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イヤフォンに踊らされる人間

電車に乗っていたらお気に入りのワイヤレスイヤフォンが壊れてしまった。
突然右耳が聞こえなくなってしまったのだ。
充電は100%、Bluetoothの接続を何度トライしても右から音は聞こえてこなかった。2年近く愛用していたので寿命だろうか。

低音がよくきこえて、中音域の幅も結構、高音域は中音域には劣るがまぁまぁ、しかもノイズキャンセラーがついて自分の世界に入るのにはもってこいな定価2万円のイヤフォン…お気に入りだったのに。

どうしよう。でも大丈夫。

わたしはこんなこともあろうかと予備で持ち歩いていた、過去2千円程度で購入したイヤフォンを代わりに使うことにした。しかし、お値段がひと桁違えば、もちろん聴き心地も雲泥の差である。

音がシャカシャカだ…。

あまりの音質の差にしばらく茫然としていたわたしは、我に返ってすぐにイヤフォンを外した。

こんな音質の音楽は聴くに耐えない!
まるで電波の悪い場所できくラジオのようだ!

しかしわたしはどうしても音楽がききたかった。
音楽がなくたってとにかくイヤフォンを耳にさしたい。
ささなければもう電車にあと1秒も乗っていることが出来ない。

その証拠にだんだん心臓がドキドキしてきて呼吸も浅くなってきた気がする。あああもう今すぐに電車から飛び降りたい。

今にも叫び出しそうなわたしの脳に言葉が降りてきた。

『リュックの小物入れポケットを開けなさい…』

すぐさま前向きに背負っていたリュックを開けて内ポケットを確認した。なんと…コード式イヤフォンが入っているではないか。

我ながら用意周到である。しかも1万円程度で買った記憶があるのできっと音質は悪くないはずだ。過去の自分に感謝をしながらスマホにイヤフォンプラグを差し込んだ。

意気揚々とイヤフォンヘッドを耳へ持っていこうとしたその時。

あれ?片耳のヘッドに、イヤーピースがついていない!
なんてことだろうか。
ワイヤレスイヤフォンに変えてからというもの、そのあまりの利便性に見向きもしなかったコード付きイヤフォンは、その間に一番大切なイヤーピースを無くしてしまっていた。

いや、待てよ。
他のイヤフォンについているものを代わりにすれば良いんじゃないのか?
そう考えたわたしは早速、壊れた定価2万円のイヤフォンのピースをコード付きのイヤフォンへ付け替えた。しかし大きさが合わない。もう一つの定価2千円のイヤフォンのピースに替えてみた。だめだ、これも合わない…。

仕方がない…目の前の心地よさにかまけて彼(彼女?)をないがしろしていたツケがここで回ってきたのだ。せっかく用意周到に巡らせていた備えも潰えた。

3度目の正直もついに破れたわたしは、ここにきてイヤフォンの存在に疑問を持ち始めた。

イヤフォンがないくらいで何をそんなに動揺しているんだわたしは。音楽をきかないという選択肢もあるじゃないか。
にもかかわらず身動き取りにくい満員電車内でゴソゴソやってしまった。
どうやらわたしは相当イヤフォンに依存していたらしい。
器械を使う側の人間が、器械に踊らされてしまっていたようだ。

些細なことから、なんだか深いことに気がついてしまった。
ちょっと冷静になったわたしは(たぶん)皮肉な笑みを浮かべながら、スマホをみた。

そしてアマ●ンで新しいイヤフォンを物色するのであった…

編集:アカ ヨシロウ

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ホン サチ

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