私的キスマイ2011→2015

ちょっと今年のセンター論が、少なくとも夏が終わらないと書けなさそうなので、少年倶楽部の夏スペシャルを見てぼんやりと思った(そして普段からしみじみ思っている)ことを書こうと思います。
特に内部事情などは知りませんので大体予想とか妄想とか想像ですが良かったら読んでやってくださいませ。だらだらっと長いです。

延期したデビューと古参離れ

私がキスマイについてちゃんと勉強し始めたのは、ほぼデビューを目前にしてのことでした。
2011年初頭、いつもKAT-TUN関係でお世話になっていた友人に、「今度キスマイのデビューが決まったから、良かったら勉強してください!」と、KAT-TUNのものと一緒に少年倶楽部の映像を編集したDVDが送られてきたのです。それは思えば、キスマイがあの舞台「少年たち」を経て、コンサートで茶色い封筒を受け取ったのちのことだったのでしょう。

私はKAT-TUNなどのバックについていた彼らのことはなんとなくで知っていて、事務所ブームが来て以降アイドル誌も買うようになっていたので、本当に薄っぺらな印象でだけ知っていました。既に少し興味は持っていたし、名前も前のほうから覚えはじめて、卯年ユニットの中に藤ヶ谷くんがいたのもちゃんと視界に入っていました。
思えば、いくら卯年生まれが少ないとはいえ、あの時点で卯年ユニットに入っていたというのは、既にキスマイ(もしくは藤ヶ谷くん)が何らか「推されていた」ということに違いなかったのでしょう(少なくとも河合くんがいなかったことに、既にあの当時「えびきす」は同列になかったのではないかと予測します)。その1月クールのドラマ「美咲ナンバーワン!」では北山・藤ヶ谷で出演。私は作品として興味があったのと、彼らへの興味も相まって、そのドラマを見ていました。
そこへ、友人からの教材(笑)付きの猛プッシュ。これはまさに「渡りに船」というやつだったのです。

私が聞いたところ、キスマイは春デビュー予定という話でした。
ジャニーズのグループは比較的(特にバレー関係が出来てからは余計に)秋デビューの傾向がありますが、KAT-TUNや(のちに)A.B.C-Zなど春デビューの場合もありますので、珍しいことではないかなと思っていました。まして、テレビなどの業界的には春秋は大きな改編の区切り時期というのも関係しているかもしれません。
しかしそこへ来て、あの3.11が起こり……一旦それどころではなくなった事務所としては、おそらくキスマイのデビューを遅らせるしかなかった。
色々あって、夏。仕切り直したキスマイは、「美男ですね」タイアップと共に、『Everybody Go』で異例の(だと思われる)夏デビューを果たすことになりました。

そこで一旦、この年の初頭に友人から映像をもらった私がキスマイを勉強していた時の印象の話をしましょう。私がそれらの映像を見て思っていたことは、「なんか多分KAT-TUNぽい」ということでした。
チャラついた外見、そしてロック寄りな楽曲性。当時デビュー前であるにも関わらずキスマイは「着うた配信」をしていて、テレビCMも流れていました。あの名曲『FIRE BEAT』のPV(CM)が私は好きで、そのカッコよさの種類がKAT-TUNの系譜にあると感じていたのです。実際、キスマイの映像を送ってきた友人はハイフンですから、当時聞いたところその印象もそれほど間違ってはいなかったようでした。
しかし、いざドラマが放送開始し、エンディングにて流れた『Everybody Go』は、それまでキスマイに抱いていたイメージとは全く違っていて、……なんだかとってもキャッチーでアイドルしている曲でした。
とはいえ、私はほぼデビュー新規みたいなものですから、「まぁデビュー曲だから、みんな一旦こういうのをやらされるものだろう」とそれほど気にしていませんでした。あの曲はそれはそれで好きでしたし、ローラースケートを使う曲に私は今だにテンション上がります。
デビュー曲というのは往々にしてそういうものだろう、という印象が私にはありました。何しろあのTOKIOですら、デビューの時は「オンリーユー」とか言っていたわけです。SMAPなんて「きらきら光る」とか入っていました。色々な意味において、デビュー曲で「アイドルらしさ」を抜けていたのはKAT-TUN・関ジャニ∞というイロモノ組だけではないだろうかと今だに思っています。(V6やジャニーズWESTも近いものはあるのですが、あれは割とアイドルしているほうかなと)
KAT-TUN・関ジャニ∞というのは良くも悪くも「イロモノ世代」なのだと思っています。デビューした瞬間から、バリバリのラップにボイパそしてロックなサウンド、作曲松本孝弘作詞スガシカオ。かたや、まさかの演歌チャートおまけに関西地区限定発売からの発進。なかなか二番煎じしようと思ってもできない人たちなのがデビューからも見て取れます。個性の塊イロモノ軍団、それが彼らだと。(この辺の話もいつかやりたいのですが)

