千田秀幸
こう畏まって書こうとすると、
何も浮かんでこない。
それがー、
千田秀幸である。
大先生なのである。
ー裏話ー
劇団天体望遠鏡『賛成の天体』
2021年を迎えた今年が旗揚げ20周年であり、我々、年配組としては感慨深い舞台である。
その輪の中に、千田秀幸その人も含まれてよい人物だと思うのだが、そう言った類の話になると、彼は乗ってこない。
今回の公演『賛成の天体2021』とするが、実は2013年に『賛成の天体』初演を迎えている。
その時の主役〝アニキ〟は何を隠そう『千田秀幸』なのだ。
ちなみに自分は〝ヒロ〟役である。
当時の稽古を思い出そうとすると、一つのことしか浮かんでこない。
〝アニキ〟が〝ヒロ〟をぶっ叩くシーン。
本気で殴る〝千田〟と、本気で嫌がる〝小野〟
ヒロ
『俺らがやる事じゃないって、こんな化け物!』
その台詞を吐いた次の瞬間に、俺は本気の張り手を喰らうのだが、あまりにも痛すぎて、本能的に嫌がり、千田に後頭部を向けている。
そんな若かりし頃の思い出。
今回は俺〝アニキ〟が心の内で雄叫びを上げながら、美青年淳也〝ヒロ〟の頬をぶっ叩いている。
9割記憶のない『賛成の天体2013』ではあるが、
今回の稽古を通じ、美青年淳也の〝ヒロ〟を通して、自分の中にはあの頃の思い出がほろほろと蘇ってきていた。
それは先生も一緒のようで、ある日の通し稽古を観てもらった後、俺と同じようなことを口にしていた。
小野
『如何でした?先生』
大先生
『あ?何が?』
小野
『率直に聞きますが、
賛成の天体2021のデキです』
大先生『あぁー』
小野『どうでしょう?先生』
大先生『オレ、やっと分かったよ』
小野『うん?分かったとは何か?』
大先生『ストーリー』
小野『…』
大先生『流れ?』
小野『………へぇ』
『賛成の天体2013』を偉大なる大先生は意味を理解しないまま主役を演じ切っていたのだっ‼︎
それを今回の『賛成の天体2021』で約8年の時間を経て理解したという、それを聞いた俺は度肝を抜かれたというか何というか…。
『器』のデカさで言ったら、
先生の場合はその
『器』は『無い』
『大きい』も『小さい』も無い。
先生の言葉を借りると
『どーでもいい』のである。
計り知れない!
計測不能っ‼︎
予測不能っ!!!
そんな先生が原因不明の『奇病』に苦しんでいる…。
少なからず俺の心に動揺があったのは言うまでもない。
それだけではない。
今回の公演に辿り着く為、色々な不安が俺の中にはあった。
先生の『奇病』
岩手県独自の緊急事態宣言による稽古中止。
母の入院。
子供の幽霊。
『ポニョのオッパイ揉みしだき計画』
バレたらどーしよう…。
今まで、この『不安』を取り除いてくれたのは先生だった。
今ではその『不安』の中に先生はいるのだ。
俺は覚悟を決め、本番当日の朝を寝坊気味に目醒めるのだった…。
続くー
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