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『その手に1本の苗木を』   🌳〜マータイさんのものがたり〜クレア・A・ヴォラ 作     柳田邦男 訳        評論社


“もったいない”

と言う日本語を、世界に広めたのは、このマータイさんだそうです。ケニアの環境保護運動をされていて、ノーベル平和賞もとった方。     今の時代の経済優先から、自然の恵みに対する人間の価値観を変えなければ、この先の未来はない。と活動をされている方です。

マータイさんが育った、アフリカ東海岸のケニアの場所は、たくさんのオリーブの木や大きなイチジクの大木があったりして、川は澄み切り、たくさんの魚がいたそうです。

イチジクは、神様の木とされて、小枝ひとつ焚火に使ってはいけないほど、神聖な木として、大切にされていました。

1950年代になると、ケニアもイギリスから独立することになって、自立するには、教育、経済、農業など人材を育成しなければならず、アメリカに600人ほどの学生を留学するようになります。マータイさんもそのうちの1人。

修道院で生物学を専攻し、5年間アメリカで学んだ後、ケニアに帰ると、風景は変わっていました。

木々が生い茂り、たくさんの作物をみんなで収穫し、みんな笑顔で暮らしていたのに、川は枯れて、カエルも魚もいなくなって、あのイチジクの木も、切り倒されていました。

今までは自分たちが食べれる分を作り、収穫し、分け合って生活をしていたのが、売るために、お金を稼ぐために、そんな暮らしに変わっていました。病気が増え、体も弱くなっていく、自分たちで作ったものを、商店で高く買うようになっていくなんて。

国の仕組みを知らない、その土地に暮らす人。 このままでは、全て企業のものになって、開拓され、山は削られ、川は枯れていく。

危機感を感じたマータイさんは、今の現状、今からでもみんなで山を畑を戻そう。と、木を植えることを話します。裸になった山では、災害も多くなること、みんなでもの植樹をすることは、これから先の子供達にも安心して暮らせる場を作ることができると。

まずは、種の取り方から。種を植えて、みずは1日2回、愛情をかけて水をあげて育てること。マータイさんは学校にも、軍隊にも、刑務所の囚人にも、苗を持っていき、一緒に山に植えにいきます。

生活を変えることは、とても難しい。でも、本気で変えたいと思えば、いつからだって変えられる。

もし、輸入が止まって、食料が外国から入ってこなくなったら? 雨がずっと降らなかったら?
どんなことだって、考えられる。

その時、私たちはどう生きていくのか。

自分だけのことではなく、後世に続く子たちのことを思うと、住みにくい場所、日本、世界、地球にはしたくない。

その場所場所での問題点はさまざまです。

“大地は裸ではいられない。緑の衣装を見に纏っていなければ。大地の声をしっかり聞いてください”


マータイさんの言葉は、ずっしり重い。

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