キスマイに話を戻しますが、私はさほど気にしていなかったデビュー曲問題、古参の方々にとってはこちらが思っていたよりも大問題だったようで……KAT-TUNのようなデビュー曲を期待していたのかはわかりませんが、とにかくキスマイの「路線変更」にガックリきた古参ファンは多かったとか。
一応歴史を軽くさらっておいた身としては、正直「デビューできるならなんでもいいじゃない」と私は思っていたわけですが。デビューさえしてしまえば、また路線変更だってできるし、カッコいい曲かわいい曲なんでもやれるし、何より「歴史の継続」が約束されるということですから。Jr.のユニットならできないこと、叶わないことが、いくらでも叶う環境にある。
ファンの視点からしてデビューが大きいのは、「辞めるという選択肢が遠くなる」ことです。特にあの世代、A.B.C-ZもジャニーズWESTもでしたが、メンバーの大半が二十歳を超えて、本人たち自身、「これからどうなるのか」という不安が大きい時期です。誰がいつやめてもおかしくない。実際にA.B.C-Zの戸塚くんなどは、デビューが決まる直前の時期に辞めようと思っていたという話です。ファンとしてはもちろん、やめてほしくない。
デビューするということは、ジャニーズにとって、自分がようやく「ジャニーズに(本当の意味で)成る」ということのスタートなんじゃないかなと思います。よく風間くんなんかが「僕まだJr.なんで」なんて言いますが、「卒業(してソロ活動)」あるいは「デビュー」しなければ、あとは退所する以外でジャニーズJr.でなくなる方法はない。
そりゃあもちろん、こんな風にデビューしてほしい、とかこんな曲がいい、とか色々ファンとしての希望があるのもわかります。私はジャニーズWESTがデビューするとき、「『ジャニーズWEST』って!!」とか、「デビュー曲なのに『ええじゃないか』って!!」とか色々思いましたが、結果デビューしてしまうと「……まぁいいか」と思うわけです。
それは何より、本人たちがそれで頑張っている姿を見ることや、なかなかデビューできない状況のことを思い出せば、「そんな小さなことはいいや」ってなりますし、何より「未来に期待」という言葉が使えるわけなのです。やってほしかったことは、いつかやってくれればそれでいい。そんなふうに思います。何か問題でも起きない限りは、歴史が続く確率の方が高くなるわけですから。
ですがそんな中、キスマイの古参の方々は離れていった人も多かったと聞きます。まぁ「担降り」ですね。路線変更以外にもそれに連なることで色々と思うことはあったようですが、……それはとりあえず置いておくことにしましょう。

格差とバーターとBUSAIKUと。

先に言っておきますが、私はあまりキスマイを「ブサイク」だの「顔面偏差値が低い」だの思ったことがありません。私は北山担として彼をカッコいいと思いますし、他のメンバーもそれはそれとしてイケメンだと思っているし、何より人生の中で同級生とかにキスマイ以上の人がいた覚えがありません。なので、そんな高い基準を持っている世間の人達が若干羨ましいとすら思わなくもない(芸能人は別です)。
でも、私がどう思うかは別として、世間的にその意見はありました。それこそがのちに「キスマイBUSAIKU!?」という番組の発端となっていったわけですが……それはまた、後述。

キスマイは、デビューした当初から「(主に衣装)格差」が叫ばれていました。
正直、衣装で格差がつくことや、メンバー内で仕事に格差がつくことは珍しいことではありません。……もし、今までのグループに格差が無かったとしたならば、V6の初期のシングルジャケットにおけるトニセンの扱いや、エイトの中に「関ジミ」と呼ばれた三人がいたことや、NEWSの四人がなぜ四人になったとき「解散」という目を見そうになったのか、その説明がつかないはずです。
明確に視覚化されてこなかっただけであって、「格差」は確実に存在するものなのです(V6のは相当視覚化してますけど)。それを、明確にされないからといって私たちが良いように解釈して誤魔化してきただけ。「格差が埋まっていく」ということはあっても、デビューの時点で「格差が全くない」ことなど、ありえない。
でもそれは悪いことばかりではないし、そこから良くなることもあります。それは現存するグループが証明しているはず。ただキスマイは、それを最初から分かりやすく、えげつないまでに視覚化していただけの話です。
むしろ、実は「格差がある」ほうが、ファンではない人にとっては印象に残り、そして覚えるきっかけになる。……それを証明したのは、他でもないうちの母親でした。

私がハイフンの友人から映像をもらって勉強していた時点から、美咲ナンバーワンの時点から、母にはKis-My-Ft2という子たちのことを少しずつ教えていました。しかし、やはり母親世代ではなかなか、覚えるのは容易ではない。まず、興味がないわけです。ちなみにうちの母は、結果的に現時点(2015)でSMAP~キスマイくらいまでならほぼ顔と名前が一致しているくらいの人です(たぶん)。
当時、なんとかドラマなどのおかげで北山・藤ヶ谷は覚えてくれましたが、他のメンバーが難しい。玉ちゃんもギリギリ、「美男ですね」で覚えてくれました。やはり、毎週流れるドラマというのは強い。……そうは言っても、他のメンバーにはなかなか、母親と一緒に見られる時間帯のドラマのオファーは来ません。
とはいえ、実はデビュー前の2010年、横尾さんは嵐・ニノのドラマ「フリーター、家を買う。」に出演していました。私も母と一緒に見ていたので、「ほら、お隣の息子役で出てたよ!」と必死になって教えましたが、「うーん」と首を捻るばかり。「なんとなく覚えてるけど……」くらいです。

