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してない約束(日常の中の不思議ファイル 16)

私はずっと
「上野さんとの約束を果たさなきゃ」
と、思い詰めていました。

でも気がついたんです、
知り合ったばかりの上野さんという男性とは、
なんの約束もしていないことに。

しかし、
「約束を果たさなければいけない!」
という強迫観念はますます強まり、

すぐにでも約束を果たしたい抑え難い衝動に
今にも駆け出したいくらいの気持ちなのですが、
その『約束』がなんだか分からないのです。

しばらくその気持ちと戦っていましたが、
もう何も手につかないし、
匙を投げて上野さんに連絡することにしました。

『…いやいや。何て言うんだよ、ジブン。』(心の声)

もう、10年以上前の話です。

上野さんはちょっと意外そうでしたが
快く応えてくれ、24時間オープンのデニーズで会うことにしました。

デニーズに着いた上野さんは
さて何の用?という顔をしています。当然ですが。


これがモニター越しの話なら、『神が降りてきた』と言うのでしょう、
私にも、神がww 降りてきたようです。

その物語はこうです↓

私が人間として生まれてくる前(なぜか空の上)
妊娠している母のおなかに飛び込むタイミングをはかっていると、

(人間の言葉で言えば)「もしもし」と声をかけられました。

それが上野さんの生まれる前の魂(?)で、

上野さんが生まれたあと、私に出会うから、
その時、「行く方向はこっちだよ。」と教えて欲しい。

と頼まれたので私は承知して、
母のおなかに飛び込んでいき、この世に生まれてきたのでした。

こんな話をめちゃめちゃ言いにくい思いをしながら話しました。

そして、
こうして上野さんに出会ったのだけれど

私ももう人間に生まれてしまっているので
上野さんに「こっちだよ。」と正解を指し示すことができない、
生まれてくるときにみんな忘れてしまった…

あの世界では瞬きする間もないくらいの一瞬の間のことです。

だから、今は上野さんにとって重要な岐路なんだと思うけれど、
アドバイスできなくてすみません。

そんな話をしました。

よくもまあ、そんな荒唐無稽な話を
知合ったばかりの上野さんにしたものです!!!!

あの時の上野さんは、「ほほお~。」みたいな返事をしたと思います。
当たり前です、面食らっているようでした。

それからも上野さんとのご縁は続いて
今も仲良くさせていただいているのですが、

その時の話はすっかり忘れていたみたいです。
ま、上野さんにとってはどうでもいい話なんでしょうね。

私にとっては
まだ良く知らない人に、とんでもない話をしてしまった、という

なぜあんな行動を取ったのか、今でも不思議な話なのです。


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