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コミュニティは、高知で働く僕の人生を変えたか?

2018年5月19日(土)に開催された「コミュニティリーダーズサミットin高知2018(以下、CLS 高知)」に参加しました。
全国から様々なコミュニティを主催しているリーダーが集まり、「コミュニティの価値」について意見交換するイベントです。
各地域・職域でリーダーシップを発揮しているエネルギー溢れる人たちが全国から集まり、高知でもこんなイベントができるのか!と感激。刺激を受けました。

(ハッシュタグ #CLS高知 は瞬間的に Twitter トレンド入り)

僕は、" 武闘派 CIO "ことフジテックの友岡さんと、アールスリーインスティテュートの金春さんと共に、最初のセッションであるキックオフパネルのパネリストとして登壇させていただきました。

仕掛け人である小島英揮さんから、投げかけられた質問は3つ。

1.コミュニティはなぜ重要か?
2.もしコミュニティに関わっていなかったら?
3.コミュニティへのオトクなかかわり方は?

僕自身、今年から代表をさせてもらっているウェブクリエイターズ高知というコミュニティへの参加をきっかけに、この 1 年で周囲の環境が大きく変化しました。
後々振り返るためにも、パネルでお話した内容を改めて note に残しておきたいと思います。

※イベントの内容については、他の参加者の方がそれぞれ記事を書いてくださっていますので、興味を持たれた方は、小島さんがまとめてくださっているリンクからどうぞ。

0. 「コミュニティ」とは何か?

イベントの最初に小島さんから「コミュニティ」の定義について、お話がありましたので、前提条件としてメモしておきます。

コミュニティは、もともと「地域に根ざした共同体」を意味していましたが、現在では「目的・理念を共有する人の集まり」を指すとのこと。この定義は、非常に納得・共感できます。

コミュニティが注目され、人が集まる背景には、インターネットと SNS の普及があるように思います。
具体的には、

①インターネットと SNS 登場以前に比べ、自分と近い価値観や興味をもつ人たちを発見すること、その人達とつながることが容易になったという点。

② SNS やメッセージアプリを使ったコミュニケーションが日常化したことにより、直接オフラインで集まって話し合うことの価値が相対的に上昇したという点。

この 2 つが僕たちをコミュニティへと引き寄せている気がします。
それでは、小島さんからの問いに対して、順番に回答を考えてみます。

1. コミュニティはなぜ重要か?

僕が思うに、コミュニティは参加する人の個性を引き出し、人生の選択肢を増やしてくれます。
どういうことか?
コミュニティの比較対象として、企業組織を挙げてみます。

縦のつながりの組織では、個性よりも組織のおける「役割」が重視されます。
企業組織においては、マーケティング部長ならマーケティング部長としての役割、営業リーダーなら営業リーダーとしての役割が、その人がどんな性格で何が好きなのかといった個性に優先されます。
ある意味、組織においては当たり前なのかもしれません。

一方で、コミュニティにおける人と人の関係は、同じ目的や価値観のもとに集まった人たちの横のつながりです。

例えば、僕が所属するウェブクリエイターズ高知という勉強会コミュニティで、「アクセス解析」についての勉強会を行ったとします。そこで交わされる会話は、「アクセス解析をどのように使っているのか?」「アクセス解析を行う上で困っていること」「アクセス解析の手法」等が中心となり、それぞれの知識・経験を交換し合うことが中心となります。

このように、ある目的や志向で集まった人たちが、1 つの文脈の中で意見交換をするので、組織における役割・役職は影を潜めるのです。

僕自身、社外のコミュニティで活動することによって、同業者の中における自分の独自性に気づくことができ、本業でのお仕事につながったり、業務パートナーが見つかったり、執筆や講演の話をいただいたりと活動の幅が拡がりました。

高知の田舎で社員 15 名程度の中小企業でサラリーマンをしている僕が、書籍の執筆をさせていただいたり、東京で 400 名の方の前でお話する機会をいただいたり、大学で講義をさせていただいたり、更にはコミュニティで出会った人たちと一緒に会社を設立してパラレルワークをスタートしたり。

少し前まで想像の範疇であったことが、この 1 年以内に現実のイベントとして起きました。これらは全てコミュニティでの活動が起点になっています。

CLS 高知の LT 登壇者の中でも、「コミュニティで人生が変わった」という発言を何度も聞きましたが、僕自身もコミュニティに所属して、仕事や生活が劇的に変化している実感があります。
コミュニティに積極的に関わることで、自分の特性が発揮され、あるいは熱量の高い人達に引き上げてもらうことで、人生が拓けていくのです。