そして、デビューのとき。音楽番組で、Kis-My-Ft2、『Everybody Go』を披露。リアルタイムでなくても私が録画したのを見返すので、母もそれを目にしました。そこで。
「なんか、後ろの四人、前の三人に比べて衣装地味じゃない?」
この母の意見こそ(まぁ私も思いましたけど)、世間の意見。そして、世間の印象です。そしてここからキスマイは、怒涛の「格差問題」を浮き彫りにされていき、次第に世間では「前の三人・後ろの四人」と呼ばれるように。ていうかファンも、他のグループの担当の人も、「キスマイの前列・後列」扱いでした。
シングルもアルバムも映像も怒涛のペースでリリースされていましたが、衣装格差はむしろひどくなるばかり。前の三人が白なら、後ろの三人は黒。格差ありすぎて、「後列がバックダンサーみたい」と言われることも(うちでは母が言ってました)。
しかし、キスマイの格差は意外な形で埋まっていくことになるのです。

前置きしておくと、私はSMAPの影響をジャニオタとして多大に受けているため(そして芸人博愛主義のため)、彼らの主戦場はステージだと思ってはいつつも、「バラエティはジャニーズとしてやって当然の時代」だという印象を持っています。そして「バラエティで戦うジャニーズが好き」でもありました。また、メンバー全員がうまくできなかったとしても、それぞれの役割をそれぞれがこなし、その役割を見つけることこそが「国民的」への第一歩であると信じていました。
ましてキスマイはSMAP傘下であることがデビュー当時から明確であったため、それを色濃く受け継ぐのは当然の流れであると思っていたわけです。この前提が大事です。(これが嫌な古参の方もいたみたいですが)

キスマイが早くからやっていた番組といえば主にテレビ朝日系列の「濱キス」そしてフジテレビ系列の「キスマイBUSAIKU!?」ですが(冠番組やるの物凄い早かったですよね)、開始としては濱キスが半年ほど早かったです(特番を含む)。
テレ朝バラエティのレジェンドと名高い(笑)よゐこ濱口優さんを先輩とし、バラエティのいろはを学ぶ。そういうコンセプトでした。なんだかデビューが遅かったせいか、大変なロケや企画に次々放り込まれ、緩やかな段階などは一切踏まず、血反吐吐かせたいんじゃないかレベルの激しさでキスマイはバラエティの戦場を駆けていったのです。(黄金伝説への玉ちゃん投入の速さは吃驚させられました)
デビューが遅いとはいえ若手扱いのキスマイは、長時間ロケ、体力ロケ、お勉強系、食事系と、テレ朝が得意としているところを濱口さん経由で一気に浚わせてもらっていた時期があったように思います。一体どこの若手芸人なのかと思いました(良い意味で)。

ちょっと時期を前に遡ると、私はニカちゃんのことを結構過大評価するに至ったきっかけがあって、バラエティをやっていくにあたって面白そうな子がいる、と思ったことがあったのです。
デビューを直前に控えたころ、今はなき「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングに出るという、前代未聞のことが起きていました(流石はSMAPの弟分)。七人揃って出演です。そこで、「誰か一発芸」みたいなくだりになったのです。若手で、まだJr.といっても過言ではない状況で、タモリさんの前で、そのフリ。相当な緊張だったはずですが、手を挙げたのはニカちゃん、二階堂高嗣その人でした。
宮田くんに「手伝って」と言って二人で前に出てきて、「F1風でジャニーズものまね」をやったように記憶しています。まぁウケがどうだったかは別として(でも、そこまで悪くもなかったんじゃないかな)私はニカちゃんのその「勇気」をものすごく、評価しました。「あの場面で前に出てくるなんて、やるな!」と思いました。本当に(特に、あの時期だったからというのもありますが)。
あれ以来、私はニカちゃんを「賑やかし要員」として評価したく、見守っています。割と、キスマイBUSAIKUなどで発揮されている……ような気もする(笑)。

元々、千賀くんという人はキスマイの「三番手」であったように私は記憶しています。それは、友人にもらった映像の多くで、彼が北山・藤ヶ谷の次に目立っていたから。デビューの時点では玉ちゃんが三番手として前列に来ていましたが、実は元々千賀くんが三番手だった。私の千賀くんの印象はそうです。
もし私の予測が事実だったとすると、彼の悔しさは半端ではなかったんじゃないかな。ニカちゃんと一緒にローラーでのアクロバット要員でもある彼はMJを尊敬し、ダンスへの定評もあったと聞いています。デビュー前からソロ曲もあったとか。それがデビューしたら「後列」扱い。担当の人達もつらかったのではとお察しします。そんな千賀くんがキス濱で、名乗りを上げて北山くんの一万円生活の裏で「豆生活」をしたり。彼自身も色々思うところがあったのでしょうが、彼の努力家で負けず嫌いそうなところが、バラエティでは私に伝わっていました。
宮田くんはオタクキャラというのがデビュー当時から推し推しだったので、現在にも継続してそれはブレていない(多分)わけですが、同じオタクの身から言わせると「だったらもう少しアニメ系企画で活躍を見せてもいいのではないだろうか……」と悶々してみたり(でももしかして番組のことを考えて、あえてすぐ答えなかったり間違えていたりするのだろうかという深読みもする)、とにかく宮田くんの、厳密に言うと「アニオタキャラ」(ニノなどは軽いゲーオタ)はデビュー組ジャニーズでは目新しく、初期のキスマイの中ではキャラ立ちに十分役立っていたのではないかなと思ったわけです。

