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働かないアリをどう扱うべきか

見た。

ちょいちょい「う〜ん」と思ったのだが、こういうのは抜き出したやつだけ見て判断すると、罠にハマることがある。無料だったし、前編から読むことにした。

むしろ余計に引っかかった。特に前編のこの流れが。

この反応閾値の回は、アリの話をしていることと、部屋の掃除を例に使っていることから、『働かないアリに意義がある』が種本だと考えられる。俺も持っているので、本書を片手に突っ込んでみよう。

まず貼った1コマ目に「サボるアリを除外した巣は長続きしないというデータがあるんだ」と言っている。これは本当だろうか。

本書ではシワクシケアリを対象として、まさにこのような実験を行っている。

  1. あるコロニーのアリを観察し、よく働くアリとよく働かないアリを識別する

  2. よく働くアリだけを集めたコロニーと、働かないアリだけを集めたコロニーを作る

  3. それぞれのコロニーを観察する

結果どうなったか。答えはどちらのコロニーでもよく働くアリと働かないアリが現れた。コロニーが長続きしないのではなく、各コロニーにおいて反応閾値の相対的な違いによって行動が変わるというのが正しい。組織の中にサボるやつが必要というよりは、必然的にサボるやつが出てくるものなのだ。

では巣が長続きしないというのはどこから出てきたのか。それはコンピュータシミュレーションによるものだ。自然界ではどうしても反応閾値に個体差があり、前述した通り働くアリを集めてもサボるアリが出てきてしまう。だから全ての個体が同じ反応閾値を持ち、一斉に働くパターンをシミュレーションでやったわけだ。

加えて条件として、一定時間の間タスクが処理されない場合、コロニーが死滅するという条件をつけた。すると一斉に働くパターンは一斉に疲労で休んでしまうため、タスクが処理されない期間が生じ、死滅することになる。これが長続きしないという理由だ。

だがここで一つ漫画で語られていない点がある。それは一斉作業モデルの方が単位時間あたりの作業量は大きく、労働効率は高いのだ。ここで話のきっかけを見てみよう。

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