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「本のおはなしvol.26]『世界のあいさつ』(みるずかん・かんじるずかん)

あっという間に9月も半ば!で、やはり毎度驚いてしまいます。
子どもの学校も始まり、また日常が戻ってきたかな。と思いきや、
分散登校というNEWスタイルが始まり、まだまだなかなかリズムを掴めない今日この頃。”本のおはなし”の時間が、ちょっとホッとする時間になっています。

さて、今回選んだのはこちら。
『世界のあいさつ』(みるずかん・かんじるずかん) 長 新太 (著), 野村 雅一 (監修)

副題に、「みるずかん・かんじるずかん」とある様に、世界の様々なあいさつが長新太さんの絵と、時折の四コマ漫画によって紹介される「あいさつのずかん」です。
ここで言う「あいさつ」は、言語的な側面からの挨拶ではなく、おじぎやハグなど、挨拶の動作です。

抱き合ったり、手首を掴んだり、頭を撫でたり、舌を出したり。匂いを嗅ぎ合う。相手の手のひらに唾を吐きかける!なんていう、ちょっとびっくりしてしまう様な挨拶も紹介されています。

あいさつの未来

ここ数年、都内の保育園でゲストティーチャーとして4、5歳の子どもたちと過ごす時間を担当しているのですが、そのテーマとしを探していて出会ったのがこの本です。
いつも、事前に保育園の先生と内容についてお話しするのですが、
その時に「このコロナ渦の中で、世界のあいさつはこれからどうなって行くのでしょう。」
という話になりました。
確かに、イタリアでハグが問題になったりしている昨今。況んや「相手に唾を吐きかける」おや。というのはあるだろうなあと。
ずっと続いてきた挨拶の動作が、この世の中の流れに際して変わって行くのか否か。これは今後ちょっと気にして見ていきたい問題だなと思った次第です。

どんな時に挨拶をする?挨拶のシチェーション

ここでもう一つ、挨拶をテーマにした絵本を紹介しました。
『挨拶絵本』五味太郎 さく

一人の男の子が歩いていて、様々な人や人でないものに出会います。

お休みの日に家族と歩いているクラスメイトの女の子。
ちょっと元気がなさそうな人。
馬に乗った男の人。
様々な人に出会うシチュエーションが続いて、
未確認生物。
緑の宇宙人たくさん!なんていう難易度の高い状況も出てきます。

こうした方が良い。という正解はなく、こんな時どうする?という問いがページをめくる度に示される絵本です。
これは、大人もなかなか判断が難しい。という状況がたくさんでうなってしまいます。挨拶って、なかなか深い問題です。

だれに、何に挨拶する? 

そう、挨拶についていろいろと考えて行くと、自分の価値観と向き合うことになる気がします。というのも、私はどんな時、どんな挨拶を誰にしているかな?と考え出すと、誰に、ではなくても挨拶しているときがあるな。ということに思い当たるのです。

私は、演奏で音を出す時や、展示などで場所を使う時、その場所に挨拶をする。ということがあります。挨拶の方法は、声に出したり出さなかったり。
特に何か信じているわけではなく、自分で編み出した習慣なので、方法はその時々なのですが、挨拶をすることでその場所を使わせてもらうということに対しての礼儀を果たした。(ちょっと任侠ぽいですが)という自分なりの安心が得られる気がします。
それから、飛行機などの大きな乗り物に自分を委ねる時にも、その乗り物に挨拶します。それは、挨拶というより、自分はここにいるよーよろしく頼みます。の様な存在表明に近いのかも。いや、祈りかな。
なんて、挨拶は祈りとも近いのか!?

考えてみれば、「いただきます」などの挨拶も、それをここにもたらしてくれた人に対してということもあるけれど、その食物そのものに対して。という部分もありますよね。
日本独特のこの挨拶は、かまどの神様など至る所に神様が宿っているという八百万の神的な捉え方と関係しているのかな。なんていう視点も出てきたりして、新たな気づきの沢山あった本のおはなしでした。

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さて、今日の子守唄は「あいさつ」をテーマにしたこちらを。
シンプルな歌ですが、気持ちがこもっていて素敵です。
タイトルや作者を見つけられなかったので、わらべ歌のような、時代時代の子どもたちに歌い継がれてきた歌なのだろうなと思っています。

Hello, hello, hello and how are you?
I am fine.
I am fine.
And I hope that you are too.

やあやあ、こんにちは、元気?
うんうん、元気。
あなたも元気だといいな。


さて23日秋分の日のお休みの次の週、9月30日の”本のおはなし”は、松尾由佳さん選書のこちら!お楽しみに!


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