そこで問題になるのが、横尾さん。
私は、「濱キス」がレギュラーになったころから、思っていました。「横尾さんがハネたら、キスマイ全体がハネるんじゃないか」という、特筆した根拠もない予感。だって一番目立ってない(目立とうともしてない/オンエア上)のは横尾さんだけだったからです。
横尾さんは、料理をはじめ家事が得意で、遅刻などに厳しく、いわゆる「おかんキャラ」だと私は思っていました。ところが、ラジオを聴いてみると「滑舌悪いキャラ」でもあったのです。今ではテレビでもイジられていますが、初期は横尾さんの滑舌の悪さはイジられてこなかった(少なくともオンエア上にはのっていませんでした)。初期には、ラジオでだけイジられるキャラでした、滑舌のほうは。ラジオでは音声だけなのでイジられやすいのですが、そもそも普段あまり振られることも目立つこともない横尾さんが、テレビで「滑舌」という、「まず言葉を発さないと始まらない」キャラがあることに、世間が気付くのはいつなんだろう、と。まして後列でもあり、年下組のガヤの勢いに押し負ける横尾さんには、なかなか喋るチャンスがまわってきにくかったように思うのです。
「おかんキャラ」というのは往々にして「常識人」「ツッコミ」として必要とされるところですが、横尾さんにはそのキレがありません。滑舌が悪いから(他の理由もあるでしょうけど)。しかもバラエティ上わかったことですが、意外と常識力(知識)もそれほどではなかったりして、「……この人、どうすればハネるんだろう」と思っていました。なんとかして滑舌を直すか、どうにかして滑舌をイジっていくか、どちらかしかない。ような、気がしていました。(滑舌を直せば、演技のほうにも繋がっていきそうな気はしたし)
仕事自体は順繰りにまわってくるかもしれないけれど、横尾さんがハネるには……逆に言えば、横尾さんさえうまくキャラ立ちしてしまえば……キスマイは、強い……!!私の長年のバラエティ好き感覚が、それを予見していたのです。雰囲気で。別にマネージャーでもプロデューサーでもないけれど、私はいちファンとして、キスマイのバラエティを見ながら悶々としていました。
それだけ、キスマイに対して、バラエティ好きジャニオタとして、期待があったのです。

余談ですが、私が北山担になったきっかけは、彼がデビュー直前のころテレビで「中居さんみたいになりたい」と言ったことに由来しています。元々、美咲ナンバーワンを見て北山くんか藤ヶ谷くんか……と迷っていたのですが、決め手はその一言でした。
中居正広というひとは、MCとして、なんと北山くんがデビューした年齢にして紅白の司会をやっているような人なのです。「あれを目指すだなんて、応援し甲斐があるじゃないか!」と思いました。まぁ敵うにしろ敵わないにしろ、それはとてもSMAP贔屓だった私に響いたのです。「将来が気になる」そういう意味で。

「後列」から「舞祭組」への転換

さて、そんな格差問題に喘ぐキスマイの転機。
「キスマイBUSAIKU!?」そして、「舞祭組」の発足です。

あの番組がどこまでガチか私は知りませんが、まぁおおよそガチだと仮定して話をすすめます。「テレビの嘘」はある程度存在するものではありますが、ある程度純粋にものを見ないと、テレビ、面白くないですからね(笑)。
だいぶ前に書いたとおり、キスマイが世間から「ブサイク」呼ばわりされていることから、あの番組は始まりました。あれがそもそもガチなのは、その話、私も番組が始まる前から聞いたことがあったからです。「キスマイって顔面偏差値が低い」みたいなこと。まさか、それをネタにするとは思いもよらなかったわけですが。
この、番組開始当時の時点で明確にしておきたいのは、この「キスマイってブサイクじゃない?」と言われていたのって、「メンバー全員のことだった」ということです。だって偏差値ですからね。
しかし。あの番組をやることによって、私は世間のイメージがだんだんと変わっていっていることに気がつきました。もとい、「これがイメージ戦略か」というのを、キスマイというのを元にしてまざまざと見せつけられたのだと、そんな気がしたのです。

