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サービスの価値の伝え方

「大型商談を成約に導く「SPIN」営業術」という、営業職における名著があります。

営業職のバイブルとも言われ、原題は1987年の発行とはいえ、今読んでも示唆に富んだ内容です。

この本を一部引用しながら、営業活動にWebの関与が不可欠な2018年においても何か生かせる部分はないか書いてみました。
※「小さな商談」と言われる少額な商材についてはアプローチが異なります。また高額でも購入に責任の伴わない高級時計なども範囲外です。

まず本のタイトルでもある「SPIN」モデルを図解します。

上記の通り、大型案件の商談ではサービス紹介を始める前に質問し、ニーズを把握することを説いています。まとめると
1. 状況質問で商談をスタート、現状についていったん聞く
2. 問題質問を使って潜在ニーズを引き出す

3. 示唆質問で課題の大きさや影響の範囲を気づかせる
4. 解決質問で解決策があればどれくらい価値があるのか認識させる
5. サービスの価値を、見込客の利益を明らかにしつつ提示する

という流れです。

見込客の課題を顕在化し、大きく育てて解決策の導入コストに見合う価値があると気づかせる。営業術と言うと聞こえは悪いですが、ProblemとSolutionが合致しているにも関わらず、きちんと伝わっていないために逃す商談があるとしたらお互いに不幸なことです。

またSPINモデルの最後に「利益」とあります。商品を説明する際に使われる言動をサービスにおける「特徴」「利点」「利益」に分類している点でも興味深いです。

書籍の中でこれらは大型商談におけるノウハウとして紹介されていますが、2018年の現在ではどう活かせるでしょうか。

多くのサービスがwebサイトを重要なタッチポイントとしてマーケティングや営業活動を行っています。例えばSalesforceのサービス紹介サイトを見てみましょう。

主に「特徴」「利点」が並び、解決できる課題や利益にまでは触れていないように見えます。Salesforceでは問い合わせ後に営業が赴き商談する機会があるためサイトにおける役割はこれでも良いのでしょう。(とは言えもう少し解決できる課題などに触れて欲しいですが)

ただしこのSalesforceのサイト構成を営業訪問のできない大きな商品で用いると、顧客にとっての「利益」を伝える場がありません。その場合の一つの解決策はフリーミアムモデルでしょう。無料ですぐに使い始めてもらい、見込客自身にサービスの価値を感じてもらう方法です。ただし全ての見込客に意図した価値を感じてもらうためにはオンボーディングと呼ばれる導入部分の設計が重要になります。また無料で使っている見込客(もはや顧客?)にこそ、改めて「利益」をきちんと提示すべきかもしれません。

もう一つ見込客に「利益」を伝える手段としては、シミュレーターがあります。MFクラウド会計さんの例を載せてみます。

このシミュレーターはニーズの顕在化と顧客にとっての利益とを伝えています。営業が訪問するほどの顧客獲得コストをかけられない中型?商品(SaaSなど)において、これは有効なのではないでしょうか。

あるいはオウンドメディアを運営し、潜在顧客に課題を認識してもらうといった手段もあります。

もしあなたがそういったB向けの比較的大きな商品の販売に携わっているのなら、特徴利点だけを羅列した紹介サイトや営業資料になっていないか。あるいはどのタイミングで顧客に利益を伝えられているのか、見返してみてはいかがでしょうか。たとえ利益を伝えづらい商品であってもカスタマーサクセスを実現し、実績を作って提示することはできます。

SPIN営業術 おすすめですよ。

それでは。

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