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テスラコイルを作ってみた

工学部の電子工作初心者がテスラコイルに手を出した結果


電子工作初心者がテスラコイル(SSTC)を自作したことについての記事です。

結論から言うと、「テスラコイルは詳しい人と一緒にやろう」
もしくは、   「テスラコイルは自分が詳しくなってからやろう」
という話です。

こちらは製作過程についての事をメインに書いた記事になります。
具体的なテスラコイルの仕組みなどについてはまた別の記事で書く予定です。少々お待ちください。

※※※注意※※※

  • テスラコイルの作成にはその危険性の十分な理解と、適切な知識と設備が必要になります。

  • この記事はテスラコイルの作成を手助けする為に作られた記事ではありません。

  • 内容に技術的な誤りが含まれている場合があります。

この記事を参考にして生じた損害などについては一切の責任を取りかねます。



はじめまして

はじめまして、ほなぞう(仮)と申します。

この記事が初投稿となります。👏( 'ω' )

長いこと工作などしてきたのですが、記事という形でアウトプットする機会がなく、いつかネットにアップできればな~、と思うだけで何もせず…

しかし、とある企画の募集がありまして、これは良い機会だと思い、重い腰を上げた次第です。下のリンクからどうぞ。どれも個性的でおもしろい記事ばかりですので。

テスラコイルってなに

テスラコイルとは…テスラコイルとは何でしょう…。

正直、わかりやすい説明ができる自信がないのでググってもらえると手っ取り早いかと。

要は、放電をする実験装置です。ニコラ・テスラという人の発明品で、その主軸がコイルである為、テスラコイルと呼ばれています。

もし興味を持ったら以下のワードも調べてみると面白いと思います。
※伏字された字で示された項目は科学的根拠に欠く議論が多いので注意が必要なものです。
※テスラコイルを調べて何か革新的な発明を閃いた方は、是非自力で開発してみましょう。

  • 放電

  • パワーエレクトロニクス(パワエレ)

  • テスラコイル実演、テスラコイル実験

  • SSTC、DRSSTC

  • ファラデーケージ

  • テスラコイル演奏、ニコニコ技術部、演奏してみた、平沢進

  • フリーエネルギー

  • 世界システム

製作過程

テスラコイルとの出会い(作るきっかけ)

かねてより、テスラコイルには興味があったのですが、ある出来事が自作を始める決定打となりました。

2020年2月につくば市で開催された、ものづくりの祭典「Tsukuba Mini Maker Faire」にて、巨大なテスラコイルが出没しました。

こちらPJさん(https://twitter.com/pcjpnet)の作品です。日本でテスラコイルに興味を持ち調べ始めた人ならば、必ずこの名に行きつくかと思います。この他にも様々なものづくりを展開しており、ハチャメチャなつよい方です。

tmmf(Tsukuba Mini Maker Faire)に出展サークルのメンバーとして参加していた自分はこのテスラコイルの轟音が高層マンションに響き渡るその様に一目惚れし、コイルを巻き始めました。

コイルを巻き始める

まず自作を考えたときに、直感で作れそうと考える部品がコイルです。
このとき回路の事はさっぱりだったのでコイルを巻き始めました。

買い集めた部品

部品を集めて

簡易のコイル巻き機を作成
巻きます

巻きます

2週間…

(当時“独房“と称される激狭い大学宿舎に住んでおり、本当に邪魔でした)

回路、何もわからない

勢いでコイルを巻いたのですが、

本当に回路が何もわからない

電子工作を始めて1年程。Arduinoしか触ったことのない人間でした。

回路図は読もうと思えば読める、ということでとりあえず人の回路をまるまるパクれば行けるかと思っていたのですが、そのような意気込みでいると以下の様な問題にぶち当たります。

  • 人の回路の意図が読めない

  • 回路図以外の情報が見えない

  • デバッグができない

これらはやってみないと知りえなかった、という点ではぶつかってよかった問題なのかもしれません。
しかし、非常にたくさんの時間を浪費する羽目になりました。
また、回路の意図が分からない事やデバッグができないことは、テスラコイルが「放電しているか」・「放電していないか」の2つの状態でしか進捗を測ることができない訳です。今どのくらいの出来ているのかわからないというのは、モチベーション維持が非常に厳しいです。

ヒューズを飛ばして遊ぶ図


パワエレを学ぶ

だらだらと機材をそろえたり、自分なりに回路を勉強したり、ちょっとずつテスラコイルの原理を調べて半年程…
大学でパワーエレクトロニクスという授業が始まりました。

機材廃棄からパクってきたオシレータとスライダック

するとなんという事でしょう、今までただ写経していた先駆者の方々の回路が、意図をもっているように見えてきました。
テスラコイル作成はすごく簡単に言えば「インバータ」作りに帰着することに気づきました。

