戦場のフーガ レビュー

2021年7月29日にサイバーコネクト2から発売された「戦場のフーガ」。
2周目をクリアしたのでそのレビュー。

タラニスと呼ばれる巨大な戦車にイヌヒト、ネコヒトと呼ばれる獣人の子ども達が搭乗し、連れ去られた故郷の人々、肉親を救う為に軍隊と戦う。
こんなお話
ドンドン進んで行くゲームだがシステムとしてはRPGでタワーディフェンス的な要素もあるか

戦闘はターン制やキャラ変更の所など見るとFF10の戦闘システムに近い気もする。
ゲームはタラニスを進行させるパート、戦闘パート、強化を行うインターミッション、遺跡を探索するパート、などに分類される。



•戦闘に関して
本作の戦闘は先に述べた通り、FF10のようなシステムを取っていて、3人制でキャラを交替しながら戦闘を行う。
交替はいつでも自由にできるわけではなく、一度変更すると3ターンは変更できない。ただしFF10のように操作キャラを控えと交替、と言うわけではなく、総替え出来る。(擬似的に同キャラを連続で操作することも可)
操作するキャラクターにはそれぞれサポートキャラを配置出来、キャラ毎に何かしらの効果があり、サポートキャラとの絆(後述)が高ければ効果が上がり、協力必殺技と言うものも使える。
それぞれのキャラクターはキャノン、グレネード、マシンガンのいずれかを獲物としていて、敵もいずれか、または複数の弱点を持つ。
弱点を突くことで、相手のターンが回ってくる事を遅らせることが出来る。(FF10で言うところのディレイアタックに近い)
その他、SPを消費して、色々なスキルが使える。
敵の装甲を剥いだり、バステを撒いたり、回復したりと色々

・タラニスを進行させるパート
タラニスは列車のように決められたルートを進む。
ルート上には回復ポイントやアイテムを回収出来るポイント、戦闘、遺跡探索、インターミッション(後述)などのマスが配置されている。
ルートは一本道ではなく、道中で枝分かれしていて、危険な道、普通の道、安全な道を選択しながら進んで行き、最終地点のボスに向かう。
タラニスのHP、SPと相談しながら進んでいく事になる。

・インターミッション
タラニス内でキャラクターを操作するパート。
キャラクター同士を交流させて絆を深めたり、食事をしたり、畑で農作物を育てたり、武器を強化したりとやれる事は多岐に渡る
一方で、APと言う物が設けられていて基本的に何かをするとこのAPを消費し、APが無くなると出撃することになる。

