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PERCHの聖月曜日 40日目

38 臙脂・燕脂(えんじ)

生臙脂(しょうえんじ)などの染料や、紫や紅を混ぜた絵の具などによる色。▷赤。▷生臙脂は、近世に中国から渡来した鮮紅色の染料・綿にしませて乾かしたもので、湯にひたしてその汁をしぼって使用した。ペルシア・インド地方に産するコックスラッカという小虫の寄生した樹脂スチックラックより採る。また、中南米でサボテンに寄生するカイガラムシ(エンジムシ)の雌コチニールからつくられる洋色名「カーマイン」に「えんじ」を当てることがある。

*本朝文粋-一・男女婚姻賦〈大江朝綱〉「夜月幽処、顕輝輝之身。占魏柳於黛、点燕脂於脣」(11世紀中)
*翰林葫蘆集-四・題軸「一樹山茶丹上枝。有梅和露抹臙脂」(16世紀前)
*みだれ髪〈与謝野晶子〉臙脂紫「臙脂色(ヱンジイロ)は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命」(1901)
*青春〈小栗風葉〉春・ーー「一望目を遮るものも無い外海の色は〈略〉瑠璃や臙脂(エンジ)の瑩石彩を溶き流して」(1906)
*浅草紅団〈川端康成〉赤帯会・四一「臙脂色(エンジイロ)の一重帯がえらい勢で流行した夏を、諸君はたやすく思ひ出してくれるだらう」(1930)
*剣ヶ崎〈立原正秋〉七「季節が移り、白や赤や臙脂色のコスモスの花がむらがり咲く日を想像した」(1965)

ーーー『色の手帖』編集=尚学図書・言語研究所,小学館,1986年,p22

Portrait of a Woman with a Man at a Casement
Fra Filippo Lippi
ca. 1440

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