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「現役ママライターに訊く、フリーランスとしての働き方」講座に出席してきた(自分用忘備録)

私の住んでいる地域では、市の主催で熱心に「ママライター育成事業」みたいなものを行っています。
そこで単位を収めた人は、市の広報誌などの記事を優先的に書かせてもらうことができるようです。その中で自分のライターとしての地位を確立していき、「いずれ独立してくださいよ」というもののようです(参加していないので詳細は想像です)。
その主催団体が、1回限りの講習会を開催。現役でライターをしているママさん2名から興味深い現場のお話が聞けるということで、参加させていただきました。
自分の忘備録として記載しておりますが、誰かのお役に立つかもしれませんので公開しておきます。

■ライターとして必要なこと/やらなければいけないこと

・取材を終えたらすぐに資料に赤を入れる。記憶が薄れないうちに要点をまとめることだけは、何をさておいてもやらねばならない。
・取材内容を録音しておくのは(ほとんどの人がやる手法だけれど)テープ起こしに時間がかかるばかりか、「録っている」安心感から取材が疎かになりがち。(講師二人とも録音はしないという珍しいタイプだった)
・見出し/小見出し/タイトルに時間をかければ全体の構成は自ずと仕上がる(講師二人で意見に差があり)
・取材の下調べは、自分の記事の全体像をイメージできれば十分(※下調べが永遠に終わらない、という質問に対して)

■私と同意見だったこと

・取材の際のコミュニケーションにも気を遣うこと。相手に興味・関心を抱いて、深く掘り下げたいという気持ちをもって質問できているか。
・ライターの仕事に固執しないこと。いろんなことに興味・関心をもって日々を過ごすこと。「別の仕事だってあるんだ」というくらいの緩い気持ちで臨むのもアリ。
・「そんな仕事、やったことがないからできない」と言うのではなく、せっかく振ってもらった仕事なら挑戦してみる気持ちも必要(※講師A氏に「脚本」の仕事が舞い込んだ、という話に対して)
・ライターに限らず「表現する人」というのは、自らの人生も知識量も学歴も考えも何もかもさらけ出し、他人から評価されているということ。自分磨きを忘れず、自分で自分をアップロードしていかねばならない。
・自分の中にある文章や知識だけでは到底追いつかないので、常にインプットを心がけ、足りないものを補う努力が必要。(素敵な言い回しや文章構成、語彙などは、スクラップなどしてでも補充を)


■新しい発見

・「自称ライター」は山ほどいるのに、業界では「ライター不足」と言われている現状。人と対話し、客観的に話を構成し、伝える力を持ったライターはそんなにいないと思われる。
 ⇒これは、「自分の言いたいことを好き勝手に文字にすることをライターと勘違いしている人が多い」ということでしょう。時折それが「バズる」こともあるけれど、ごく稀なことであり、長続きもしない。
「何かを表現する」ということは、確かな対話力、ライター自身の人間力が必要ということと理解した。

・「次に仕事を繋げる」ためには、営業しまくるよりも、今の仕事を丁寧にきちんと行うことが大切。仕事は常に評価されている。

・クライアントは存在しているけれど、あくまで読むのは「読者」。クライアントに迎合したくなる(クライアントに有利なように曲解して表現したくなる)気持ちは理解できるが、だからといって間違ったことや内容を誇大して書いたりはしないように。
 ⇒媚を売ることは、「自分自身を高く売り込む」ことに繋がらないという例。

・安易にクライアントの言ったことをそのまま文章にしない。特に「日本で一番」「とても広い」など漠然とした言葉は必ず数字で裏付けを取ること。確証が持てないなら、その部分は文字にすべきではない(出版社によっては「日本一」などの単語がNG認定されているところも)

・逆に言うと、クライアントの喋っていないことを、さも喋ったかのように「言葉」として紹介することもできる。もちろん、事前に「こういう趣旨のことを仰ったと理解しているが、間違いないだろうか?」と確認は取る。うまくまとめられている場合は、(架空の言葉であっても)感謝されることが多い。

・ライターとは、自分が好きなこと、素晴らしい人やものを、文字の形で世界に発信できる素晴らしい仕事。

■「ママライター」の甘い罠(?)

※ここからは全体の話を聞いたり、会場内の雰囲気から私が勝手に感じたことを書いています。


講師のお二人は、「名のある(実績のある)ライターが、その後に結婚してママになったため、フリーランスの道を選んだ人」という印象(実際にご高名なライターさんでした)。
経歴も確たるもので、仕事が舞い込む素地がすでにあったようにお見受けしました。

翻って、会場にいた「ママライター志願者」は、「ママになってから(唐突に)ライターを志した人達」のようで、人脈もなければ経験もない人たちのよう。
もちろん「文字を書くのが好き」だからこの講座を選んだのでしょう。けれど、会場にいる感じだと、「ライター」「フリーランス」という響きにふんわりとした幻想を抱いているような印象を受けました。

最後の質疑応答でも、プロのライターさんに対して
「家の洗濯物が気になって原稿に集中できないんですけど、どんな環境で仕事してますか」とか、
「まだ原稿書いたことないんですが、原稿を複数抱えたときにはどのように対処してますか」とか、
「取材前の下調べはどこまでやればいいんでしょうか、10時間かかっても終わらなかったんです」とか
「1000字の記事は何分で書けばいいのか」など、
「それを聞いてどうしたいんだろう?」という質問が乱立していたのがちょっと気になりました。

市の方としても、「働きたくても働けないママ達に、なんとか仕事を斡旋したい」気持ちからこの事業が始まったのではないかと拝察します。
しかしそこには、失礼ながら、「文字を書くくらい(の簡単な仕事)なら、子育てしながらでも何とかできるでしょ」という安易な気持ちが働いていないでしょうか。

自分でやってみて思うのだけれど、在宅のフリーランスって、自分をどれだけ律することができるかにかかってるし、まして子供を見ながら集中してやれるものではなく、結局子供を預かってもらうか、子どものいない時間に寝る暇を惜しんでやるしかないものだったりします。

ただ、その中でもデザイナーさんみたいに特殊なソフトや技術が要らない分、ライターはとっかかりが楽なのは確かですね。最近ではスマホで音声入力もしてくれますし、文字が打てなくたって文章が書ける時代です。
もちろん、その分、自分の知識や内面が晒されやすいし、営業力や人間力が問われるのも間違いないです。

■私とライター業

取材となると、皆さん「すごく緊張するし、下調べに時間がかかりすぎて何をしていいか分からない!」ものなのだそうです(あくまで今回の講義の会場にいらっしゃった方々の声です)。

私がそうは思わないのは、自分が営業出身だからかな、という新しい気付きもありました。
初対面の人といきなり話をしたり、その人の家族構成や仕事先、悩みなどを事細かに聞き出さないと契約がもらえないっていう仕事でした。胃を痛めることも多かったけれど、その経験はとても貴重で得難いものだったのだと、今さら感謝。

今のところライターに戻る気はない(だらだら書くほうが楽しい)のだけど、こちらの受講は仕事が絡まない分とても楽しめました。
やはりプロの仕事は違うな!

ただ、文字を書き続ける素振り練習(=アウトプット)と、文字を書く以外のことから得られる様々な知識の習得(=インプット)は欠かしてはいけないなと、改めて強く感じました。


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