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次女のスプーン曲げ(日常の中の不思議ファイル 20)

随分前のこと。

もう名前も忘れちゃったけど、
知合ったばかりの人がすごく近所に住んでいて
お互いに驚いたりしたのですが、

ある日、本当に家の後ろの電柱の電灯を交換していて(地区長?)
「家でちょっとお茶でも?」とお誘いしたことがありました。

彼は友人たちと初海外旅行に行って帰ってきたばかりで
その話をしたくてたまらなかったようです。

その中で、
皆で円卓を囲んで談笑している時、
テーブルにはナイフやフォークが並べられているのだけれど
ふと
『スプーン曲げできる』気がしたのだそうです。

そして実際曲げることができ、
ビックリして居合わせた皆に大騒ぎして報告したら
あんまり驚かれなかったようで(相手にされなかった?)

それ以来スプーン曲げができるようになったら
やってみせたい、

「スプーンを出してみて。」

と、言うのです。

私はと言うと、カレースプーンは家族の人数分しかないし
曲げられて使えなくなったら困るな

と阿保なことを考えていました。

するとそこに小学校にあがったばかりの次女が帰ってきました。

彼は夢中になって、次女に
「いいことを教えてあげるからスプーンをもっておいで。」

と言うので、
客用のティースプーンならいろいろあるしと思い、
小さなティースプーンを出してあげました。

すると彼は娘にスプーンの端っこを持たせ、

「よーくこれを見てごらん。
これは真直ぐだけど、工場で作る時、弱くなっているところがある、
と思うんだよ。

ほら、ここなんかそんな気がするだろう?」

子供はそんな初めて見るおじさんに引きもせず
一生懸命スプーンを見つめています。

「だからね、ここから曲がれ、曲がれ、って思うんだ!
…ほら、だんだん手前に倒れてきただろう?」

私にはよく分かりませんが。

ところが5分ほど経つと、明らかにスプーンは手前に折れ曲がっています。

あまりにゆっくりて分からなかったのですが、少しずつ曲がって来たようです。
そしてとうとう直角に近くまで曲がりました。

細いとは言えども、マドラーのような、
そのティースプーンの柄の断面は〇 結構硬くて大人でも曲げられません。

結局客用スプーンを5,6本、全部曲げてしまい、
得意げに見せてきたので、

「すごいね~~♡ …またまっすぐに戻しといてね。」

と言ったら 「うん。」

と言って、いつの間にか、まっすぐに戻っていました…
と言いたいところだけれど
真直ぐじゃなくて、微妙にぼこぼこ…。

私が直そうと思っても全くびくとも動かず。

(ちなみにその彼とはそれだけの接点であれ以来会っていません。それだけのためのご縁だったのかなー?)

次女は、ちょっと面白くなったのか
お友達の家でもやったらしく、ぐるんぐるんにして
ママ友が「すごいわね~。」と言ってきたので発覚。

「これ記念にちょうだいね~~。」

子供って自分の中に垣根が無いんだな~~と
改めて衝撃を受けた出来事でした。

ちなみに次女が中学生になったころ(今は20代)
その話をしたら、

「は?スプーンなんて曲げられるわけないし。」

と、全く覚えてない様子。

こんなもんかもしれません。

でも、いまだに微妙にぼこぼこに波打っているティースプーン、
捨てられずにあるんだけどなぁ~。


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