番組では、毎回テーマごとに全員がそれに沿ってプロデュースしたVTRをつくり、それを「特にキスマイのファンではない女性たち」が評価し、ランキング付けされます。そして、「カッコイイ」から「ブサイク」まで、盛大にコメントでおちょくられつつ発表されるのです。
この企画。そもそも、「格差が視覚化」されているグループおよびメンバーにとって、これほど不利なことはありません。いくらファンでないとはいえ、キスマイが世間に認知されればされるほど、「ファンではないけどどんな人か知っている」人は増えるわけです。個人に対して「なんとなく好き」「なんとなく嫌い」の人もいるでしょう。実際、ドラマの仕事や露出度が高く、また歌のときは「前列」に立つ、藤ヶ谷くんをはじめとした玉森・北山が1位~3位であることが多数で、後列の四人は下位常連、もはや「ブサイクでお馴染み」にすらなっていました。その結果はつまり、「後列なのも納得」ということをすら導くわけです。
ここでまず、思い出してほしいのですが。
「ブサイクなのは全員のこと」だったはず。なのに、いつの間にか番組上では、「前列の三人はカッコいい」というイメージが、後列のブサイク常連化を踏み台にして出来上がっていました(少なくとも藤ヶ谷・玉森は)。これにより、まず「前列イケメン化」してブサイクを払拭したわけです。後列と対比される(後列をよりブサイクと扱う)ことによって、「前列は割とイケメンだ」ということになる。(もちろん番組を見ていれば、実質藤ヶ谷くんなどはリアルなイケメン資質を持つ人だということを自ら体現していることもわかるわけですが)
しかし、番組が始まって一年が過ぎたころ(レギュラー放送としては一年未満)、突然現れた中居先輩によって、後列の四人に転機が訪れました。それが、「舞祭組」の発足だったのです。
「普段シングルのとき、マイク持たせてもらえない(ソロパートがない)んです」……そんな話から、中居先輩は「四人に曲作ってやる」と言いました。そして「ユニット名は『舞祭組(ブサイク)』に決まったから」そう言い残して。
ジャニーズとしては前代未聞な名前を付けられつつも、「キスマイ後列」の四人は「舞祭組」というユニットとして生まれ変わることになり、その年の末に『棚からぼたもち』という彼らの状況ピッタリなデビューシングルを衝撃リリースすることになります。

まさにそこから、舞祭組と名を変えた後列四人の快進撃が開始されました。
中居先輩から提示された「ランキング一位」は叶っていませんが(いつも集計がズレる日に発売されているあたり、取らせる気があるのかないのか謎ですが)、結果的に「一位を取れない(番組上では、イコールブサイク)」ということになり、罰ゲームとして更にオモシロ顔を晒すことになっています。「キスマイでは一位、取れるのに」「これじゃあまだブサイクだな」そんな感じで。
しかしキスマイBUSAIKUという番組では、更に奇跡を起こす舞祭組メンバー。なんと、テーマによっては舞祭組メンバーが上位独占するという、まさに下克上が起こるようになったわけです。これは、番組(バラエティ)としても非常に面白い展開。しかしそう毎度うまくはいかなかったり……というのがあるからこそ、この番組は面白い。「このテーマならうちの担当はやれる!!」そんなふうに思って見るのが楽しいです(笑)。
この舞祭組が生んだ物語性は、確かにあの下克上の瞬間だいぶドラマティックだったように思いました。「ブサイクだってやれる!」「男前になれる瞬間がある!!」そんな夢さえ与えてくれます。この感動はある意味、彼らが「ブサイク」と世間に揶揄されていなければ無かったことなのでしょう。「イケメン共(神々)の遊び」とはならないわけですからね(笑)。
「キスマイBUSAIKU!?」は舞祭組以外にも、様々な「キャラ立ち」をさせてくれました。いつの間にか、コメントが個人によって定番化し出したのですね(それを意図的に拾っているというところもあるとは思うのですが)。
北山くんは「昭和」「チャラい」とか、玉ちゃんは「甘え上手」「年上キラー」昨今では「運動下手」というマイナス面をも浮き彫りにしています。更に横尾さんは「水まわりの横尾(料理得意)」という称号を得ました。料理系のテーマではむしろ1位(カッコイイ評価)を取らなければならないような空気になります。初期ではありえなかったことですね。
北山くんの評価によくある「チャラい」は良い意味でも悪い意味でも使われることがあります。つまり全員に言えますが、「短所は裏返せば長所(逆も然り)」ということ。……なんかそう考えるといい番組ですねあれは(笑)。

横尾渉の開花と、キスマイの4年間

舞祭組は現時点(2015夏)でシングルは三枚リリース。しかも、「舞祭組」としてCM、ドラマまでやって、中居先輩の番組とはいえUTAGEというレギュラーすらあります。(前列の三人は「ミになる図書館」に交替レギュラーで出演しているので、特別三人より多いということはないですが)
特にUTAGEの影響は大きく、TBS系列の音楽特番「音楽の日」では客席から「師匠!!(横尾さんのあだ名)」との黄色い声が。……そう、このUTAGEという番組で、舞祭組として、師匠として。ついに、横尾さんが今、ハネかけているのでした

