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元は同じ。働き蜂と女王蜂を分けるもの(蜜蜂の生態③)

 西洋ミツバチの女王蜂は、昔は3〜5年間生きると言われていましたが、最近では2年間生きることはあまりないと聞きました。それに加え、産卵力が最も大きくなるのは産まれた次の年のシーズンで、それからは徐々に産卵力が落ちてくるそうです。
 そうなると、養蜂で継続的にハチミツをたくさん採る為には毎年きちんと女王蜂を更新するのは必須です。こちらの意図する時に女王蜂を育てられたら、便利で融通が効きます。

 ところで、ミツバチの働き蜂と女王蜂はどちらもメスで、同じ卵から産まれ育ちます。卵の状態では、働き蜂になるのか、女王蜂になるのかは決まっていません。初めはどちらもローヤルゼリーを与えられて育ちますが、幼虫になって3日目以降もローヤルゼリーを与えられたら女王蜂に、花粉とハチミツを混ぜたようなものを与えられたら働き蜂になります。

 では、その育て方の違いは何で決まっているのでしょうか?多数の働き蜂によって育児が共同で行われているので、その意志が統一される仕組みがなければ実現出来ません。

 正解は、巣穴の向きが「横向き」か「下向き」かです。

 横向きと言うのは、通常の巣穴に卵を産みつけられた場合。

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 この横向きの穴で幼虫の育児がされたら、働き蜂になります。ちなみに、ハチミツや花粉もこの穴に貯められます。
 ここから、二日目くらいまでの幼虫を取り出し、下向きにして蜂に預けたら…。

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 このように女王蜂が育てられます。女王蜂はサイズが大きめの特別な巣房でそだてられます。

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 ちなみにこちらは、日本ミツバチの場合。同じように女王蜂に育てられます。

 上記の画像は人工のオレンジのキャップを使用して、女王蜂を育てさせた場合のものですが、ミツバチも蜜ろうで下向きの巣房を用意し(王台と言います)そこに女王蜂が卵を産むと女王蜂になるように育児が進められます。

 なんらかの理由で突然女王蜂が死んだり、いなくなった場合、ミツバチが緊急的に女王蜂を育てます。2日目くらいまでの幼虫の巣穴(横向き)の下側を削り、手前に壁を作り、働き蜂が横向きの穴を下向きに作り変えます(変成王台と言います)。そうすると、その巣房は、予定が変更されて女王蜂が育てられるのです。

 (2、3日目くらいまでの幼虫がおらず)変成王台の作成が間に合わなかった場合、その群れには女王蜂が失われることになります。そうすると、女王蜂がいなくなったことで自分が卵を産まないといけないと勘違いした働き蜂が産卵を開始し始めます。働き蜂もメスなので産卵可能なのですが、交尾していませんので、産まれてくるのはすべてオスになります。やがて、働き蜂もいなくなり、その群れは消失します。
 消失を食い止めるには、働き蜂の産卵が始まる前か直後くらいまでに別の群れから女王蜂を移入します。もしくは、他の女王蜂のいる群れに混ぜ合同します。合同する場合は、働き蜂の産卵が始まっていると制御が効かなくなる可能性があるので、その場合は合同を諦めた方が懸命です。

 以上、働き蜂と女王蜂を分けるものでした。

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