1 点、注意点があります。ビジネスへのリターンがあるように書きましたが、コミュニティをセールスに利用しようとすると失敗します
参加者に直接的な売り込みをするような姿勢では、コミュニティに居場所をつくることは難しいと思います。なぜなら、参加者は何かの商品を購入したくてコミュニティに集まるわけではないからです。

先日、懇親会でひたすら自社サービスのチラシを持って、いきなり商品説明を始める方にお会いしましたが、あまり気持ちのいいものではありませんし、御本人もなんだか居心地が悪そうでした。

あくまで何か共通のテーマで意見交換して、学び合い高め合うという文脈で参加することが大切です。

2. もしコミュニティに関わってなかったら?

パネルセッションでもお話しましたが、高知で働くリスクを一つだけ挙げるとすれば、何も考えずに働いていると「ガラパゴス化してしまうこと」だと思います。別の言葉で言えば、「井の中の蛙になってしまうこと」です。

高知のような小さな商圏では、業界内の同業他社の数も少なく、自然と共存共栄のフレーズのもとに、その地域で自社の居場所をつくってしまい、変化の少ない無風地帯の中で事業を行う状態になりがちです。
取引先は 9 割が固定客で、週末に飲みに行く人たちも顔見知りばかり…こうなるとガラパゴス化を避けるほうが難しくなります。

もちろん、小さな街の良い面もあるのですが、現在のような変化の激しい時代においては、世界的な変化の空気を感じられなくなってしまうのは、大きなリスクだと感じるのです。
僕はクライアントにインターネットの活用を提案する仕事をしており、生涯現役でいたいという目標がありますので、自分の知識や視野を広げることができないのであれば、再度東京に戻る選択をします。
高知でウェブの仕事を続けていく上で、ウェブクリエイターズ高知というコミュニティに関わっていなかったら、自分の知見をアップデートできる場を求めて、僕は高知を離れたでしょう。

もう一つは、コミュニティに関わることがなければ、他のコミュニティに「見つけてもらう」ことがなかっただろうと思います。
この 1 年で高知県外で登壇させていただいたり、全国の同業者の方とつながって、ご一緒にイベントを企画したり、お仕事をご一緒する機会が増えました。

お声がけいただいた理由の 1 つとして、高知県内で少し変わった存在として知られる機会が増え、結果、他の地域のコミュニティリーダーや登壇者の方にも認知されることになったと思います。
これが、「高知の坂上北斗」ではなく「東京の坂上北斗」だったら、多数の中に埋もれていたと思います。

もう少し具体的に説明します。

CSS Nite を始めとして、多くのウェブ系勉強会が毎日のように全国で開催されています。その中で、高知の小規模広告代理店に務めるサラリーマンの一人である、僕が声をかけていただける可能性というのはとても小さな小さな確率です。
では、その小さな確率の中で、なぜ、チャンスをいただけたのか?
1 つのヒントとして、岡山でご一緒に登壇させていただいたり、共著でご一緒させていただいたイー・ネットワークスの前川昌幸さんが書かれた図を紹介します。(前川さん、ありがとうございます!)

[参照] 地方の受託会社の会社員の派手めな業務外活動とその効用 / 前川昌幸さん

前川さんは、地方のコミュニティの中で際立った活動をすることで、大都市圏で同様の文脈で活動するコミュニティリーダーから見つけてもらえるということをこの図で表されているんじゃないでしょうか。

高知では、ウェブクリエイターズ高知(WCK)ができるまで、ウェブ制作系の勉強会を継続的に行うコミュニティはありませんでした。なので、学習意欲が高い人は必然的に WCK を見つけて集まります。東京のウェブ系コミュニティの人たちが、高知でイベントをしたいと思ったら、声がかかります
また、僕は高知で初めて上級ウェブ解析士の資格を取得しました。この資格制度を運営するウェブ解析士協会さんが、高知の事情を知ろうと思えば、僕に声がかかる可能性が高い状態になっていたんだと思います。

この 2 つの社外活動があったからこそ、今、高知にいながら高知県外の同業者や専門家の皆さんとつながることができ、ガラパゴス化せずに学び、成長できている実感があります。

3.コミュニティへのオトクなかかわり方は?