UTAGEという(一応)歌番組で浮き彫りになった横尾さんの「歌へたキャラ」。元々、舞祭組のリリース時点で中居くんが「俺よりひどい」とまで言っています。思えばそれまで、後列はあまりマイクを持っていなかったので、気付きませんでした。アルバム曲だとユニット曲もあったのですが、何しろ音源ですし。私は現場に入ったことがないほぼデビュー新規なので、横尾さんの歌がどんなふうなのか、それほど知らなかったのです。
UTAGEでは色々な人とコラボまたはカバーとして歌う機会があります。ジャニーズでは中居くんをはじめとして何人か「歌が下手扱い(もしくは自称)」な人がいますが、……個人的には、私はそのどの人達も、基本的には「普通」であって、ジャニーズの楽曲はキーが(男性には)高いため、無理矢理合わせようとすると外れてしまうことが多いからこそ、下手に聴こえてしまうというだけだろう。「音痴」とはもっとヒドい、どうしようもない状態のはずだ。と、思ってきました。
が、横尾さんに関しては流石に、私もちょっとフォローがしづらいレベルです。中居くんが自分よりひどいというのもわかる。少年倶楽部のキスマイ初期の映像で横尾さんソロパート歌ってるふうな映像がありましたが、あれは音源ということでしょうか……いずれにしろ、ちょっと外れる確率が高すぎます。
とはいえ、横尾さんはそのもはや清々しいまでの歌へたっぷりをイジられるようになり、本人もハジけ出しました。「舞祭組」の歌割りではわざわざ横尾さんがものすごく目立つパート(大サビ)にしてあります。UTAGEでも、舞祭組でも、振り切って歌う横尾さんは、むしろカッコいいのでした(そして面白い)。
ちなみに最近では、中居先輩は横尾さんの「滑舌」もイジり始めています。去年からくらいでしたかね。あの瞬間私はちょっと良い意味で戦慄でした。

私はあの時、キスマイがバラエティを始めたとき、思ったはずでした。
「横尾さんがハネたら、キスマイ全体がハネる」。
UTAGEが2014年春に放送開始して、一年と少し経ちます。そして、キスマイは2014年末に出した『Thank youじゃん!』というシングル売上で、デビュー曲『Everybody Go』の売上記録を更新しました。
実は「デビュー曲の売上を超える」というのは、昨今ではなかなか難しくなっています。事務所内で考えても、割合としてはデビュー曲が一番売れたグループの方が多いのです。(あの嵐ですらそうです)
この際、特典商法については毎度のことなのでちょっと置いておきますが、キスマイは基本的にCMやドラマ主題歌などのタイアップで今までのシングルを出してきていました、が、『Thank youじゃん!』はタイアップソングではなかったのです。まぁ、年末発売だったのでそれなりに披露の機会は多かったように思いますし、カップリング曲はタイアップだったんですけど。それ以外に、いつもと違うことがあったのです。
『Thank youじゃん!』の衣装は、全員がお揃いだった
そしてその次の『Kiss魂』では、別にお揃いではありませんが、かといって大した格差があるわけではありません。皆がちょっとずつ違えて、前列とか後列とかで分かれていない。少なくとも、明確な違いはない。そう思います。キスマイは三、四年かかって、……いや、「たった四年」で、格差を埋めたのです。
私があのとき感じた横尾さんへの期待はこれだったのかもしれません。「(一番前に出てこない)横尾さんが認知されたときが、Kis-My-Ft2としての認知度が次の段階に上がるときなんじゃないか」、そう思ったからだったのかもと。

私は、格差があることは必ずしも悪いことだとは思いません。
キスマイの場合、少なくとも今、「(格)差をつける必要がなくなってきた」と言うべきでしょうか。最初のほうで書きました、「差がついているほうが、外から見たときに分かりやすく映ることもある」と。最初は全く後列四人の見分けがつかなかったうちの母は、今では全員の顔と名前がほぼ一致するようになりました。『Thank youじゃん!』のテレビ披露を見たとき、うちの母が言っていました。「みんな衣装同じになったね」と。しかしその時点で、母は全員の区別がつくようになっていたのです。
それはもちろん、私という布教者がいるからに他なりません。でも、少なくともそれによって興味を持ってくれて覚えるくらいには、彼らが露出していたし、「そういう出方をしていた」ということです。日常的に目にしていて名前を覚えるくらいには、母の中でキスマイが好感度を上げられたということなんです。興味を持たなければ、いくら見たところで人は覚えません
私はバラエティから音楽番組までおおよそ見ていますし、何なら狙ってキスマイBUSAIKU!?を母のいるときに流したりしました。どちらかといえば、濱キスよりキスマイBUSAIKUをすすんで母の前で流しました。
それはなぜかというと、「キスマイBUSAIKU!?」という番組が、「(結果の良し悪しはともかく)確実に全員にスポットが当たる番組」だからです。しかも、ランキング付けされるので「名前が出た上に顔が映る」のです。これは地味で単純ですが、知らない人にとってはとっても覚えやすいはず。しかも「ブサイク」呼ばわりされたり、やっていることのインパクトが大きいのも良い。そして、その人の長所も短所も見える。色んなところが見えてくると、人は愛着や好感や親近感を抱き始めます。売れるというために露出度が高いに越したことがないのには、そういう一因もあるかと思います。
「玉ちゃんは、こういうテーマが得意だね」「藤ヶ谷くんはいつも流石だね」「ニカちゃん、また最下位になっちゃったの?」そんな言葉すら出るように。大体知らない人よりは割と知っているレベルで、キスマイを話せるようになったのです。すごい。見事に、うちの母親はこの四年ほどでKis-My-Ft2を全員覚えました。うちは家族でSMAP贔屓なので、そこも多大にあるのですが、そこはやはり「露出が高い」ことと「好感を持ちやすい」に繋がったのかなと思います。

