トンネルの怪(日常の中の不思議ファイル 4)
こうやって伝説は作られていくのかな~という話。
子供の頃、父に聞いた話です。
昔々、まだ今ほど乗用車が多くなかった頃
塩原温泉に行く道にはトンネルがありました。
そのころはまだ昔ながらの温泉街であった塩原に
ある日の夕暮れ頃、
一人の芸者が出勤のために歩いていたそうなのですが、
なんとトンネルでその芸者は
走ってきた乗用車にひかれてしまったのだそうです!
そしてあろうことか車はそのまま逃げてしまったのだとか。
かなり大怪我だったけれど、その芸者は生きていて
このままでは死ぬ!と思ったので
必死で起き上がり、通りかかる車に手を振りましたが
どの車も停まってはくれません。
それどころかスピードを上げて行ってしまいます。
父が言うには、
「そりゃそうだろう、夕暮れ時に着物を着た女が
トンネルの中で血まみれで手を振っているんだから。」
!!!!
するとしばらくして芸者をひいた車が戻ってきました。
そして温泉病院の玄関まで乗せていくと、
芸者をそこに放置してまた逃げてしまったのです。
結局芸者は本当にギリギリ危ないところで発見され
助かったそうです。
そして後で分かったことには
芸者をひいたのはアベックの車で
助手席に乗っていたカノジョはそこの病院の看護師だったので一旦は戻って勤め先の病院まで運んで行ったものの、また怖くなって逃げてしまったとのこと。
芸者さん、助かって良かった!!!
そして、きっとあそこを通りかかった車の運転手は
今も
「あそこは《出る》よ!」
と言っているに違いありません。
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