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暴走する車におもう

高齢ドライバーによる暴走事故。
誰もが確実に歳をとるのだから他人事ではない。

最近の車は、運転者に「ある意味」優しい。
僕が初心者マークを付けて練習していた頃の愛車は、ギアはマニュアルトランスミッション(MT)で、アンチロックブレーキ(ABS)もなく、ペダルとスロットルはワイヤでつながり、吸気流量で燃調がコントロールされていた。

僕より歳をとっている人のほとんどは、こんな車を運転した経験があると思うけれど、同乗者を不快にさせない運転をするためには、今の車よりもはるかに気を使わないといけなかった。

例えばギアチェンジの度にギクシャクした動きにならないよう、クラッチを切る直前にアクセルをほんのわずか緩め、クラッチを切ったら素早くギアチェンジし、クラッチを優しく繋げる・・・という操作をしなければならなかった。

慣れてくると、クラッチ操作をしなくても「ガリガリ」とギアを鳴らさずにギアチェンジできる事に気付き、その時のエンジン回転と速度を体得することで、ほとんどギクシャクしないマニュアル運転をすることができた。

でも今の車は、そんなことを体得しなくても、スムースに車を走らせることができる。極端な話、アクセル、ブレーキ、ギアチェンジをスイッチのように操作しても、何の問題もなく車は走ってしまう。

高度に電子制御化され、暴走もスピンも起こりにくくなったけれど、人間の「安全運転」「同乗者への気遣い」などの感性は、どんどん鈍くなっている気がする。

だから、運転者が、同乗者や周囲を思いやりながら運転操作をすることが昔と比べて極端に減っていることが、最近の事故の遠因にあるんじゃないかと思っている。

運転免許を取って1年ほど経ったとき、鈴鹿サーキットに併設の教習所みたいな所で運転技術を教わった。レーシング走行が大きな目的だったけど、教習所の指導員からは、「安全運転」と「スポーツ走行」の両方に共通するものとして「円滑な運転操作」と「臆病なまでに車と周囲に注意を払うこと」を教わった。

レーシング走行というと「危険」というイメージがあるけれど、この経験後、レーシングドライバーの凄さと同時に、安全運転をすることの凄さも理解することができた。

運転に慣れてくると、疾走感を味わいたい衝動に駆られるときもある。だから気軽に運転を楽しめるドライブウェイももっとあっていいと思う。

そして、自動車を安全に走らせるために必要な運転操作だけでなく、感性を磨く機会が増えれば、きっと事故も減らせるんじゃないかと思う。

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