キスマイは、格差というものを存分に利用した、といえるでしょう。そもそも「キスマイBUSAIKU!?」とはランキング……つまり「格付け番組」なのです。
デビュー当時から、前列・後列で衣装が全く差別化されていることは、ファンでなくても気になることでした。そして、しばらく前列の三人だけに単独でのドラマやバラエティの露出が増えていった。しかしその格差をイジり続けた中居先輩によって生み出された後列ユニット「舞祭組」は、キスマイについていた「ブサイク」という悪印象をフジテレビの冠番組とともにネタにし、吸収して、自分たちでそれを自称することで開き直り、それを武器にしてしまった。
『僕たち、後ろの四人なんです、後ろでいつもガヤガヤしてる四人です』『でも前の三人、俺たちが引き立ててるから輝けるってことを忘れるなよ』『でもいつもありがとう、前の三人がいなければ俺たちもいない』……『棚からぼたもち』はそういう曲でした(ざっくり言えば)。
「なかいさん」は、「後列」という、芸人さんでいえば「じゃないほう」の四人の悲哀を、ネタに昇華しオモシロにして、彼らの自信に繋げた。……そういうことにしても、おおよそ間違いではないかな、と思うわけです。「コンプレックスを逆手に取る」はバラエティの基本であり、どんな形であっても前に出る機会が増えることは、四人に自信とチャンスを生んだと思います。
舞祭組は、『僕たち事務所に推されてないんです』と声に出すことによって、『世間』に推してもらおうとした。……実際そうなったかはともかく、その行動が多くの人の「視界に入った」ことは確かだったことでしょう。まずその「最初」が一番大事なんですよね、好きになってもらうには。

デビュー当時「前列・後列」で分かれていたキスマイは、いつの間にか「前の三人と舞祭組」という状況になりました。「地味で衣装ですら目立たせてももらえない”後列”の四人」みたいなネガティブな言い方をやめた、というかやめさせたのですね。別の名前をつけることによって。そして、別のユニットとしてデビューさせてしまうことによって「覚えやすくした」のです。

また母の話になりますが、そもそも親世代にとって、七人……いや、六人以上はそもそも数が多くて覚える気がしない。といいます。
思えば最初から格差がついて(つけて)いたのも、「まずこの三人だけでも覚えてください」みたいな提示だったように、私は思っていました。芸人さんが漫才の最初に「名前だけでも覚えて帰ってくださいねー」って言うみたいな感じで。だから私もまず母に北山・藤ヶ谷・玉森を覚えさせよう、と思いましたし、どこかの誰かと私の思惑通り、割合早い段階で三人のことは覚えてくれました。
次に、後列の四人です。正直、目立つ人(センターとか)なんて時間が経てば誰でも知るようになりますから、「目立たないほうのメンバー」を認識できるかどうかで、いかにそのグループを認知しているかが測れるのです。「キスマイが全員わかったら、親世代としてはだいぶ若い感じになる!」……と、思いきってそれを目指してみることにしました。
前述したとおり、キスマイBUSAIKU!?を優先的に見せていましたが、最下位常連のニカちゃんやオタクキャラがわかりやすい宮田くんなどは覚えてくれても、なかなか横尾さんが覚えられなかった。(結構、順位が中途半端だったりしたので)
そこへきて、「舞祭組」の結成。母の中にも「後列」という意識はあったので、中居くんプロデュースというのも相まって少し注目されました。そして『棚からぼたもち』、追い打ちをかけるかのように「UTAGE」です。「ジャニーズの歌へたレジェンド」中居正広に匹敵する歌へたぶりを披露しまくる、(その道の)超新星横尾さん。「師匠」というあだ名もついて、横尾渉が注目されるべき大きな取っ掛かりができたのでした。「七人」だと目がいかなくても、「四人」だと目がいくようになるのです。舞祭組ではソロパートもありますから、カメラもちゃんと来ますし。
……そして、おおよそ2014年ごろ、母はキスマイを全員認識するに至ったのでした。

