吹雪が激しく戸を叩く(日常の不思議ファイル 37)
21世紀が始まったばかりの頃。
雪が人の背丈ほど積もっている2月、会津にほど近い場所に行きました。
家の周りは雪かきしてあって 青く晴れた空に薄日が差しています。
小さな平屋の中に入ると10畳ほどの炬燵が置いてある部屋。
それに続くやはり10畳くらいの部屋が二つ続いていて、
その周囲に廊下があって、内側の障子とガラス戸でサンルームのようです。
その日はそこでお祓いです。
供物を捧げて準備が終わると火伏が始まります。
すると明るかった空が急に曇って暗くなり、風が吹き始めました。
風がどんどん強くなってひゅうひゅう音を立てています。
まるで誰かが家の壁を力いっぱい木の棒でひっぱたいているように
風がドカンドカンと大きな音を立てて暴れまわっています。
火伏のの火が緑色に燃えたことは今までありませんでした。
これはちょっと手ごわいなと思いながらも
手順にそって淡々と部屋を浄化していき、すべて終わると、
風がやんで、日が差してきました。
あたりが雪で明るく照らされ、
舞台装置のように青空から白い雪がひらりひらりと降りてきました。
終わってお茶を飲んでいると、そこの依頼主が
「これでもう、夜中に実体のないものがぞろぞろ歩いているのを見ないで済むな。…こんなこと誰にも言えなかったが。」
そう言いました。
手強いお祓いの時は強い風が吹くのですが、どうしてなのでしょうか。
最近は吹きませんが、手強くないからかも知れません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?