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Web3とロイヤリティ:新たなユースケースの可能性を探る

「ロイヤリティプログラム」と聞いて何を真っ先に思い浮かべるでしょうか?航空会社のマイルやクレジットカード会社のポイント、さらにはスターバックスのリワードプログラムなど色々なものが頭の中に浮かんだかもしれません。
1980年代以降、金融業界や航空・旅行業界などで発展・進化し、近年は小売やメーカーなどさらに多くの業界・企業で活用されているロイヤリティプログラムですが、ナイキやスターバックスなど、デジタル活用のトップを走る企業が次なるイノベーションを模索するタイミングと、Web3の盛り上がりも相まって、注目を集めています。

今回はそれらの流れや具体的な取り組みを何回かに分けて、簡単にまとめていきたいと思います。
(Web3やロイヤリティプログラムはその言葉の定義が曖昧な部分もありますので、必要に応じて補足していきたいと思いますが、以下で紹介する各社ともに明確な定義をしているわけでもないため、まずは本記事において、”Web3”≒”Blockchain / NFT”ぐらいの感覚で読み替えていただけると良いかと思います。)

新たなトレンドに火をつけたスターバックスとナイキ

2022年9月、大手コーヒーチェーンのスターバックスは、Web3技術を利用して、従来のスターバックス・リワードを拡張した新たなサービス「Starbucks Odyssey」の立ち上げを発表。
その後、11月にナイキが独自のWeb3プラットフォーム「.Swoosh」のローンチをアナウンスし、多くの顧客・ファンを抱えるブランド企業におけるWeb3の活用が改めて注目を集めています。

両社の取り組みの本格化と呼応するように、2023年に入ってから、Forbes(What Companies Should Know About Web3 Loyalty Programs)やCoindesk(Web3 Loyalty Programs Are a Trojan Horse for Good Crypto Policy)、さらには大手コンサルティングファームのBCG(Web3 Opens New Paths to Customer Loyalty)でも「Web3×ロイヤリティプログラム」に関する記事やレポートが出されました。

Web3 × ロイヤリティプログラムのソリューションも増加

当然、この領域に目をつけるスタートアップも増加し、StarbucksのOdysseyの開発支援を行うFORUM3(元スタバのCDOが立ち上げ)や、「Turn your customer into community」を掲げるHang、独自のカスタマーエンゲージメントPFを提供するHOLDERや3mint、さらにはShopify向けのアプリを提供するTaco LabsやSalesforceと連携したソリューションを提供するFLAUNTなどなどが続々とサービスリリースや資金調達を行っています。

また、Shopify自身も2022年6月にToken Gated Commerceなどを打ち出し、Web3 / NFTの推進を行っていることに加え、Salesforceも独自の「Salesforce Web3」を2023年3月15日に発表。NFTの発行や、同社のCustoemr360などWeb2の顧客データとWeb3のデータを統合した顧客マネジメントを可能にする方針を打ち出しています。

ちなみに、Salesforce Web3のパイロットプログラムには玩具大手のマテル社が名を連ねている。同社はこれまでもWAXチェーンを利用してNFT販売などを行なってきていましたが、昨年、独自のプラットフォームを立ち上げ、チェーンもFlowに移行することを発表するなど玩具メーカーの中では積極的に取り組んでいる企業の一つです。

具体的にどのような取り組みが行われているのか

ここまで「Web3 × ロイヤリティプログラム」というざっくりとした表現にしてきましたが、各社それぞれその活用方針や具体的な内容は異なっています。
大まかに現状の各社の用途を分類すると、

①スターバックスのような、従来のロイヤリティプログラム(顧客向けのエンゲージメント向上など)のアップデートを試みている企業と、

②ナイキのように純粋な顧客だけに限定せずブランドと関わりのある・関わりたいと思うクリエイターや団体などとのコラボレーション・共創まで見据えたようなタイプがあります

①のパターンでの利用を推進している企業として挙げられるのが、スターバックスやAlo Yoga、アンハイザーブッシュです。スターバックスは、究極的には「デジタル空間上でのサードプレイス」の構築を目指し、その実験という位置付けて取り組んでいます。

②のパターンに当てはまるケースとしては、ナイキとロレアルが挙げられます。ナイキは「.Swoosh」を「現在ブランドに関わっている、またはこれから関わりたいと考えているすべての人(アスリート、デジタルクリエイター、コレクターなども含む)が、”スポーツの未来をデザインし所有する”ために集える仮想空間」として位置付け、取り組みを推進しています。ロレアルもGORJSと呼ぶDAOを立ち上げ、クリエイターとの共創にチャレンジしています。

まだ取り組みが始まったばかりであったり、実験途上という段階ではありますが、各社それぞれユニークなアプローチで取り組んでおり、興味深いものが多いです。
次回以降で、各社の具体的な取り組み内容をもう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

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