キスマイは7を3と4にわざと分けることによって、相乗効果で全員を世間に認知させようとしたのだ、と私は思っています。
「ブサイク」という、ジャニーズ(アイドル)にとってマイナスイメージと思われた意見さえ逆手に取って、それを後列のアイデンティティにしました。「ブサイク」を「舞祭組」に変換・転嫁してしまうことで、「前列」は自ずと「ブサイクじゃないほう」になり、番組や役柄の影響が乗っかってだんだんと「カッコいいほう」になる。露出度が増えてよく目にするようになり愛着がわくようになると、人はいいところ探しをして、ちょっとしたことは「愛嬌」に変わっていきます。キスマイのブサイクさなんて、それでどうにかなってしまうレベルの絶妙なものじゃないだろうか、と私は思うわけです(私は最初からブサイクとは思ってませんが)。
そうなれば、いつしか「カッコわるいほう」ですら、「それはそれで」な気分になってくる。そして彼らが下克上した瞬間、アウェーで勝利をおさめたような少年漫画的ともいえるカタルシスを見ている側も得るようになり、「カッコわるくてもカッコよく見える」という意識を覚えるわけです。
前列と後列という構図は、グループ内にスポーツ的敵対関係を作り上げ、「揺らがない王者を望む人たち」と「王者が下克上されるところ(する人)を見たい人たち」の両方を楽しませられるキャラクター関係が認知されだした、といっても過言ではないはずです。ひとつのグループ内にメジャーとマイナーをつくる、ということですね。誰もがメジャー好きではないわけで、マイナーを応援したい人もいるわけです。これが、つまるところ「格差によるイメージ戦略」で表れることではないでしょうか。格差とは時に、自然と物語性を生み出す種になるのですね。
ブサイクと言われデビューしたジャニーズグループが、格差を乗り越えコンプレックスをバネにして世間に認知されるようになるまでのこの四年間は、まさにひとつ物語を見た感覚でした。それは、彼らが最初から高いところにいなかったからこそ「親近感」を生み、今後「国民的」になっていく第一歩になりえたのではないか……とすら思います。今の仕事量では忘れがちですが、彼らもデビューまで時間をかけた苦労人でもあったわけですし。
これは、SMAPというバラエティを主戦場にしてきた先輩に付いてやってきたからこそ「舞祭組」のようなカウンターを可能にしたし、それを受け入れられる土壌を作ったこの数年間だった、と思います。いくらか古参の人は離れてしまったかもしれませんが、今のキスマイならば今後また新たなファンがきっと増えていくに違いありません。
もしかすると私が感じているほどにはまだ世間に認知されてないかもしれないけれど、何より私の母親は全員を覚えましたし、少なくとも今感じられる随所での動きが、多少なりそういうふうになってきたことをも証明しているはずだ、と私は信じたいのでした。

最初から意図的だったのかは謎ですが、そういう戦略だったように思います。衣装格差問題から舞祭組発足まで、そういう「キスマイ第一章」的な物語であったのだと。そして今、彼らは次の段階に入っている。北山くんは「おまえ前列に入ってるけど限りなく後列だからな」的なイジりをされていますし、玉ちゃんや藤ヶ谷くんの苦手分野もバレ始めました。しかし相変わらずニカちゃんは最下位になりますし、藤ヶ谷くんはキングだったりするいつもどおりの週もあるのですが。
もう少し内に入った格差話でいえば、1stアルバムでは北山・藤ヶ谷というメインボーカル二人にしかソロ曲がありませんでしたが、2ndで「玉森with舞祭組(名義的には四人の名前)」「北山&藤ヶ谷&玉森」というユニット曲を経て、3rdでは玉ちゃんにもソロ曲が与えられました(実は『棚からぼたもち』も収録されている)。そして4thではソロ曲を入れず、二人ずつのユニット曲(藤北・宮玉・二千・藤横)になっていて。この辺りにも、キスマイが少しずつ格差を埋め、やがて格差をつける必要がなくなっていった様子が見えるような気がします。
1stではJr.のころのキスマイを踏襲(当時の持ち曲も収録)していて、2ndは3rdへの準備、そして3rdで前列と舞祭組を明確に分けたあと、4thでは違うアプローチのキスマイを見せるように。今回の二人ずつのユニットはおそらく古参にはお馴染みであろう「シンメコンビ」中心に分かれていますが、これはつまり今までの「前列の三人と後列の四人です」という見せ方から、次の段階に移行しだしたといっていいと思うわけで。ジャニオタなら割と早めに触れるはずの「シンメ」という楽しみ方を、ここにきてやっと世間に披露しはじめた……そんなふうに感じました(勝手に)。全員を覚えてもらっていれば、二人でも、三人でも、どう組んでも楽しめるようになってくるはずです。

キスマイは数年の前フリを経て、その数年をとんでもない速さで駆け抜けながら現在を迎えています。正直私は、格差が埋まるのにもう少し時間がかかると思っていました。だからこそ、余計に驚いています。どんなに先輩の力を借りてチャンスを得ても、最終的に出るものは彼らの頑張りの結果であるからです。与えられるものが大きく多ければこそ、それだけのプレッシャーはかかる……そう思います。
デビューに時間がかかったぶん、彼らは怒涛の勢いでやってきたように思います。
そしてその成果はきっと、ある程度以上には出ている……のでしょう。少なくともそれは、うちの母が全員を認知できたという事実と、『Thank youじゃん!』の売上そして衣装が多少なり証明している気がしないでもないです。

長々語ってはみましたが、これはまだ彼らの道の途中で、私のキスマイ担としての道も途中、なのです。「経過報告(感想)」にすぎないのです。私という、いち個人の。私なんて、まだライブ映像を買ったことすらありませんからね、とここまで偉そうに書いておきながら衝撃的なことを今更足してみる。……いや、アルバムは全部持ってるんですけれど、色々予算的都合とタイミングがですね。
しかし今回の4thアルバムで、北山担であり藤北担でもある私は、ショップ限定の北山盤に入っていた特典映像を見て、「まさかあのギター本番で使ってるところを確かめに来い(そしてソフトを買え)」ということでは……と気付いて、いよいよここが買うタイミングかなぁ……と思っている次第でございます。まぁ、本当に本番で使ってるならたぶん買う方向で、とは思ってます。キスマイのライブもずっと見たかったので。

なお、全ては勝手な私の妄想であり好意的かつ肯定的な予測・想像であるということを一番最後にも記しておきつつ、今回の語りを終えることにします。
これからもっと面白くなるであろうキスマイに期待。

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