養蜂(西洋ミツバチ)の今シーズン振り返り②(ヘギイタダニ対策)

注.養蜂をしている人以外は置き去りの記事です。)

今年のダニ対策で実施した(予定含む)のは以下の通り。
1.メントールの結晶の利用
2.雄蜂枠の追加
3.アピバール(ダニ剤)の使用
4.雄の巣房切り

1.メントールの結晶のダニに対する忌避効果について
 ダニ剤を使用しない養蜂の手段として、チモールやメントールの結晶を巣箱に置き、気化した匂いでダニの増殖を抑える方法があります。
 チモールは、タイム。メントールは、ミント系のハーブの香り成分です。

 自分が昨年と今年試してみたのは、メントールの結晶。チモールより値段が安く(100グラム1000円〜1300円くらい)食品添加物として販売されているので簡単に手に入ります。
 また、メントールの方がチモールよりも融点が低いので、寒い時期にチモールより効果が期待できると考えました。

 採蜜期に使用するのは、蜂蜜に匂いが残留する可能性もあるので、蜂蜜を販売する群に対しては避けた方がよいかもしれません(法律的にも)。

 さて、効果ですが、ダニを増加させない、もしくは、増加を緩やかにする程度の効果はあります。従って、他の方法と組み合わせて使用するのがベターです。ダニによる被害が顕著になってから処方してもこれだけでは手遅れですが、ダニ剤が届くまで日数がかかる場合はメントールを置いておくと被害の拡大が緩やかになるので一応の利用価値はあります。

 利用する場合の注意点は、溶けたメントールが巣枠に付かないようにすること、メントールが一気に気化しないようにすることの2点です。
 溶けたメントールが巣枠につくと、その部分に働き蜂が近づかなくなります。しかし、女王蜂は働き蜂よりも我慢強いようで、その場所に産卵してしまいます。結果として、育児が十分にされず幼虫が生育不良になったり、死んでそのまま放置されたり、女王蜂が同じ巣穴に何度も産卵したりします(働蜂産卵に見えますが、女王蜂は健在なことが多いです)。
 推測ですが、この状態はダニにとっては幼虫に寄生するのが容易になるのではないかと思っています。昨年はこの状態になってダニが爆発的に増えました。
 働蜂産卵(1つの巣穴に多数の産卵がある状態)のようになってしまうのは、女王蜂がメントールの匂いで産卵する穴を間違えてしまっているか、卵が死んでも働き蜂が掃除しないからかもしれません。
 また、一気に気化すると巣箱の中にいられないようで、巣箱の外に蜂球を作って匂いが収まるのを待っています。

 メントールの設置時には、以上の注意点を考慮して対応する必要があります。

2、雄蜂枠の追加について
 雄蜂の枠を追加し雄の幼虫や蛹に寄生させて、羽化前に枠を処分してダニを除去する方法は一定の効果があるようですが、完全にダニを除去できる訳ではないことは考慮すべきです。常に雄蜂の枠がある状態をキープしたらダニの数が減っていっている実感がありました。

 ポイントは、雄蜂の枠に貯蜜されないように育児枠の間に挿入すること。
 とりあげた、羽化前の雄蜂枠を巣箱の周囲で処分しないこと。ダニの成虫はかなりのスピードで移動できます。数メートルくらいは余裕でしょう。巣箱に戻ってしまっては意味がありません。

 私の場合は、焼却もしくはマイナス30度の冷凍庫で冷凍した上で処分します。ただし、冷凍の場合は、確実に死んでいるのかわからない為、処分するときは蜂を飼育していない場所で処分しています(趣味なら家庭ゴミとして可燃ゴミでよいと思います)。

 当然ですが、女王蜂が産卵できることが必須です。分蜂を出してしまうと新女王が産卵を開始するまでこの方法は使用できません。また、群勢がある程度ないと雄蜂をあまり育てようとしないので、群勢を維持した上で産卵を止めずに女王蜂の交換ができれば一番よいと言うことになります(女王蜂の育成については次回)。

3.アピバールの使用について
 成分のアミトラズが加水分解してしまう為、梅雨時期は効果がないとよく言われていますが、一瞬で効果がなくなるわけではありません。
 ダニが増えてきたら、迷わず投与した方が被害を抑えられます。ただし、効果が弱くなるのを見越して、梅雨時や巣箱内の湿度が上がりそうな場合(大量の流蜜や猛暑など)は、(上限の)6週間よりは早く引き上げて新品と交換した方がよいかもしれません。効果がある状態で投与し続けた方が耐性ダニの発生を少なくできるかもと言う期待をした場合ですが。

 今年は、夏の採蜜が終わってから投与したいと考えています。
次回は女王蜂の育成について振り返ります。

養蜂(西洋ミツバチ)の今シーズン振り返り③(女王蜂の育成について)

(今回のまとめ)

以上の内容を図示したものが下記の図になります(有料)。内容は前述したものに少し具体的にポイントを追記したものなので、読まなくても十分ですが、今回の記事が「役立った!」と思ってしまった方は、なにとぞ、なにとぞ購入をお願い致します。m(_ _;)m

 さて、メントールですが、じゃあ何グラム入れておけばよいの?となりますが、私の場合は、一箱に20〜40グラムを置きましたが、温度によって気化するスピードが全くちがいます。一週間で気化してしまうようでは早過ぎで、女王蜂の1つの穴に対する複数の産卵が多数見られました。蜂数が十分であれば温度はあまりあがらないので大丈夫ですが、蜂数が少なく巣箱の蓋や側面の温度が高くなってしまう場合は、底に置くなど温度が高くならない場所を選んでください。また、絶対に溶けたメントールが巣枠にたれることのないように配置してください。冬期であれば巣枠と蓋の間に茶こしにメントールを入れて置いても一気に溶けることはないと思います。

 雄蜂の枠ですが高いものまでいろいろ売られていますが、巣枠の巣礎を挟む部分から少し突起があれば後は蜂が作るそうです。巣礎が巣枠から少し出る状態で3箇所程度潰して蜜蝋を溶かして巣枠に固定するだけでも十分です。下の画像はそれを知らずに雄蜂用の巣礎をたくさん買って余っているので3分の1だけ張って後は蜂に作らせたビフォーアフターです。(蛹枠が白かったり一部潰れたりしているのは冷凍したからです。)
 最後にいわゆる雄蜂の巣房切りですが、賛否両論あります。否定的意見は、雄蜂が病気を持っていた時に体液を多数の働き蜂が吸って病気が蔓延すると言うものです。肯定派は、雄蜂の羽化までの期間が長くダニが一世代より多く増えて爆発的に増殖する原因になるのでその前にカットして働き蜂に掃除させると言うものです。
 私はまとまって雄蜂の巣房がある場合はカットして、もし、ワサッとダニが居たらピンセットで引き抜いてまとめて処分します。

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