コミュニティに参加するには、3 つの異なる立場での関わり方があります。

1 つ目は、勉強会イベントなどに「参加者」として関わること。
2 つ目は、「登壇者(スピーカー)」として関わること。
そして 3 つ目は、「コミュニティ運営者」になることです。

初めて参加するコミュニティへの関わり方で最も心理的にもハードルが低いのは「参加者」だと思います。必要なものは「勢い(ノリ)」と参加料だけです。特別準備も必要ありません。すでにコミュニティに関わっている方と一緒に参加したり、友達や同僚と一緒に参加すれば、更にハードルは低くなるでしょう。

2 つ目の「登壇者」は、これまで誰かの前で知識や考えなどを発表する機会が少なかった人は、少し躊躇するかもしれません。でも、個人的には「登壇者」はチャレンジする価値のあるコミュニティへの関わり方だと思っています。

なぜかと言えば、学びの深さが全然違うからです。共通のテーマに興味を持つ他の参加者に対して、少しでも「役に立ったり」「気付きになったり」「面白いと感じたり」「共感して勇気をもらえたり」するような話をしようと考えるため、まず準備段階で深く考えたり、場合によっては情報のインプットをすることが自分の学びになります。

さらに、登壇することで、他の参加者から声をかけていただいたり、その後の懇親会で話題が拡がることが多いです。初めて会った者同士は、会話のネタに困るものですが、登壇することで相手も話しかけやすいんじゃないかと思います。

ということで、ぜひ機会があれば、登壇者に挑戦してみることをおすすめしています。多くの勉強会コミュニティで LT : Lightning Talk という 5 分から 10 分程度のショートセッションの枠が用意されていたりしますので、まずはこの機会を活用してみては如何でしょうか。

3 つ目の関わり方である「コミュニティ運営者」は、少しハードルが高いかもしれません。たった一人で始めるのは多くの場合大変なので、仲間を巻き込む必要も出てきます。

僕自身は、WCK を立ち上げた杉本さんに代わって 2018 年からコミュニティの代表をさせていただいていますが、正直、最初は不安のほうが大きかったです。代表交代の話が出たときには、立候補をしようかどうしようか、自分に運営の責任者ができるのか?と、頭の中でグルグル考えている時期がありました。
他の実行委員(運営メンバー)に支えてもらい、助けてもらって、何とか運営ができています。

運営者になる価値は、他のコミュニティの運営者から声をかけていただけるということに尽きます。運営者の楽しさや難しさは、実際やってみないと分からない事が多く、それを共有できる運営者の皆さんに相談できたり、アドバイスをもらえることは貴重です。また、他のコミュニティに参加者として関わるときにも、運営目線でも学びがあったりします。

まとめると、最初は「参加者」として参加して、よりコミュニティの価値を自分の中に取り入れるのであれば、「登壇者」か「運営者」にチャレンジしてみては?というのが僕の提案です。


登壇者をおすすめしてはいますが、人によっては「前に立って話すよりも、運営者としてイベント全体や演出、雰囲気作りをするほうが得意だし好き」という方もいると思いますので、参加者 + 登壇者 or 運営者という 2 つ以上の関わり方をしてみると、学びが多いんじゃないかなと思っています。ご参考になれば嬉しいです。

おわりに

コミュニティリーダーズサミット in 高知、素晴らしい人たちと出会うことができ、皆さんの " 熱 " に触れて、パワーと勇気をたくさんもらいました。
水面下で、ここで出会った人たちと共に新しいプロジェクトが動き始めています。

コミュニティには、個人が強みを発見し、個人の熱を伝播させ拡げていくチカラがあると感じています。常時接続インターネット、スマートフォン、SNS というインフラと、それらを当たり前に使う文化とが揃ったことで、イベントで出会った人たちが、物理的に離れていても、熱を冷まさずに行動へとつなげていくことが可能になりました。

コミュニティへの参加は、自分を知り他者を知るきっかけであり、学びを得る場ですが、そこからさらに行動へとつなげていくことで本当の価値が生まれると思います。

ピラミッド型の組織を中心とした世界では、同じ業界・業種の人たちはライバルとして競争関係になりがちですが、コミュニティを中心とした世界では、互いに業界や産業を興し時代をつくっていく共創関係を結びやすい気がします。
コミュニティは、戦いではなく活かし合いを生みやすいという点でも、僕たちの未来にとって重要な役割を持っている。コミュニティリーダーズサミットへの参加を通じて、そんな大げさなことを思ったりもしました。

参加された皆さん、企画してくださった皆さん、ありがとうございました!
そして、これからもよろしくお願いします。

気に入っていただけたら、サポートいただけると嬉しいです! コミュニティ活動や学習に使いたいと思います。