養蜂(西洋ミツバチ)の今シーズン振り返り③(女王蜂の育成について)

(注.養蜂をしている人以外は少し置き去りの記事です。わからない部分については、コメントで聞いてください。)

 養蜂の最大のポイントは、強群(蜂数が多い状態)を維持することです。
 強群を維持することによって、「集蜜力のアップ」、「病気とダニへの耐性力のアップ」、「外敵に対する対応力の向上」などのメリットを享受できます。

 強群を維持することは、女王蜂の産卵力と言ってもよく、更に産まれてくる働き蜂の性質が穏やかで集蜜力があり、病気やダニ、外敵に強い、やたら分蜂しないなどの遺伝的性質が重要です。それらは、すべて元をたどれば女王蜂に依存するので、良い女王蜂を選抜していくことが重要になります。

 ところで、女王蜂を選抜するには新女王蜂を育成しなくてはなりません。一般的な方法を考えると一部の巣枠と蜂を割り出して、別の巣箱で女王蜂を羽化、後尾させるのが普通です。成功したら、旧女王を潰して元の巣箱と合同します(群を増やさない場合)。もしくは、分蜂してしまった為、産まれてきた女王蜂をそのまま育成すると言うことになるのでしょう。
 しかし、この2つのパターンでは、「新女王が羽化して安定的に産卵するまで」無産卵期間があります。その期間は、2週間〜1ヶ月程度でしょうか。また、失敗した時は更にその期間が長くなります。別の箱に割り出した場合は、元の箱で産卵が続くのでそれほどではありませんが、割り出した分だけ群れが小さくなりますし、失敗が続くと更に割り出していかないといけません。無産卵の期間や分割が発生することで蜂数が減少することになり、「集蜜力の低下」や「ダニへの抵抗力の低下」が起こり、給餌やダニ剤の投与をする必要が出てくる可能性が高くなります。
 また、新女王を一番作育成しやすいのは流蜜期で採蜜が完了してから夏の蜜源がない地域では、なかなかミツバチが女王蜂を育成しません。

 この不都合を避けるにはどうしたらよいかと言うのが、以下の方法です。
 要は1つの群れの中で「産卵を止めず」新女王蜂を育成出来れば良いと言うことなので、旧女王はそのままで新女王蜂を同じ箱内で育成します。
 実現する為には「旧女王蜂の分蜂」「新女王蜂羽化時の新旧女王蜂の殺し合い」を防止する必要があります。
 どうすればよいか?ざっくり言えば、新旧女王蜂を隔王板で仕切ってしまえばよいと言うことになり、以下の図のようになります。

 概念は簡単でも、いざやってみると色々細かい部分に気を使う必要がありなかなか大変で、移虫作業(人工王台に幼虫を移す作業)も必須になります。
 自然分蜂を出してしまった群では、無産卵期間に雄蜂枠によるダニ対策ができず、他の巣箱よりダニが増加しました。
 しかし、この方法なら良い女王蜂を育成しやすい流蜜期に作業を行うことができます。
 これからは、無産卵期間がなく、群勢を保ったまま女王蜂を更新できるこの方法をメインにしていきたいと思っています。

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