電子回路・回路シミュレータを学ぶ

パワエレだけでなく、自分が足踏みしているうちに大学の授業はどんどん発展的になっていき、様々な回路に関する授業を取れるようになっていきました。

特に力が付いたと感じたのは「アナログ回路」の実験です。昨今の流行病の影響で例年実験室で行っていたこの実験はオンラインでの実施となり、シミュレータLTspiceを用いた実験になりました。
LTspiceの使い方を学んだのももちろん助けになったのですが、特にこの実験は「厳しい」ことで同級生の間で有名となっていて、扱うアナログ回路の素子や回路の特性について、非常に厳密な回答を行いました。
回路において特性を厳密に把握してお くことの重要性、計算やシミュレーションやデータシートの情報などで前もって算段を立てて回路を作っていく行程など、学べることが非常に多く、後々の回路設計でその経験が活きてくるような授業でした。

SSTC用のざっくりしたハーフブリッジのシミュレーション

その他にも、Twitterで知り合った先輩や同じ大学の同期の方に、回路などを非常に丁寧に教えて頂いたこともあり、本当に助かりました。

テスラコイルについて徹頭徹尾自力で作ってみる、という意気でいたのですが、とんでもない思い上がりです。本当に有難い限りです。

実家からパクったオシロスコープ


事故

大学で回路の事を学んでからは非常に進捗が速くなりました。

一方で、実際に回路を動かす段階に移って行ったことで事故が目立つようになりました。

  1.  水筒コン短絡

テスラコイルの電源部分には、交流である家庭用の商用電源から直流に変換する倍電圧整流回路があり、これに所謂”水筒コン”と呼ばれる巨大なコンデンサを用いました。

このコンデンサですが、非常に容量が大きく完全な放電には時間がかかります。残り数Vというところで、抵抗を使った放電が面倒だなと思い、ドライバーを端子に当てて放電したのですが…

水筒コン短絡した結果

火花と共に握っていたドライバーが弾け飛びました。

2. オシロスコープ端子による短絡と素子破壊

大学での実験のオンライン化は、シミュレータなどのソフトを学ぶのには良い機会となったわけですが、計測器を触る機会がなかったりと弊害もあります。オンライン産の工学徒は突然オシロスコープのプローブを結びだす危険性だってある訳です。
そんなことで長い事気づかなかったのですが、自分の持ってるオシロスコープは2chでそれぞれGND端子があり、それが独立ではなく共通であることを知らないまま接続し、短絡し、幾多の素子を殺してしまいました。

素子の死骸

3.  2次コイルからのやけど、感電

2次コイルなんですが勝手がわからずにやけどしたり感電したりといろいろありました。

※床はきれいになりました

↑2次コイルのアース側を適当にしていたら踏んづけてしまい、ジュール熱で床が焦げました。同じやけどが足にもあります。

実験中、2次側に手を近づけたところ手袋を越して感電しました。




おや…?

2次側から感電した、という事は2次コイルにしっかりと電圧が入ったという事です。
そう、製作開始から1年半程、このときようやく完成間近です。これ程感電してうれしかったことはありませんでした。


そして…

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₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾> 完成 <₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾ ̄Y^Y^Y ̄₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾₍₍ (ง ˙ω˙)ว ⁾⁾


風呂でやってることにツッコミが多かったのですが、このときは放電が怖くて燃える物の無いところでやりたい&Twitterに載せるのにノイズの無いところがいい
→風呂場だ
という次第です。
入力装置は3mくらい離れた部屋でやっていたので共振点合わせるのめんどくさかったです。
(もしかしたら下の階の人の風呂場の蛍光灯が光ってるかもですね)

放電に成功した日はちょうど平沢進という人がライブでテスラコイルの演奏をしていたらしく、テスラコイルの注目度も高い日でした。

テスラコイルは詳しい人とやろう

1年半ほどのテスラコイル製作を経て、学んだことは以下のとおりです。

  • テスラコイルは詳しい人とやりましょう。普通の電子回路と違い、事故になる要素が多く、気を使うべき点も多いです。

  • テスラコイルは電子工作初心者が安易に手を出すべきではありません。先にしっかりした教科書を買ってパワエレを勉強するのが最も効率のよい方法です。

最後に

テスラコイルそのものの紹介についてはまた別の記事で紹介できればと思います。
また、もっと意識の低そうな感じの記事も書いていけたら楽しそうだなと思っていますので、時間を見つけて記事を書いていこうと思います。
普段の活動はTwitterなんかを見て頂ければと思います。

では、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
ごきげんよう。

余ったテスラコイルは「マッドサイエンティスト」のコスプレ小道具に再利用されました


沢山の方に非常にお世話になりました。一方的なご挨拶になり大変恐縮ですが、ここで感謝を申し上げます。

  • PJ さん (Twitterにて折々アドバイスをいただきました。ネットに投稿されている記事が非常に参考になりました。)

  • Xenon さん (回路の基礎知識全般、その他さまざまな情報を教えて頂きました。)

  • part_tomoaki 氏 (主に電子回路について折々相談させて頂きました。)

  • 大学の授業を持ってくださった先生方、TAさん

  • インターネット上の先駆者テスラコイルerの方々

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