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内向型の人でも会議を上手に仕切るには? ファシリテーションのポイントを紹介

会議を仕切るのは嫌だなあ

仕事をしていてこのように思ったことはありませんか?
皆あたりまえのように進めているように見えるミーティングですが、実はこれを取り仕切るのは大半の人にとって荷が重いことだったりします。

「うまく進行できるか自信がない」
「参加者が活発に意見を出してくれるか心配」
「意見が対立したらどうすればよいのか」
「会議をうまく着地させられるだろうか」
「そもそも自分に務まるのだろうか」

私などは考えているだけで不安になり、そわそわと落ち着かなくなってしまいます。
人の視線が怖い……。

いったい会議というものはどうすれば円滑に回るものなのでしょうか?
以下、『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』という書籍の内容をベースに整理していきたいと思います。

◎アメリカ人の3分の1以上は内向型

「自分がもっと外交的な人間だったらよかったのに……」

こんなふうに考える人は少なくないかもしれませんね。
私もそうです。
自分自身が内向型であることに残念な思いを持っていました。
ただ、本当に外交型の人は世の中にそれほど多くはいないとのことです。

アメリカ人でさえ、3分の1から2分の1は内向型の人間らしいのです。
不思議に思われますね。
たいていのアメリカ人は陽気で、人付き合いが上手で、気さくなイメージが勝手ながらあります(偏見でした)。
一見すると外交型な人も実は内向的で、外交上手な役割を演じていることが多いというのです。

◎内向型/外交型の定義とは

なお、外交型/内向型の厳密な定義というのは存在しないらしいのですが、だいたい以下のような傾向にあるとのことでした。

【外部からの刺激】

  • 内向型:低い刺激をちょうどいいと感じる

  • 外交型:高い刺激を好む

【行動パターン】

  • 内向型:ゆっくりと慎重に行動することが多い。一度にひとつの作業に集中する事を好む

  • 外交型:素早く行動し、決断をくだす。一度に複数のことをこなすうえ、リスクを取ることも厭わない

【人付き合いの場面】

  • 内向型:パーティーや仕事付き合いを楽しめる人もいるが、しばらくすると家に帰って落ち着きたくなる。限られた親しい友人、同僚、家族との関係にエネルギーを注ぎたい

  • 外交型:パーティーや仕事付き合いの中で活気をもたらす。積極的かつ主導的で、仲間を広く強く求める

【会話の場面】

  • 内向型:喋るより聴くことを好む。ゆっくりと考えてから話をし、会話よりも書く方が自分を上手に表現できると感じる。衝突を嫌う傾向にあり、深い会話を楽しむ

  • 外交型:聴くよりも喋る方を好むが、ときには思ってもいない事を衝動的に口にしてしまう。他人と衝突するのを恐れず、孤独を好まない

以上、自分のふだんの行動や考え方とくらべて、いかがでしょうか。
もちろんこれはあくまで傾向の話で、内向型の人でもコミュニケーション上手な人はいます。

◎内向型の強みとは

この機会に、もう少し内向型の特徴について掘り下げてみたいと思います。

内向型は内気とは異なります
内気とは他人から非難されたり屈辱を感じたりすることを恐れる性質であり、内向的とは刺激が強すぎない環境を好む性質を指します。
重複するところは多いかもしれませんね。

そんな内向型ですが、大きな強みがあります。
それは「創造性を発揮させやすい」ことです。
単独作業を好み、当面の課題に意識を集中させ、人間関係などにエネルギーを浪費することを避ける傾向にあるためです。
アップル社の創業を支えたカリスマであるスティーブ・ウォズニアックなども常に単独行動をしていたといいます。

ほかにも内向型の有名人を挙げてみましょうか。

  • サー・アイザック・ニュートン(重力理論)

  • アルベルト・アインシュタイン(相対性理論)

  • フレデリック・ショパン(ノクターンほか)

  • マルセル・プルースト(失われた時を求めて)

  • J・M・バリー(ピーター・パン)

  • ジョージ・オーウェル(一九八四年ほか)

  • スティーブン・スピルバーグ(シンドラーのリストほか)

  • ラリー・ペイジ(グーグル)

  • J・K・ローリングス(ハリー・ポッター)

現在、外交型であることが良しとされているこの世の中で、こうした内向型の人たちの活躍には大いに勇気づけられます。

◎会議における内向型の特徴

創造性を発揮する内向型……そうした性質を持つ人は、リーダーに向いていないものなのでしょうか?

