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家出したお稲荷さん(日常の中の不思議ファイル 15)

自宅の敷地の片隅に
いつからあるのか、大小2つの古いお稲荷さんの石の祠がありました。

家に来る人たちは

「あそこは何か溜まってるみたい」「重い」

などと言うので「そうかな?」と思っていましたが
私自身はあまり気にしていませんでした。

ですがあまりにいろいろな人に言われるので
ある時、浄化してみようかと思い立ちました。

稲荷の祠は、立派な大谷石の台の上に、大小2つ。
大きな祠は♂?小さい方は♀?って気がしますが。

それぞれ陶器の白い狐が祀ってありました。

浄化するには火が一番と思い、
台の上にガラスの灰皿を乗せ
大きくて太いロウソクを灯しました。

このロウソクなら十数時間もつでしょう。

火をつけているのでそばを離れず、しばらくそこにいると、
当時小学生の長女が来ました。

「何をしているの?」
「お稲荷さんのところを浄化しているんだよ。」
「ふ~ん…?」

と娘が祠に近寄って、ちょっとお稲荷さんを覗き込みました。

そしてすぐ引き返したとき、パアーン!と大きな音を立てて
お稲荷さんの前に置いたガラスの灰皿が爆発したように吹っ飛びました。

あと1秒の半分でも遅かったら
娘は失明していたかも知れません。

母親である私は、カッと頭に血が上りました。
「許さん!!!」という気持ちが沸騰した感じ。

家の中から新聞紙を丸めたものを持ってきて
火をつけて松明のようにし、祠全体をあぶり始めました。

「おまえが家族に向かって牙をむくなら、
 石の祠もろとも、
 重機を持ってきて粉々して、捨ててやる!」

と凄まじい怒りのパワーで、燃え盛る火を使ってあぶり始めました。

まずは祠の台座や周りを火あぶりにしたら、
次に祠の中にも新聞紙の松明を突っ込みました。

人によってはなんて罰当たりな、と思うかも知れません。

けれど私は、実体のないものは、この3次元では
実体があり体温があり、確実に存在する人間の前では
力の差は歴然だと思っていますので、
(そういうものがあるとしたらという前提ですが)

怒りに任せてまずは左側の大きい祠。
すると火の勢いが今にも消えそうに弱くなります。

「はぁ?」
「ふざけるな! 怒り狂っている私には通用しない!!」


なんども炎を祠に突っ込んでいると、
だんだん勢いよく燃え始め、大きな炎が燃えている状態になりました。

次は右側の小さい祠です。

案に相違して、こちらの小さい祠は本当に暗くて重い感じでした。
炎を突っ込むと、シュッと火が消え
すごく抵抗されている感じがしました。

「そっちがそのつもりなら、
 こっちはいくらでも火を突っ込んで、永遠に火であぶり続けてやる!」

あの時はなぜあれほどの怒りが湧いたのか、今でも不思議なのですが、
怒りパワーとでもいうのでしょうか、
自分の中から、ものすごいパワーが湧いてくるのを感じていました。

さらにたくさん新聞紙を家の中から持ってきて
マッチにライター、火をつける道具もたくさん用意しました。

とにかく徹底的にやってやる!という感じです。

何度も何度も祠に火を突っ込み、
そのたびに火が消えて… 
それがだんだん火が小さくなる… に変わり

とうとう、しっかりと炎が燃え盛るようになりました。
周りの空気も軽くなったような感じがします。

そしてそれをやっている間中、お稲荷さんに向かって
もし万が一、自分や家族に向かって歯向かうのなら、

目に見えない世界(あの世?)のチカラでそれをやるなら、
私がそっちの世界に行った時(いつか私が死んだ時)
必ず探し出して、ただじゃおかない!
そしてあの世の、さらにあの世に送り込んでやる!!!

絶対許さないから!!!!

という感じで、目に見えない何かに向かって、心で罵倒し続けました。

終わるまでだいたい40分くらいでしょうか
けっこう疲れました。…でも終わってすっきりしました。

それから1日~2日経った時、
左側のお稲荷さん♂の陶器の狐の姿が見えなくなりました。

さらに2日~3日経つと、
今度は右側の陶器の狐♀もいなくなりました。

翌日とかではないのが何とも…。
物理的に物が無くなる、というのも何とも…。
とは思いましたが、まぁいいでしょう、気にしな~い。

あれから10年くらい経ったでしょうか、
つい先日、残されたお稲荷さんの祠はもう空だからと、
業者さんにお願いして、砕いて、本当に撤去してもらい、
その跡は、舗装してすっきりきれいになりました。

今でも
浄化するのには、炎が一番チカラがあるんだろうなと思います。

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