見出し画像

単純でわかりやすいこと

 放課後=「after school」初めて習った英熟語。驚くほど単純に出来ていてビックリしたのをおぼえている。「学校のあと」より「課題から解き放たれた後と書いて放課後」の方がちょっと高尚な感じがしませんか?前から思っていたのですが、英語には馬鹿馬鹿しいほど単純なネーミングが多い。土地の名前に至っては「ハイランド」が「Highland」で「ロウランド」が「Lowland」 まんまヤン! 私たちの国にも「上高地」という場所があるけれど、響が神々しいから別物の感じ。「Highland」と書かれると単に「高いトコロ」としか思わない。「湖水地方」に至っては、「The Lakes」。日本語の地図に書かれていた『湖水』持つのリンとした詩のような、熟語の持つ、平たい言葉よりワンランク上な響きと字面、妄想が脳裏をよぎり、勝手に湖畔にたたずむ美形金髪の少女まで思い浮かんでしまう。それとは真逆の単純明解な「The Lakes」。英語の地図で見つけた時「確かにそうだけどマジ?」と、ちょっとした衝撃だった。

 ビートルズの「ブラックバード」の「bird」は女の子を意味することもあるのだとラジオでだれかが言っていた。例えば自分の彼女は「my bird」というらしい。この曲はポールマッカートニーが作ったアフリカ系の女の子への応援歌と言われるが、私は単に「black bird」=「黒い鳥」になぞられて作られたとずっと思っていた。確かになぞられているけれど歌詞だけれど、実は私たちが思う以上に直接的なニュアンスがあるのだろう。 

 特に英語が得意でもない私にでも、耳にの残る簡単な単語をつなぎ合わせればだいたいの内容が理解できるようなわかりやすい歌詞、ギターの音色を伴ってどれだけの人の心に残り、応援したのかだろうか。単純でわかりやすいことは案外難しく、天才が操ると、永遠になる。

 「もっとかっこよくて賢い素敵なものを作って人に褒められたい!」ものづくりする人なら誰でも思ってる。だからと言って難しいコンセプトを並べ立る作戦は、人の心に届かないのかもしれない。最近はやりのアルファベット3文字くらいの用語に追いつこうとネットに踊らされ、いつの間にか焦点が希薄になって何がしたいのだかさっぱりわからなくなってしまう。

 自分の気持ちさえも「単純でわかりやすくする」ことは難しい。

*写真のピアスはhollychappyの作品です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?