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主体的な学びとは? 〜先生の言うことを主体的に聞くことが目的ではない

教育を本気で語る会、探究に関心のあるカズです。
JOYさんの投稿を受けて、総合的な探求における、主体的・対話的な学びについてクリティカルに考察してみます。
この目的と手段は何か。

1 主体的に学ばせるペアワーク

総合的な探求の時間には様々なアクティビティが用いられますが、
アクティビティの目的は明確でしょうか?
ICTと同じく、ペアワークなどをすることが目的ではありません。
ペアワークの目的の1つに主体的・対話的な学びがありますが、
本当に生徒が主役になっているのか。
教師の指示のタイミングで、
教師が指定したことを、
制限された時間内で共有することで、
生徒主体になれるのか。
先生に指示されるペアワークは、
手段と目的が混在しているかもしれません。
また、強制的なペアワークを生徒が苦痛に感じている場合もあります。
大人でも相性が悪い方とペアで仕事をするのは苦痛だと思います。
先生の言うことを主体的に聞くことは、
旧体制の「従順な生徒作り」と変わらなくなってしまいます。

2 生徒が主体的になれない原因

先生の指示を待つことは適切な手段ではないが、
指示がなければ学べない生徒も多いです。
やる気が出ない、主体的に学べない原因の1つは「やりたくない学び」だからです。
総合的な探求の授業であっても、
探求するのは学校が用意したレールだと、
モチベーションは上がったりしないと思います。
だからこそ「生徒がやりたいこと」を、
全力で後押ししていくことが教師の役割です!
例えば、ジブリが好きな子はジブリパークについて深掘りする。
将来、市役所に務めたい生徒にはGet The Pointを活用した役所との連携について説明する。

大切なことはやりたいこととやりたくないこと二重目的を作ることです!

3 生徒伴走のために大人もやる気を出す方法

生徒だけでなく、教師も「やりたくない授業」だとやる気は出ません。
今までの経験値が通用せず、
生徒のペースにイライラして、
思い通りにはいかない。
アドラー心理学でも新しい挑戦を嫌う理由にこれらをあげています。

新しいライフスタイルを選んでしまったら、新しい自分になにが起きるかもわからないし、目の前の出来事にどう対処すればいいかもわかりません。未来が見通しづらくなるし、不安だらけの生を送ることになる。もっと苦しく、もっと不幸な生が待っているのかもしれない。つまり人は、いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、安心なのです。

嫌われる勇気

だからこそ、教師も「やりたいこと」を授業に重ねて、
新しいことへの不安を減らしていきたいです。
先程の探求の時間であれば、
ジブリが好きな生徒にジブリパークの深掘りの手段としてChatGPTを使っていく。 

ジブリパークが愛知県にできた理由や、愛・地球博との関連、
宮崎駿さんの裏話などを生徒と一緒にChatGPTで探っていくととても楽しかったです。
生徒はジブリパーク、教師はChatGPTという公約数を見つけられるとお互い主体的に学べます。
市役所に務めたい公務員志望の生徒には、GetThePointを紹介して休み時間に他の生徒を交えてボードゲームをやりました!
自分も好きなボードゲームを手段にして、役所を訪問する。
そして継続的に行政と連携して生徒と一緒に学びを深めていきます。
このような経験が、進学や就活での大きなアドバンテージにつながることを伝えると、
生徒が当事者意識を持って学んでくれます。

4 生徒と教師の公約数

学びが楽しくなるためには、生徒と教師のやりたいことが重なる公約数をたくさん見つけることです。
生徒が持っている絶対値(経験値)
丁寧に約数や素数で分解し、
そこに教師が持っている約数を重ね合わせる。
あくまでも学びの主役は生徒です。
公約数を見つける作業はとても時間がかかりますが、
最小公約数と最大公約数が見つかると、
ロジカルにプランニングができます。
そうすればその後の流れはとても早くなります。工藤勇一さんと苫野一徳さんの共著『子どもたちに民主主義を教えよう』では、
最上位目標の共有から始めるとその後の流れはとてもスムーズになるとおっしゃっていました。

手段は違えどプロセスはこれと同じです。
生徒が楽しいと感じる最小公約数から始めて、徐々に生徒の目標に向けた最大公約数へ近づいていくような展開であれば、
きっと学びが楽しく感じるはずです!

年度始めのこの時期だからこそ、
生徒や自分たち教師の素因数分解を丁寧にしてみましょう。
最上位目標を確認しましょう。
そうすれば約数倍数が見つかって、
加速度的に学びが深まり、楽しくなっていきます!

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