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中央線の妖精(日常の中の不思議ファイル 8)

今でもあれは白昼夢だったのではないかと納得いかないのです。
中央線の電車の中でエルフに会いました。

それは2回、昼間のすいている時間帯の中央線で

日付も、時間も、乗っていた区間も違うのに 同じ女の子が私の正面に座っていたのです。

その子はとても特徴のある少女でした。

12,3歳くらいでしょうか、
まるでイラストから抜け出してきたようなフリルの服に身を包んで
栗色っぽい髪の色が良く似合っていました。

藤城清治の影絵をご存知でしょうか?
あんなふうに大きな猫のようなアーモンド型の瞳

とてもとても大きな瞳。
そしてとても大きな口。

その子の表情は楽しくってたまらないように
いたずらっ子のように笑いをこらえているように見えました。

他の人にはこの子はどう見えているのでしょう?
果たして見えているのでしょうか?

髪の間からちらりと見える耳の形は
まるで伝説のエルフのようにとがっているように見えるのですが…。

彼女は私が乗り込む前から座っていて
私が観察していろいろ思いを巡らしている間も
楽しくてたまらなそうに今にも歌いだしそうな雰囲気でした。

一緒の車両に乗っていたのは10分くらいだと思います。
私の降りる駅になって、私は降りてしまいましたが
とても印象が強い子だったのでいつまでも忘れられずにいました。

それからしばらくして、一か月くらいたったころでしょうか、
また中央線を千葉方面に乗っていた時です、
乗った駅も、降りた場所も違いました。

でもその時も、あの女の子が私の正面に座っていました。

案外色が白いことや、長い髪が波打っていたこと
この前とは違うけれどやはりフリルのドレスを着ていました。

前回よりもっとしっかり観察したように覚えています。
ホントに人間なのか、ちょっと分からないような空気を出していました。

愛嬌のある雰囲気の可愛い子でした。
そして今回の表情はおすまし顔でした。

またもや私は先に電車を降りてしまいましたが
それ以来その時間帯に1人で中央線に乗る機会はなく
なんとなく、もう一度あの子を見てみたいなとふと思い出すことがあります。


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