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お似合いのふたり

「ね、いま、電話できる?」 わたしからの連絡は、たいていが突然だった。 「ごめん、今日はダメなんだ」 数分後、既読がついて返信がくる。 そうだよね、急だもん、申し訳なかったな。独りごちて、淡い期待をそっと胸にしまう。彼には、「そっか、ごめんね」とだけ打って、携帯を手放した。忙しい中返してくれただけでもありがたいのに、これ以上のわがままは言えない。 けれどもそれからしばらくして、携帯が震えた。 「ううん、ほんとは俺も話したいんだけど。ごめんね」 たぶん、紙だったら

    • 先日、She isさんの公募コラム「ははとむすめ」に挑戦しました。 まだまだ未熟で掲載していただくには及びませんでしたが、これを機に、noteの投稿を始めてみようと思います。 拙い文章ですし、考えも足りないところが多いですが、目に留めていただけたら嬉しいです。

      • わたしに理想の母親はいらない

        大人というのは、完璧な存在なのだ。 思春期だった頃のわたしは、どういうわけかそう決めつけて疑わなかった。 何をもってして完璧な存在なのかという確かな線引きなどは知りもしない。ただ、あのときのわたしは、人よりわずかでも不得手なものがあることに異常なまでに怯えていた。誰から見てもうまくいっている自分でなくては、どうしても許せない。どこからきたかもわからない不可思議な義務感に、ずっと囚われていた。 そんな義務感が、親にも向けられるようになったのはいつからだったろう。 両親は、わ

      お似合いのふたり

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