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蓬莱の妃 0章 『かみくだり』 §5

登場人物紹介

 宮内 輝夜(みやうち かがや):富士吉田市の代表的神社の一つである旧社明香神社の宮司をしている宮内家の長女。普段はニート女子をしているが、この地の古代にあったとされる『富士王国文明』の調査・発掘を行っている。その一方自らの美貌が災いにより(本人談)雑誌等にてファッションモデルをしている。元々宮内家の血筋として受け継がれているとされる能力により『仲介者』という仕事も行っている。能力において日本でも世界的でもトップクラス。

 宮内 咲夜(みやうち さくや):宮内家の次女。帝都東京大学出身で都内私立大学にて薬学研究の分野で大学院生をしながら個人企業の実質的代表者及び魔法使い研究SNSカンパニー『ウィッチ ド ブリュー』代表者。容貌は姉とは双子ながらも正反対の可愛らしさのある女性だが、言葉遣いに関して(特に姉に対して)は激辛でその他の人に対しては本人から壁を作っている節もある。彼女も姉と同様に能力者であり『仲介者』として活動もする事もある。

 黒田 光流(くろだ みつる):姉妹の名付け親であり二人の世話人。二人の世話以外にも地元の観光協会認定のトレッキングコンシェルジュ。父親の影響で発掘調査や古文書解読も。一応能力者であるが未開発。

 宮内 笑美(みやうち えみ):故人(2325年時点)。宮内輝夜・咲夜姉妹の母親であり、光流の実姉。但し血は繋がってはいないとの事らしいが・・・

 宮内 柾城(みやうち まさき):宮内姉妹の父親。光流とは母親が同じなので光流が兄に当たる。現在の富士明香神社の宮司をしている。

 宮内 荒太(みやうち あらた):宮内姉妹の祖父。前富士明香神社の宮司。現在は地元の相談役みたいな事をしていながらも孫である姉妹の陰陽師としての『教官』をしている。元『仲介者』であり裏組織である【南朝派陰陽師】の一角としてこの国の代表の立場を担っている。性格は周りに対してどうしても言い方で厳しい事を言いがちな人間と思われている。本人もそんな役回りをしていると自覚している。


§5 布石、でしょうか


《回想から現在の時間に戻り、黒田が部屋を出て行こうとしていた時、姉妹はとある依頼で列車で都内に向かおうとしていた。》

 「今思えば、わざわざあの爺様が来たのはこういう大事な事を私が断れない様にする為の事だったのかなと。まぁ後継にされられるよりかはマシですけど。」

 と、私はこの日記を読みながら20年前の事を思い出していた。
 この本当の持ち主である姉の笑美は既に虹の橋を渡ってしまったが、この手垢がついている古ぼけたノートにはいつまでも二人の事を見守っているという姉の想いがあり、この何度も開いた跡にその母の想いを忘れないようにしているこの手垢が「しるし」なのかなと思います。

 恐らく今の持ち主になっている輝夜お嬢様は私がこれを探す為にこの部屋を家探しする事を見越して「わざと」わかりやすい場所に出していたけど、同時に今私にこの日記を読ませたいという想いもあるのかも知れませんね。

 「本当は持って帰ろうと思っていたけど、もう暫く預かってもらおうかな。」

 私は日記を机の上に置き、部屋を出ました。

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富士吉田の地域のとある古史古伝に因んだファンタジー(創作)になります。今回はその最初の話しになります。

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