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テーマ学習01: テーマ学習の設計と実践(後編)

前編では、テーマ・対象・アウトプット設定から計画と実践(1週目)を取り上げました。

子どもたちが設定したゴール

- 中2の長男の目標: 読書感想を漢字2文字で表現。解説文をつける
- 小6の次女の目標: ダンス動画を撮影・編集する

※高2長女は自分の取り組み多忙で、すでに十分テーマ学習を自分で進められる状態のため対象外です。

6. 中間レビュー

中間地点の1週間が経ったところで、振り返りを行いました。そして後半の1週間の過ごし方について計画を見直しました。

●観点
- テーマ設定に無理はないか?
- 対象者は妥当か?
- アウトプットイメージはイメージ通りに仕上げられそうか?

▼長男は深く考え込むタイプ →考えていることを書いてみよう

テーマは読書感想、アウトプットは「読書感想を2文字の漢字で表現」でした。「二年間の休暇」という小説を図書館から借りてきていました。読み始めてはいるものの、まだ1文字もかけていない。構想を聞いてみても、あいまいな答えでどうもはっきりしない。

長男は、もともと頭の中で思考することが多く、ぐるぐる思考がめぐりがち。何か出力するところまでいかないということが多いタイプです。遊んだり普段過ごす分には、全然それで構いません。しかし、将来のことを考えるとせっかく考えていることを外に表現できないことは、本人にとっても社会にとっても大きな損失。

期限は決まっており、アウトプットも決めていることを確認しつつ、対話を通して「早めにラフイメージでも書いておくと、呼び水になって書きやすくなるかもね」と伝えました。「まずは書いてみるよ」とのこと、1〜2日後にまた相談してもらうように調整しました。

▼次女は真の対象者を再設定

当初「韓国文化を兄に知ってもらうため」という目的を立て、対象者に兄=長男を指定していました。複数の曲のサビ部分だけをつないだメドレー仕立てにする構成を考えていました。しかし、1週目の途中のレビュー時点で振り返りながら、「やはり本命はオーディション!」ということで、対象を「兄」から「オーディション審査員」に切り替え、構成も曲フルの1本撮りに変更しました。
次女は1週目で、2本の動画を撮影・編集まで一通り終わらせ、Youtubeに限定公開。親戚など身内に見てもらい、反応まで受け取っていました。オーディション応募用にも使えるように、ということで2週目はきちんとした構図でとりたい!と公園で撮影。

7. 実践(2週目)手直し、編集


長男は「とにかく書いてみる、文字に落としてみる」ということを行い、月曜・火曜と日々父親とラフイメージを固める作業を行いました。もともと文章自体を記述することは、作文添削で慣れているため、一度書き始めると書き上げるところまでは比較的早かったようです。

次女は近所の公園で撮影。全身が見えるように引いたアングルで、母親に撮影してもらう形としました。公共の場なので音は出さず、イヤホンで踊った動画に、後で元の音源を合わせる編集方式としました。

8. 公開


長男は手書きの漢字2文字を軸にした読書感想文をスマホのカメラで撮影しGoogle Photoにアップ。読書感想として「生存」「対立」「告白」「成長」という4つの言葉を設定し、それに解説を加えるという構成で文章を記述していました。
母親に見せたところ「すごい!こんなに文章を書けるようになったの?」との感想を受けていました。父親から見ると改善の余地は色々ありますが、本人が自信を持つことがスタートであることを考えると、一番よいフィードバックをしてくれたものと思います。

次女はダンス動画をYoutubeに3本アップ(限定公開)。親戚を中心に見てもらい反応をいただきました。「すごい!よくがんばったね!よく覚えられて、動けるね〜感心感心!」「見事だね」などなど、観てのコメントを寄せていただきました。友達に見せたあとの感想を聞いたところ、「誇らしいとかよりも、あそこを直したいとか気になった」と申していました。たゆまずに向上する心が芽生えていることを嬉しく思いました。

※プライバシーの都合上、実際のアウトプットの公開は控えさせていただきます。

9. ふりかえり

それぞれの子どもたちと、以下について1on1で話し合いました。

- 成果物
- 当初とのギャップ(テーマ・対象者・ゴールイメージ)
- できるようになったこと
- 次に生かしたいこと

「なんでこんなことやるの?作ったんだし、もういいじゃない」という表情が顔に浮かんでいましたが、できたことをしっかり見つめ、受け止め、次にしたいことまでを、きちんと受け止めておくことで次につながっていくと考えました。

▼長男:読書感想文を書き上げたことへの自信

警戒心が強いのか、中二という年頃のせいか、素直に楽しむスタンスというよりは「意図は理解するがしぶしぶ」という感覚があったことは否めません。よく書けたじゃない!という母親の言葉に、ちょっと嬉しそうな表情を見せたような気がします。ですが、すぐに「いや、でもここがまだできていないから」と改善点を挙げるなど、親側からは読み取りきれない部分がありました。もともと保守的な性格と自己肯定感・自己効力感の面での課題が透けて見えるので、親側の受容といままでのストロークに関する反省とを思います。
しかし、まったく意味がなかったか?といえば、そうでもなさそうです。というのも、日を空けて勉強全般の話をしていた時に、長男が「文章を書くことはできるんだけどね」と言っていました。このことから内なる自信を長男自身の中で深めることはできていると読んでいます。

▼次女:動画編集の感動と夢の実現

動画を編集する中で、最初の黒地に白文字タイトルから自分のダンス映像にクロスディゾルブでフェードインする状態を簡単に作る過程がありました。まるで自分がYoutuberになったかのように、目を大きく見開き、輝いた表情で見入っていました。「すごい!」と感嘆の声を上げていたことで、共に感動を分かち合いました。

オーディション応募のため、半年前から次女は動画撮影をずっとやりたがっていたのですが、本人だけでは、なかなかどうしたらよいかわからず、実現できずにいました。今回のテーマ学習を機に、作品を撮れたことだけでなく、応募まで至ることができました。結果は未だに受け取れていませんが、「自分はできるんだ」と実感できた経験は、きっと本人の自信にもつながったことと信じています。

親としての振り返り

「目標設定・期限厳守・アウトプットを求める」などと聞くと抵抗感を覚える方も多いかもしれません。「なにも、そんな子どもの頃から仕事のような苦労をさせなくてもいいのに」という感想を持たれる方もいるかもしれません。父親である筆者自身も、仕事で追いまくられるストレスは嫌いです。

子どもへの過度なストレスになりすぎないよう、四六時中、期限とアウトプットを求めているわけではありません。テーマ学習に割く時間は、あくまで日常生活の5%程度になるよう、ライトに抑えています。娯楽などに使える自由時間は他にたっぷりと取るようにして、バランスを意識しています。

自分自身が確立した方法を知っているわけでもないので、手探りしつつ、迷いながら、子どもと二人三脚しつつ進めてきました。対話しながら、一緒に作業し、共に結果を喜ぶという営み。その営みそのものに、家庭教育ならではの喜び、すなわち親子で一緒に何かをする喜びがあったことを再確認できたことは、私自身の成果でした。

教育においてのゴールは、他人が考える「成果」をあげることではないと私は考えています。本人が成果であると心から感じられ、自分で設定したゴールである必要があります。貢献すること、その中で得られる喜びと感謝の感情で日々を過ごすこと。そのための具体的な力と自信(自己効力感)を育てるために、テーマ学習を今後も取り組みたいと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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