透明

先輩の卒業式の朝、春からのわたしの進む道を、一番仲のいい友人に話した。家族以外に言うのは初めて。

わたしから、「朝どっかでお茶しない?」と誘った。誘ったわたしが寝坊して30分遅刻したのは申し訳なかったが、カフェの席に着くやいなや、「なんかあった?」と聞いてくれる彼女を誘って本当によかったと思った。

この2.3週間でバタバタと決めたあれこれを一気に話す。人に聞かせて、どんなリアクションを取られるのか、聞かれたくないことを聞かれるかもしれない、色々な不安が浮かんでは消える。黙って頷いて聞いてくれる友人に、すべてを話していくうちに、心が透き通っていくように、悩んでいたことが消え、やるしかないという純粋な決意が流れてきた。透明な心だった。

その後、晴れやかな表情をした袴姿の先輩に、友人にしたのと同じような話をした。せっかくの門出の日に、別に卒業もしないわたしの決意を話すのは申し訳ない気もした。でも、この節目に言っておかないとわたしが後悔すると思った。

わたしの進む道は、今は、卒業された先輩のように晴れたものではないけれど、透明で澄んでいる。流れるようにしなやかに、強かに、泳いでいこうと決めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?