【ココロコラム】暗記を捗らせるコツとは!記憶するのが苦手な人の共通3パターン

森鴎外は、第一大学区医学校(現・東京大学医学部)予科に12歳で入学し、医学博士となり、「高瀬舟」などの小説を書いた文豪としても歴史に名を残しています。
その鴎外でさえ、「人生で一番苦痛なのは学校の試験だ」と言っています。

勉強は理解と記憶からなりたっています。理解力の高め方についてはまた後日述べるとして、今回は記憶に焦点を絞り、コツをご紹介します。

誰しも記憶することに苦労しています。もちろん、記憶力のよしあしはあるでしょう。ただ、やはりコツのようなものはあります。勉強が好きでない人や、物覚えの悪い人でも、ちょっとしたコツは身につけておくと、記憶の苦労を減らすことができます。

記憶が苦手な人に共通する弱点として、大きく分けると3つのパターンがあります。それは「素通り」「度忘れ」「目移り」です。順番に解説していきましょう。

「素通り」とは、聞いたそばから忘れていること、要は最初から覚えていないことです。ものすごく多いパターンです。もちろん忘れないために、ノートやメモをとる人も多いでしょうが、一生懸命ノートしたのに、テストになるとまったくダメという人がけっこういると思います。それは、ノートに記録したことで安心してしまって、自分の頭で覚えていないからです。これを防ぐには、「とにかく聞いた瞬間は覚えておく」ということを意識するのが効果的です。

たとえば【フット・イン・ザ・ドア】という心理学的テクニックを教わったとします(このサイトで紹介されたことがありますが、記憶していますか?)。なるほどと思っても、記憶するにはそれだけでは不十分なのです。教わった瞬間だけでいいので、【フット・イン・ザ・ドア】とはどういうものか、自分の頭の中で再現してみることです。再現できなかった場合、聞いて納得はしたけれど、覚えてはいない。つまり素通りしているということです。覚えようとするものは、まずその場で頭の中で暗唱してみる。これはものを覚えるもっとも基本的なテクニックです。

「度忘れ」とは、読んで字のごとく、一度は覚えたものを、いつのまにか忘れていることです。有名な【エビングハウスの忘却曲線】というものがあります。人間の脳は、一度覚えたものでも、24時間で半分近くを忘れ、1週間で8割ぐらいは頭から消えます。一夜漬けに意外と効果がないのはこれが原因です。覚えなければいけないものは、覚えた1週間以内にもう一度おさらいしないと、かなりの確率で忘れてしまうのです。度忘れを防ぐには、覚えるものに最低2回は触れることが大切です。

「目移り」とは、覚えるものが多くて頭が混乱していまい、脳の中でどれが大切な事柄か認識できず、どれも頭に入らないことです。やたらたくさん参考書を持っていても、どれもまったく頭に入っていない。だから成績もよくない人を見たことがあるかと思います。こういう人が「目移り族」です。このパターンの防止法として大切なのは、覚えるものを思い切って絞ることです。試験であればヤマをはる。仕事であれば、まず一番大切な事柄だけ集中して覚えるというようなことです。「度忘れ」対策もかねて、「覚えるものを半分に削って、そのぶん2回覚える」という方法をとるといいでしょう。かなり効果があります。

(精神科医・西村鋭介)


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