨウマンタも自在に丸めたり伸ばしたりできます。写真を撮った時にたまたまこの形になってたんだと思います。"イトマキエイ"の名前は、上から全体を見た時に大きな糸巻きに見えるからと言われています。

(補足)海遊館hpには頭鰭の部分が糸巻にみえるからと書いてあったので、定義は曖昧かもしれない。

────頭鰭には何の役割があるんですか?

普段は泳ぐ時邪魔にならないように丸めていて、使う時だけ広げます。1番よく使うのが餌の時で、口に添わせるように広げてプランクトンが口の中に入りやすいようにします。

────水流をつくるってことですか?

水流というよりは受け皿のような感じですかね。
あとは方向転換の時に片方だけ広げて舵を取ったりします。

もうひとつ面白いのが、オスがメスへのアピールに使う時です。まずメスを追いかけて、2匹の距離が縮まった時に、オスが頭鰭でメスに触れてアピールするんです。
実際ここ触ったことあるんですけど、結構柔らかかったですよ!

────色んな役割があるんですね!そういえばマンタはさっきから水面の方を泳いでいませんか?

よく見るとブクブクの近くを回っている
口を開けて水面を泳ぐ

今(18時前)は17時の餌やりが終わって、水を循環させるために巨大なエアレーションを設置してる時間帯です。水面に餌が集まってくるからこの辺にいるのかもしれないですね。

ナンヨウマンタが、泡の中を回転した

9:30の餌やりの時間には後方宙返りをしながら食事をしている様子を見れるので、是非この時間帯にも来てみてください!(8:30-11:00、17:30-閉館まで黒潮探検が出来る。)

────今度は早起きして来ます!

背中にくっついてるのはコバンザメ


───あれは、子供のオニイトマキエイですか?

あちらはイトマキエイという種類で、ほぼ大人です。コバンザメがくっついてるのが見えますか?基本的にイトマキエイやマンタはコバンザメが付くと嫌がって振り払おうとしますが、この個体は特に嫌がる素振りを見せません。実は、定置網にかかった時からずっと一緒で、2匹で来館しました。

(親友じゃん!)

───じゃああっちも、イトマキエイですか?

あちらはヒメイトマキエイです。イトマキエイより背中に輝きがあります。

イトマキエイ属には大きい順に、
オニイトマキエイ、ナンヨウマンタ、(タイワンイトマキエイ)、イトマキエイ、ヒメイトマキエイ の5種類がいて、タイワンイトマキエイ以外の種が大水槽にいます。

(オニイトマキエイとナンヨウマンタ、イトマキエイとヒメイトマキエイを一緒に見れるのは世界で美ら海水族館だけらしいので、せっかくならそれぞれの違いを探してみると楽しそうだね)

────マンタって毒針あるんですか?

イトマキエイ属の中で毒針を持つのはイトマキエイのみで、マンタに毒針は無いんです。尾びれの付け根の丸く膨らんでる部分にトゲの痕跡がありますよ。

───エイって皆毒針持ってると思っていました!あそこの、ヒメイトマキエイと一緒に泳いでいるのは……

ウシバナトビエイです。ウシバナトビエイもトゲを持ちますが、毒はありません。
実はウシバナトビエイにも膜のような頭鰭(とうき)がありまして、砂を巻き上げて甲殻類などを見つけて食べるんです。
ちなみにマンタはトビエイ目なのでウシバナトビエイと比較的近いです。

えぇ⁉️
イラスト参考:男鹿水族館hp

────ルネッサンスリゾートにいっぱい居るエイだ!頭鰭が膜みたいになってるの知りませんでした!

そうです!この頭鰭の部分が牛の鼻に似ているから、ウシバナです。自然界では群れで泳いでいるんですけど、水族館に移動して命の危険が無くなるとバラバラで泳ぐようになりました。

────確かに群れをなしてるイメージありますけど、群れが見当たりませんね。ちなみに水槽には何匹くらいいるんですか?

(トランシーバーで飼育員さんと連絡を取ってくれた)

15匹だそうです!

────色々聞いてしまってすみません。勉強になりました。ありがとうございました!


追伸


閉館30分前くらいで客が私しかいなかったので、質問し放題だった。しょうもない質問にも丁寧に答えてくれて感謝です。

note作成にあたって録音を聞き返したけど、浮かれた自分の声を聞くのがしんどかった。

ごちゃごちゃしていて読みづらいね……

YouTubeのオススメに美ら海水族館のマンタ出産シーンが出てきたので観てみたら、ジンベイザメがぶつかった弾みで産まれておりちょっとウケた。マンタって子宮ミルクで母乳哺育してるらしい。


次回、聞きたいこと
・トビエイ達は飛んだりしないのか


おまけ
ノコギリエイとノコギリザメのちがい

ふと、アクアパーク品川にいたノコギリ、美ら海のより相当デカくなかった?と思ったら、全然違う種類だった。(品川:ノコギリエイ 美ら海:ノコギリザメ)

両者の違いまとめ

ノコギリエイは絶滅危惧種かつワシントン条約附属書Ⅰに掲載(→許可証を得た学術目的以外での国際取引が禁止)されているらしい。
ノコギリエイが一般公開されているのはマクセルアクアパーク品川だけ(飼育は他の水族館もしている)。
この前見れたのはラッキーだったんだね

ノコギリエイ。あんまり上手く撮れてなかった

ノコギリエイ全5種中3種も居たらしい。
今度はじっくり見比べてみるぞ!

ところでノコギリエイもノコギリザメも胎生らしいけど、産まれる時痛くないのかな。
調べると、ノコギリエイ→ノコギリが柔らかい膜で覆われた状態で生まれる。ノコギリザメ→ノコギリのトゲが畳まれた状態で生まれて、産後起き上がる。だそうだ。おもしれ〜

そういえば水族館の深海生物って水圧とかどうしてるのかな。

沖縄美ら海水族館の展示水槽は、加圧されていません。展示されている深海魚の多くは、沖縄周辺の深海から釣りやトラップなどによって採集されます。 水族館に収容後、バックヤードにある加圧水槽で加圧し、徐々に減圧することで低圧下でも飼育が可能となります。つまり、深海コーナーにいる生物たちは、このような工夫を経て展示に至った、きわめて珍しい魚ばかりです。

美ら海水族館Q&Aより

へぇ〜。

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