見出し画像


ユーミンの「晩夏」という歌が好きだ。

 この歌を聴くと夏の終わりの美しい風景が頭の中で膨らむ。
ことばとメロディに盛り込まれた、その時間、その季節にしかあじわえない特別な景色。歌に刺激されて立ち上がる心象風景は、上質な映像作品。鋭い観察眼と美意識の高さが伺える。芸に秀でた人は絵、文章、音楽と全てに才能がある人が多いけど、ユーミンは抜群。

 枕草子の冒頭、「春はあけぼの」にはメロディこそついていないけれど、選ばれた言葉とその間合いからリズムを感じ、歌のような文章が、春のぼんやりと日が昇りはじめる風景がぼわ〜っとひろげてゆく。
 ユーミンと似ている。
 ふたりの歌には色がある。風土の持つ日本らしい微妙なニュアンスの色、風景を感じる。

 ユーミンの美的センスの良さは有名だけれど、清少納言もきっと美意識が高かったのではないだろうか? 観察眼の鋭い人はその出力方法をいくつか持っている場合が多い。おもしろいと思ったものをまずはじっと見て、絵や文章、音楽と、それぞれの作品につなげる。清少納言も文章だけではなくて、もう何種類か手段を持っていそうだ。平安時代にインスタがあったなら、どんな瞬間をアップするのか? 是非みたい。

 
 ユーミンは「詠み人知らずになりたい。」と言っていた。つまりは1000年後にも作品を残したいわけだから、理想は清少納言ともいえる。
たしか清少納言は俗称で、本名は未だ不明とだったと聞いたことがある。
 1000年後の古典の教科書にユーミンのどの歌が載っていたら、「作者 松任谷由実」ではなく、「作者 ユーミン(本名は不詳)」。 音楽の授業かな? 未来のだれかが、曲を聴き、昭和や平成の風景を思い描く。それは現実との多少のギャップはあるかもしれない、でも、そこに共通した日本らしさがあり、共感できる人々がいれば、私は勝手にホッとする。日本人らしい感性がすきなのだ。

 載せた写真は、日本の帯締めに使う絹糸を使ったシリーズ。こんな天才の話に世界の片隅でひっそり作っている私の作品の写真を載せるのは、あり得ないほどおこがましく、恥晒しなのはわかっている。でも、多少なりとも刺激を受けているのだから、そして、作品を載せないとタイトル「アクセサリー作家のブログ」意味がないから、「チャレンジ!」。 勇気を振り絞り、やりたいことを恥ずかしがらず、正直に! あえて載せました。




#色彩感覚 #松任谷由実 #ユーミン #清少納言 #枕草子  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?