外交型リーダーには皆を引っ張っていく原動力があり、それはとても大きな強みだったりします。

一方、内向型リーダーは基本的に、能動的な人間を導くのが得意といわれています。
社会的地位を独占することにこだわらない傾向ゆえに、他人の話に耳を傾け、助言を受け入れやすい気質を持っているためです。

これは外交型リーダーにはあまり見られない大きな長所といえないでしょうか。
この強みを活かしたファシリテーションができれば、内向型の人でも良いリーダーシップを発揮できるはずです。

なお、ファシリテーションとは「会議やミーティングなどの場において、良い結果が得られるようにそのプロセスをサポートしていくこと」です。
要は会議などの場をうまく仕切って、良い結果に結びつける役割を指します。

◎ファシリテーションの難しさ

そうはいっても内向型の人が「会議においてリーダーシップを取るのは困難」なことに変わりないのも現実でしょう。

しかしいろいろな書店を覗いてみてください。
「どうしたらファシリテーションを上手にこなせるか」「どうしたら良いファシリテーターになれるか」を解説した書籍で満ちあふれています。
(残念ながら、その多くは自分にとってあまりぴんときませんでした)

これが何を意味するか……そもそもファシリテーションのノウハウは説明するのも実行するのも難しいものなのです。

たとえば皆が意見を活発に出してくれる場をつくるだけでも、大変なことだったりします。
そのためのフレームワークとして有名なのが「ブレインストーミング」(ブレスト)ですね。

ブレストとはご存じかと思いますが、会議の参加メンバーが役職・年齢・部署に縛られることなく自由闊達にアイデアを出し合える場のことです。

しかし一説によると、集団のブレストは機能しないといわれています。
ブレストで生まれたアイデアよりも個人作業で生まれたアイデアの方が、集団作業と同等あるいはそれを超える質の意見をもたらすという調査結果も出ているとのことでした。

つまりブレストという皆で気軽に意見を出せる場でさえ、内向型の人による単独作業で生まれたアイデアには、なかなかおよばないというのです。

◎内向型がファシリテーション力を発揮するには

内向型の人がファシリテーターとしての力を発揮するにはどうすればよいのでしょうか。
それには一つの考え方があります。

内向型の人は心から大切に思っている仕事に従事するとき、内向型という特性の殻を破って外交的にふるまえるようです。

逆にいうと自信を持ってファシリテーション力を発揮する場とは、自分が大きな興味を持っている事柄が議題になっているミーティングということになります。

要は議題に強い関心を持てばいいのではないでしょうか。
もちろん会議の前はそれ相応の準備が必要になりますが、内向型の人ならそうした手間も惜しまずに行えるでしょう。

内向型リーダーは会議に関心を持ち、準備を怠りなく行おう

結論としては、ありきたりな話になってしまいました。
でも内向型だからこそこういった作業は得意なはずなのです。

◎私が実践したこと

この機会に、内向型の私自身がミーティングの進行役を任されたときに実行したことをまとめておきます。

  • あらかじめ会議のゴールを決めておく:これはミーティングの最初の段階で皆に伝えましょう。達成したら会議を早く終えてかまいません

  • シナリオを立てておく:どういう流れで会議を進めるか少しでもイメージを持っておくと、ミーティング中で話がずれても軌道修正しやすくなります。なお、シナリオ通りに進めることに固執する必要はありません

  • 傾聴が大事。これはあらゆるビジネス書でも言われていることです。そのためには以下を意識してください

  • 意見は言わなくていい:自分の意見は言う必要はありません。ミーティングの進行に専念してください

  • 感想を言う:先ほど「意見は言わなくていい」と書きましたが、人の発言に対しては感想を言いましょう。不器用でも「良いと思った」「面白い考えだと思った」程度で十分でかまいません。できれば、その根拠を伝えられるとなおいいですね

  • 人の意見を否定しない:感想を言う際は否定しないでください。良いところを見つけることに意識を集中しましょう

  • 会議が終わったあとは振り返りを投稿する:会議後にはその内容を箇条書きでいいので皆に共有しましょう。意味のあるミーティングだったと思ってもらえるうえ、次回に繋げやすくなります

私自身、全ての進行が成功したとは言い難く、反省点も多いのですが、大きな失敗に至ることはありませんでした。

実際、また次回もファシリテーターを任せてもらえています
そして、このことが自分に自信をつけてくれるのです。

ファシリテーターという役割はとても緊張しますが、この業務が終われば本来の自分に戻ってゆっくり過ごすことができます。
内向型の人にとっては至福の時間ですね。

なので、せめてファシリテーションを任された場面においてだけでも、いつもよりその内容に関心を持って、準備をして挑んでみてはいかがでしょうか。

皆さんが会議の進行役を任されたときは、ぜひ内向型の良さを取り入れたファシリテーションを進めてもらえればなと願っております。

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