その他、村に立ち寄ってアイテムを交換したり、遺跡を探索しアイテムを獲得したり出来る。


以下ネタバレありの感想



・シナリオ、演出
本作はタラニスがピンチになると、ソウルキャノンと呼ばれる、「仲間1人の命を犠牲にして超強力な攻撃」が出来、これを撃つと問答無用で勝利となる。
ゲーム開始のチュートリアルの段階で、これを撃つ事になるのだが、「誰を犠牲にするか」をプレイヤーが選ぶ事になる。
可愛らしく、分かりやすくデザインされたキャラクターばかりでゲーム開始から、名前は覚えられなくとも「どんなキャラクターなのか」すぐに理解出来る。
そんな背景があるのにも関わらずいきなり「誰か犠牲にしろ」と強要して来る訳で、筆者も流石に1分は悩んだ。
この演出はインパクトがあり○。
しかし、撃った直後に他の仲間が意気消沈し戦闘不能になり、敗北。ここで「時が戻る」ご都合主義が発動。
「ソウルキャノンを撃つ前までに戻り」、ソウルキャノンを撃たずに戦術を駆使し勝利する、と言うのが冒頭の流れになっている。
正直、拍子抜けで、ソウルキャノンを撃った後もそのまま物語を継続させた方が演出的には良いと思った。
まだチュートリアルだしと飲み込んだが、このゲーム、やればやるほど色々弱いなっと思わざるを得なかった。
具体的には、フルボイスでない。ムービーなどはなく一枚絵と立ち絵とテキストで進行するため臨場感がない。など。
シナリオ、脚本自体にも違和感がある。
家族を助ける為とは言え戦車に乗り「人を殺してる」にも関わらず、後悔や苦悩と言った描写に乏しく、キャラクター達は「家族に会いたい。助けたい。」「敵が許せない」「僕がみんなを守るんだ」と言ってばかり。
おまけに絆イベントではキャラクターの可愛さを深掘りするような物が多い。
とても歪に感じる。
例えば、デスノートの夜神月とか。最初に人を殺した時は後悔して、苦悩して、それでも世の中クソだから俺がやるんだとそれを乗り越える描写があったりする。
例えフィクションでも人を殺すってそれだけ重い事だって事は忘れちゃいけないと思うし、子どもだから、無邪気だから、と切り捨てるのも違うと思う。
例えば、最初にソウルキャノンを撃った時に、「時間が戻る」ご都合主義を無くした場合、まだ成立する話だと思う。
家族を取り戻す為に戦う選択をした。
しかし、仲間を1人失った。後悔しても、仲間は戻って来ない。今辞めたら仲間の死は無駄になる。
例え何人殺してでも、僕たちは進むしかないんだ。
こんな感じにしたら、ある程度、丸く収まる気がする。
もしくは人を殺したキャラクターの苦悩をもっと描写するべきだと思う。そんな描写が少なすぎるのだ。
例えば、都会から田舎へ引っ越してきたカイル君、インターミッションの会話では基本的に都会育ち故に田舎の暮らしに不満を持っていて、そんな彼が仲間との会話を通じて田舎も悪くないかな?そこに住む人たちも友だちになれるよね?みたいなものが多い。
自分だったらね、人殺したらさ、そんな事考えてられないのだけれど。
また、このゲーム基本的に簡単なもんだから、道中でソウルキャノンを撃つ事がない。
余計にね、ご都合主義感が強くなる。
この歪な感じがあるせいで、どんなシナリオにも気持ちが入っていかない。
周回プレイ時のシナリオに期待する。
自分の場合、1週目はブリッツが死亡、最後にソウルキャノンを撃つ為にマルトが犠牲になったが、ソウルキャノンを撃つのに皆一切の躊躇いがなく、ここにも違和感が個人的にはあった。


・戦闘
先にも述べたが、戦闘は簡単だった。
ルート選択で危険なルートを進む事が出来るが、これがあんまり見返りがない。
危険なルートは敵が強く、怪我をする事もあるし、倒すのに時間がかかり過ぎて戦闘評価が低くなり経験値のボーナスも無くなったりして、ただダルいだけだったり。
怪我をするとインターミッションでAPを消費しないと治せない。
非効率に感じる。
安全、または普通のルートは簡単でサクサク進み小気味良い。
戦闘システム自体はHPとSPと相談しながら戦ったり、スキルを使ったり、協力必殺技を使ったりして割に楽しい。SEも派手で良い。
ボス戦は割と簡単。

・その他
UIは劣悪に感じた。
戦闘中、操作キャラを交替させる際に、一度でも入れ替えてしまうと戻る事が出来ず敵の弱点の確認が出来ないのは×。
村でのアイテムの交換。今どんなアイテムが強化に必要で、どんなアイテムが要らないか、そう言った確認も出来ない。
遺跡探索は軽いアクションゲームだが、操作性は良くない。悪いとも言えないが。
グラフィックはそこそこ。グニグニ動くタラニスは良い。
最もムカついたのはインターミッション。各行動に成功率が設定されていて、例えば料理のレベル1は90%など。失敗すれば、APを消費するのみ。
この成功率も絆が高いほど援護が来て確率が上がったりするが、援護が来るのもランダム。
言うて高確率じゃん?と思うかも知れないが、武器の強化、アイテム収集、料理、どれをしてもこの成功率が付き纏う。何度もやれば失敗することもある。非常に不快。


・総評
もっと難しくしても良いと思う。それこそソウルキャノンを撃たないと進めないくらいに難しくして良いと思う。
代わりに、仲間の死を乗り越えて、残った子達のステータスが上がったりスキルを覚えたりとか、熱くね?
このヌルい難易度と歪なシナリオ、絆イベントの頭お花畑感。遠足気分な感じ。人を殺しているんだよ君ら?と思わざるを得ない。
とても戦争を題材にしているとは思えない。
もっと凄惨に描くべきだろう。
可愛らしい絵柄に反して、ドギツイ難易度とシナリオ。この方がゲーマーに受け入れられると思ったり。

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