ポーランドで日本のアニメの話をする

ポーランド人に一番知られている日本のアニメ作品って何だと思いますか?

一昨年の11月後半に、ポーランド広報文化センターなど複数の機関・団体に資金援助を受け、ポーランドに取材旅行のようなものに行ってきました。ポーランドの音楽をメインに書いているのに、恥ずかしながらそれが初渡ポラでした。

「とにかくたくさんの人に会ったり、ライヴを見たりする」というのが目的だったので、できるだけ都合をつけてミュージシャンたちと会ったり飲んだりしました。そうやってみんなと話したりしたネタを今もトークイベントとかで使わせてもらってるので、すごく実りある旅だったと思っています。

で、やっぱりみんなと日本の文化の話になるんですよね。伝統音楽について訊かれることが多いのも印象的でしたが、盛り上がったのはやっぱり日本のアニメについてでした。

ポーランドの人と日本のアニメについて喋っていて、その知名度の圧倒的なツートップは、キャプテン翼とセーラームーン。ポーランドでも放映されて、それがきっかけで日本のカルチャーについて関心を持つ人が多いらしいんです。

セーラームーンは、実は私、原作は目にしたこともないですし、アニメも偶然やってたのを観て途中でやめてしまったので、一話分も通して触れたことがないんです。キャラも月野うさぎとタキシード仮面くらいしか知りませんが、まあメインキャラの人たちが「ああいう格好」をしているくらいのイメージは持っています。

で、ウクライナ・ルーツを持つあるベーシストとの会話。

「僕ね、ちっちゃい頃、セーラームーンにやられちゃってさ・・・」
「へえ、男の子なのに珍しいね」
「だって、あの短いスカート・・・僕、メロメロになっちゃったよ。まったくあれさ、ビジネスだよな!(爆笑)」

同人誌について詳しい知人に訊いたら、セーラームーンをネタにした男の子向け同人誌ってけっこう多いらしいですね。そういうののポーランド語訳版とかもあるとか。ベーシスト君が言ってることって、まあそういうことだと思うんですが(笑)。まあ、あれはその辺をうろうろしたり飛んで回ったりしていい服装じゃないですよね。彼は幼い頃、大いにリビドーを刺激された模様。エッチ方面で男子を惹きつけるビジネス戦略を冷静に振り返っているのが面白かったです。

こちらは街を案内してくれた女子大生との会話。

「はじめて日本について興味がわいたのは、キャプテン翼ですね。テレビでやってて・・・。日本のアニメーションでは、ハヤオ・ミヤザキの名前は知っていましたけど、彼の作品を見たことがありませんでした。だから、キャプテン翼が最初なんです」
「少年向けのサッカーものだけど、面白かったの?」
「うーん、と言うか、私の友達にむちゃくちゃハマっている人がいて(苦笑)。彼女がどんどん薦めてくるんです」
「えっ、友達も女の子だよね。それってひょっとしてBL的なやつかな。ボーイズ・ラヴ」
「ああ・・・そう、それです(笑)。私はそっちには行きませんでしたけど、彼女を通していろいろ教えてもらって日本に興味を持ったんです」

またも同人誌ネタですが、私の親しい友人に腐女子がいて、彼女が腐りはじめたのはキャプツバがきっかけだったらしいです。彼女も私と同年代ですが、全国的に腐女子が増加する起爆剤になったのがキャプテン翼だというのが腐女子の正史らしいです。ポーランドでは、それが遅れてやってきたんですね。と言うか、どんだけキャプツバに腐れエキスが充満してるんだ。BLに国境なしってことでしょうか。

とにもかくにも、日本に興味を持ってくれるきっかけがあるっていいですよね。

次は、あるジャズ・ベーシストとの会話。

「日本のジャズのミュージシャンとして好きなのは、ヒロミ・ウエハラ、マサブミ・キクチ。それに、ヨーコ・カンノ。この3人かな」
「えっ、ヨーコ・カンノは日本ではアニメーション専門のコンポーザーだと思われているんだよ。君たちにとってはジャズなの?」
「えー、そうなの?だって彼女の音楽からはジャズを感じるけどなあ。カウボーイ・ビバップ最高だろ。その音楽からジャズを少しでも感じたら、ジャズなんだと僕は思うんだよね」

一応ジャズ畑のライターなので、ポーランドでもジャズの話をよくしたのですが、上で彼が挙げている3人(上原ひろみ、菊地雅章、菅野よう子)が日本の(ジャズ・)ミュージシャンで名前が挙がるトップ3でした。

まあ上原さんとプーさんはわかるにしても、菅野さんが挙がるってところがとにかく面白い。ご本人は否定したいかもですが、とにかくポーランドでは菅野よう子さんは半ばジャズの作曲家として認識されています。

後日、他の街でまた別のミュージシャンたち(菅野さんの曲をカヴァーしているデュオ)と会った時に、

「そうそう、○○が菅野よう子が一番好きなジャズ・コンポーザーだって言ってたよ。ポーランドではジャズ・ミュージシャンに愛されているんだねえ、彼女は」
「僕らも彼に同意するよ。彼女の曲はジャズ演奏家を惹きつける何かを持っているんだ。カウボーイ・ビバップ・・・すばらしい!」

と言ってました。ポーランドって、映画音楽の質が異様に高かったり、映像を流して音楽を生演奏でつけるフェスとかがいろんなところで開催されたりするような国なので、映像と音楽の関係に独特のセンスを持っています。菅野さんの音楽に対しても、ちょっと捉え方が違うのかもしれません。

さて、アニメではないのですが、ポーランドで日本のマンガ文化がどれだけ普及しているかという好例をここに挙げます。

ヴロツワフという街で、普通の住宅街の中にある文化センターみたいなところにジャズ・フェスティヴァルのプログラムのひとつを聴きに行ったんです。するとそのセンターには子ども向けの図書館が併設されていて、NARUTOなどの人気作品をはじめとした日本のマンガのポーランド語訳版がたくさん所蔵していたんです。

当時は私も図書館員でしたからこれは面白いと思って、許可を得て少し写真を撮らせてもらいました。その時いた女性図書館員の方にお話をうかがおうと話を振ってみたのですが、ポーランド語、ロシア語、フランス語しかできないということで、中学生以下の英語と挨拶だけのポーランド語しかできない私はお礼を言って退散しました。しかしあんな小さな図書館に、3ヵ国語も話せる人が常駐しているのか! おそるべき文化大国ポーランドです。

というわけで、ポーランドで出会った日本のアニメ系のおもしろエピソードの一部をピックアップしてみました! もしポーランドに行って、現地の人とおしゃべりして仲良くなりたいと思ったら、アニメ・ネタをがっつり仕入れて行くのをオススメします。ポーランドは若者がとても多い国なので、そういう話で盛り上がれるシチュエーションもたくさんあると思いますよ。

それで、今月の上旬からもうLOTポーランド航空が初の直行便をスタートさせています。ドイツやフィンランド経由で行ってたこれまでより断然行きやすくなっていますよ。ぜひぜひ!

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オラシオ

ポーランドの旅

2014年11月後半&2017年4月後半の二度のポーランド旅行で見聞きし感じたあれこれをつづります。
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