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【イベントレポ】恐竜少女が古生物学者になって、思い出のまんがを復刊させた話(番外編) #吉川豊×木村由莉スペシャル対談3

伝説の学習まんが『きょうりゅうのたまごをさがせ』の復刊と、化石ハンター展の舞台裏をまとめた『化石の復元、承ります。』の刊行を記念して行われた、吉川豊先生と木村由莉先生のスペシャル対談。
読者から寄せられた質問にお答えいただきました。
番外編としてお届けします。

〜〜〜🎙〜〜〜

*本記事は、2022年8月2日に開催されたオンラインイベント「化石ハンター展をもっと楽しむ90分! まんが『きょうりゅうのたまごをさがせ』復刊&『化石の復元、承ります。』刊行記念イベント」の内容をもとに作成しています。

※イベント告知時の画像です※


楽しむことが大事

――小学3年生の方から吉川先生にご質問です。
「iPadで絵を描くのが好きです。iPadで素敵なキャラクターや恐竜を描くコツがあったら教えてください」

吉川:僕、デジタルは初心者なんで(笑)。それこそアナログで30年以上描いてきて、デジタルで描き始めた時は用語がチンプンカンプンで全く使えなかったですね。でも絵を描くというのは、紙の上でも基本は同じだと思うんですよね。

木村:じゃあ、上手な絵を描くコツは?

吉川:絵を描くコツですか? 好きなものを描けばいいんじゃないですかね。こうしなきゃいけないとか、ああしなきゃいけないとか、そういう縛りがあると発想も浮かばないし、手も動かなくなっちゃうから、楽しんで描くのを繰り返しやっていたら、気づいたらこんなのが描けるようになってるとか。その方がいい気がする。

――楽しんで描くことが大事なんですね。

木村:まんがのコマ割りとかもそうなんですか? あまり考えずに好きなシーンを載せていく感じ?

吉川:まんがのコマ割りは、映画が好きだったっていうのもあるかもしれないです。

木村:映画っぽいですね、確かに。

吉川:ここは引きだとか、アップだとか。それは、まんが家さんはみんな同じだと思います。


吉川先生のお気に入りは?

――続いて、木村先生への質問。
「来週、化石ハンター展に行く予定です。ここだけは見逃すなというところはありますか?」

木村:いっぱいあるんですけど、やっぱりチベットケサイ。ツノが、現生のサイのような三角コーン型のツノじゃなくて、薄くて長いんです。丸い筒状じゃなくて細くなっているから雪かきに便利だったと言われていて、よく見ると地面に当たるところは摩耗して削れています。これは実際にシベリアから見つかっているケブカサイのツノにあった特徴なんですけど。正確には、チベットケサイそのものは頭骨しか見つかっていないので、そういった想像と事実を混ぜて、ただその想像のところもちゃんと根拠があるので、一部しかない化石からどのように復元したかも含めて見てもらえたら嬉しいです。

吉川:あのツノは神々しい感じがしますよね。僕はね、アルガリが好きでした。チベットケサイに驚いて後ろを振り向いたらアルガリがいて。

木村:アルガリもいいですよね。ツノがアンモナイトみたいで。

吉川:展示も見上げる感じになっていて、凛々しくてかっこいいなって。

木村:アルガリの凛々しい顔に対して、横にいるターキンのぽやんとした顔もいいんですよ。


Twitter始めます

――「吉川先生はTwitterやインスタグラムはやらないんですか?」という質問も来ています。

吉川:ニーズがないでしょ。

木村:毎日何か絵を描いて投稿したらいいじゃないですか。そしたらだんだん昔のヒロキになっていくかもしれない。昔のヒロキが描けるようになったらシリーズ最新刊が出せますよ。

吉川:そうですね。需要があるなら、やりましょうか。

――これはファンの方は嬉しいですね。楽しみです!


研究はうなぎのタレの如く

――木村先生のファンの方で、「私も古生物学者になりたいです」という書き込みも。

木村:なってほしいですね。その時に、この2022年版『きょうりゅうのたまごをさがせ』の改訂版をお願いします。これから研究が進んだら、この内容もそのうち古くなるので。あと、もしよかったらチベットケサイの物語も入れてほしいですね。ケブカサイの化石がもっとたくさん見つかって新しいことがわかったら、もしかしたらあの時の復元は間違ってましたってことになるかもしれない。研究はそれがおもしろいので。どんどん新しいことがわかっていくことが。30年分の恐竜の変わり方って本当にすごいんですよ。

吉川:うなぎのタレを代々引き継ぐみたいなものですよね。

木村:そう、そんな感じです(笑)。


――というわけで、皆様、ご質問、コメント、ありがとうございました。

吉川:最後に、僕からも木村先生に質問があるんですけど、いいですか? あの、ミルフィーユってあるじゃないですか。食べる時にやっぱり地層として見ちゃうとかってあるんですか?

木村:ミルフィーユはないですけど、ショートケーキは発掘しますよ。ちゃんと。

吉川:あ、やっぱり! 茶碗蒸しで銀杏を発掘したり?

木村:あります、あります。

吉川:絶対そうだと思った。


(聞き手:星詩織 / 編集:藤本淳子)

→#吉川豊×木村由莉スペシャル対談1を読む
→#吉川豊×木村由莉スペシャル対談2を読む

profile
吉川豊
神奈川県生まれ。中央大学卒業後、永井豪のダイナミックプロダクションに所属したのちに独立。まんがを担当した書籍に『まんが化石動物記 全10巻』『まんが世界ふしぎ物語 全10巻』など多数。著書に、自身で世界中の謎を調べてまんが化した『まんが新・世界ふしぎ物語 全4巻』『まんがふしぎ博物館 全7巻』(以上理論社)などがある。

木村由莉
1983年、長崎生まれ。神奈川育ち。国立科学博物館地学研究部生命進化史研究グループ研究主幹。早稲田大学教育学部地球科学専修卒業。米サザンメソジスト大学地球科学科で修士号・博士号取得。フィールド・ベースの古生物学者にあこがれ、古生物学の世界に飛び込んだ。著書に『もがいて、もがいて、古生物学者!!』、監修した書籍に『ならべてくらべる絶滅と進化の動物史』、『恋する化石』(以上ブックマン社)など。


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