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育児休暇は取得することが目的ではない 〜育児への当事者意識〜

最近の育児休暇の取得率の報道に強い違和感を覚えているジョージです。
育休取得率は上がっているのに出生率やジェンダーギャップ指数などの、
根本が改善されていないように思えます。
目的が不明瞭だと、その手段ばかりが注目されてしまいます。
手段が目的化してしまうと本末転倒です。
目的と手段を整理してみます。

1 そもそも育休の目的は何か

元々、育児休暇が注目されだしたのは少子化が問題視されだした頃です。
その少子化の原因として、育児の負担がが母親に偏っている「ワンオペ育児」があげられました。
ワンオペだと育児が辛くなってしまい、出生率もあがりにくくなります。
育児の不安を減らし、子育てが楽しいと思えるためには母親の負担を減らすことが重要です。
つまり、育児休暇は取得することが目的ではなく、母親の負担を減らすことが目的の1つです。

育休をとったはいいが、何のために休んでいるのか。
その育休の時間を何のために使うのか。
根本から考え方を変えるべきです。

2 育児を「手伝う」というマインドセットをなくす

育休の目的を明確にできたら、次に重要なのは考え方と行動を変えることです。
ひと昔前によく耳にした父親の「家族サービス」や「家事を手伝う」という言葉も、
「やらないことが前提」になっています。
このような前提で育児を始めると、育児をしたことを「人助け」だと思ったり、「感謝」を求めたりします。
このような考え方は、育児の温度差が生まれてしまい、歪みが生じたりもします。
父親がやるべきことだと考えれば、行動が習慣化します。
習慣化すれば負担を感じにくくなります。
育児をみんなでやるために、継続と協力を大切にするマインドセットを育みたいです。

3 育児を継続しにくくなるシステム

家庭内で継続のマインドセットが生まれたら、
次は職場の環境にどうやって適応していくかが大切です。
しかし、これはなかなか難しい…。
学校の現在のシステムは、校内にいる人のみが情報を持てるものが多い。
ジョージの勤務校では朝礼や始礼などの職員連絡は、
口頭で与えられるものがとても多いです。
記録に残されていないので、幼稚園等の送迎で参加できない先生には重要な連絡が行き渡りません。
なので送迎後に出勤する先生方は、とても申し訳なさそうに情報共有を求めてきます。
連絡事項を伝えるたびに頭を下げられることがとても辛いです。
このような「育児をしない男性」中心のシステムに違和感を覚えずにいられません。

4 横浜創英の会議システム

近年ではプリントを作ったり、Googleclassroomを活用したりして、
朝礼に参加していなくても情報を確認できるように少しずつ変わってきました。
それでもまだまだ従来のシステムは大きく変わっていません。
そんな中、様々な見直しを進める工藤勇一校長の横浜創英中学・高等学校では、職員会議の在り方も変えてくれました。

「今年度から職員会議を以下のように進めます。議題を<伝達・報告事項>と<共有・合意事項>に分け,<伝達・報告事項>は資料の提示だけにとどめ,資料の読み上げもしない。ただし,読めばわかるように資料の精度をあげましょう。
 議論をするのは<共有・合意事項>だけで,共有事項は各分掌からの原案を尊重し,それをそのまま決定事項として全体で共有するもの。合意事項は,各分掌が提案する原案について一定の議論をし,合意が得られたうえで分掌の原案を決定事項とするもの」
「会議で大切なことは一つだけ。皆で意思決定し,意思決定したことを皆で実行する。そのための会議を創っていきましょう。対立を生むための会議運営はもうやらない」
 ◆会議運営のルール
・ 伝達・報告事項は、データとしての資料提供のみで口頭の説明はしない (資料の読み上げもしない)。
・全体で合意・共有する必要がある提案についてのみ、意見交換をして大枠の合意形成を行う。
・ ペーパーレスで会議を行うこととし、参加者は会議にパソコンを持参する。
・全体で合意・共有する提案がない月の職員会議は開催しない。
◆提案者のルール
・伝達・報告事項の資料は、出席者が読めば理解できるように内容を明確にした資料を作成する。
・合意・共有事項の資料は、ポイントを明確にした資料を作成し,会議では口頭で説明する。説明者はホール前方に座り、前で説明を行い、必要に応じてパワポやホワイトボードを活用する。
◆出席者のルール
・職員会議までに必ず資料に目を通し、内容を把握して会議に臨む。
・全体で合意・共有する必要がある提案については、考えをまとめてから会議に臨み,発言をする場合は論理的に意見を表明する。

「横浜創英中学・高等学校職員会議運営ルール」(2021.4.22,抜粋)

感動です!
マサさんと同じ言葉ですが、会議の目的は参加することではありません。

参加しなくても共有できる情報は、共有させてほしいです。
そうすればきっと育児の負担が減ります。
感じなくていいはずの罪悪感がなくなります。
このシステムは必ずどの学校でもできる。
育児に適したシステムをこれからも探し続けたいです!
育休をとるとらないの二項対立ではなく、
そもそも少子化は問題なのか?
このテーマについても考察を続けていきたいです。

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