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失くした赤い首輪(日常の中の不思議ファイル 12)

まだ「はな」が、仔猫だったころの話。

「はな」は多くの猫がそうであるように、脱走癖がありました。

その時も、玄関が開いた瞬間に飛び出して行ってしまい、
なかなか捕まえられないどころか、見失ってしまいました。

これはいつものことです。

毎回、ねこじゃらしや、おやつで釣って何とか捕獲します。

「はな」を家の中に入れて、やれやれと思った時です、
いつもしている赤い首輪が見当たりません。

どこかで引っかけて失くしてしまったなと思ったのですが、
なんとなく

「どこに失くして来ちゃったの?持って来なきゃだめじゃない。」

と「はな」に言い聞かせました。

次の日、出先から車で帰ってくると、
庭の草の向こう側に、「はな」の尻尾がピンと立って揺れています。

すぐに「はな」だと分かりました。
いつの間にかまた外に出てしまったようです。

この辺りにキジトラ柄の猫は一匹もみかけませんでしたから
チラッと尻尾を見ただけで分かりました。

それどころか、以前は見かけていた猫たちが
一斉にいなくなってから久しく、
このあたりは、猫のいない地域になっていたのです。

捕獲の準備をしようとあわてて家に入ると、
玄関で「はな」がお出迎え。

え?と思って、尻尾を見かけた方向を見ると、
そこには、昨日は無かったテラスに、

赤い首輪が落ちていました。



※ 写真はNeCozou  http://ne-cozou.com/

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