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読書感想『エレノア・オリファントは今日も元気です』

“Eleanor Oliphant Is Completely Fine”
by Gail Honeyman
『エレノア・オリファントは今日も元気です』
ゲイル・ハニーマン 著
西山志緒 訳

エレノア・オリファント 、30歳、独身。デザイン会社の経理。毎日同じ服を着て、同じ時間帯に働き、同じ夕飯を食べ、週末は本を読んでお酒を飲んで寝る。週に一回、毒親の母と緊張しながら話す。
顔の火傷と、合理的な思考や会話のせいで周りから変人扱いされ、友だちも恋人もなく、それを気にもしていなかったエレノアだったが、パーティに来ていたバンドマンに心奪われ、彼と出会って恋に落ちる準備を始めようとした矢先、新しくシステム部に入社してきた、見るからに冴えないオタクのレイモンドと、ひょんなことから路上で倒れた老人を助けることになり…

冒頭だけ読むとアスペルガーの疑い濃厚なイタい腐女子の話か?と誤解するので、きちんと最後まで読み通すことをお勧めする。
たぶん、主人公の名前は「みなしごの象」をもじっているのだと思うのだが、一見、たんなる偏屈屋のエレノアは、実は非常に高潔で、賢く、思いやりや愛情に溢れた、悲惨な過去によって苦しんできた人であり、物語が進むにつれ、彼女の隠された過去や謎が少しずつ明らかにされていくのだが、それと同時に「とても頑丈」であったはずのエレノアは衰弱していく。
過去と向き合い、今まで頑張ってきた自分を素直に受け止めたとき、エレノアの周りには、たくさんの善意や愛情があった。まだまだ克服すべき困難はたくさんあるし、うまく人とコミュニケーションがとれないことには変わらないだろうけれど、エレノアはきっとやっていける、そう信じたくなる結末であった。

ひとりの女性の成長物語でもあり、ミステリでもあり、自分自身というものに苦しむ、多くの女性たちへのエールともとれる、イギリスらしいユーモアと皮肉に満ちた、素敵な小説で、リース・ウィザースプーンが監督主演で映画化予定なのも頷ける。これは演じたいと思う女優はいると思う。
週末、毛布にくるまってお茶を飲みながら読むのに良い本である。

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