結婚したら子どもは

私は計7回離婚を経験しました。

って書いたらビックリするでしょうが、もちろん自分のことではありません。最初の「離婚」はうちの両親。5歳の時でした。あまり記憶が定かではないのですが、母が「では、大変お世話になりました」と前の父に言ってるところから記憶が始まって、そのまま母に手を引かれて当時住んでいたマンションを出たら、そこに車が待っていた。

運転席にいたのは、母と同じくらいの若いお兄ちゃん。私が「誰?」と訊いたらふたりは少し黙った後「Yのお兄ちゃんやで」と答えました。このYさんこそ、それからずっと私の父であり続ける男性です。私は、このとき両親が「新しいお父さんやで」と父を紹介しなかったことをずっと感謝していますし、尊敬しています。彼と自分との間の距離をはかる時間を与えてくれた。今でも、私の本当の父はYさんだと思っています。

さて、父方・母方、そして高校時代の同級生だったという両親の旧友たちのそぞれぞれの家族は、ひとりひとりはいい人なんですが「家族」というひとくくりになるとダメだったりして、次々と離婚しました。単に離婚だけで済まず、完全に人間関係として崩壊しちゃったところもあります。

うちの両親が「ひどい」すれすれだなと思うのは、そういう大人の人間模様をあますところなく子どもの私に見せたことです。「大人の話やから、あっち行っとき」とか一切言われたことがないですし、暴力が発生しない限り、どんなに醜いやりとりになっても普通に同席させてました。そうやって、7つのうち残り6つの離婚の一部始終をつぶさに見て育ちました。

特に離婚問題にかかわらず親戚関係のひどさは目に余り、両親や思春期時代の私をいたく苦しめ、結果「かわいいとかブスとかがわからない」とか「男女関係に愛は要らない。友情だけでいい」とかを本気で考えている歪んだ男子が出来上がってしまいました。書いてるとイタいな。いてて。

ま、そんな感じで潔癖なのか歪んでるのかわからない男子ちゃんが一匹出来上がっちゃったわけです。男女関係の多様化とか言ってる今ですら「恋愛して結婚して子供産んで」というのが一応男女の理想コースとしてあるわけですが、当時の私はそれらがバッドエンドに終わる事例しか見ていないので、恋をするとか男女のあれやこれやの一切に絶望していました。

今の彼女と付き合い始めてもう20年以上になります。出会ったのは大学のサークルというベタな展開。地方の大学だったので、当然何もかもが小さな輪の中で起こる、そんな環境です。同じサークル内で付き合ったり別れたりを繰り返しているさまを内心苦々しく傍観していたはずが、なぜか彼女を好きになってしまった。

どうして君は僕を好きになったの? 何が良かったの?

長い間つきあっている人たちは時々この話題になると思うんです。昔の自分なんて人格が不安定で自分本位のやな奴だって自分が一番よくわかっているので、それなのに何で好きになってくれたんだろうっていい歳になってくると思うじゃないですか。最初に訊いた時、彼女はこう答えました。

「君だけがひとり、結婚したら子どもは何人欲しい?っていう質問に『結婚はしません』と答えそうな感じがしたからだよ」

彼女は普通のご家庭に生まれ育っていますが、結婚も出産もしないと子どもの頃から決めていたらしいです。そして、大学時代に限らず身の周りの男子がみんな「結婚したら子どもは」の質問に相好を崩して「男2人がいいな」とか言う・言いそうなのを見て「男子ってみんな、夢見てんなー」と思ってたらしい。家庭を持ちたいという気持ちより幻想が勝ってる感じがたまらなく嫌だったのだそう。だから、男子として好きと言うより、同志を見つけたに近い感じだったのかも知れませんね。

7つの離婚は思春期までの私をいたく苦しめましたが、そのおかげで私は彼女のお眼鏡にかないました。最近はそうでもなくなってきたはずですが、今の社会環境だと男子が結婚や家庭を持つことのデメリットを知る(=メリット、デメリットの双方を知ってから判断する)のはけっこう難しいんです。

一生のパートナーと無事出会えた。そのことだけでじゅうぶんお釣りが来ました。この幸運を思わない日はありません。あの時家庭に絶望していた自分に、そしてその絶望を与えてくれた7つの離婚に、感謝しています。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

フリーランスのため、みなさまのサポートは取材や執筆活動の貴重な経費とさせていただいております。また、サポートいただくとものすごく励みになります。最高のエネルギーです。よろしくお願いします。

ありがとうございます!SNSでシェアしていただけるとさらに嬉しいです!
66

オラシオ

《事務局ミーチング用_資源/note》

コメント6件

ハラキリムシさん ありがとうございます。読者の方に共感していただけるかどうかは怪しいものだと思いつつ書いたのですが、良かったです。
「都市伝説」はいいですね(笑)。結婚が良くないとか離婚が良くないとかいうことではなくて、もともとそこにある当たり前のものみたいになっているのが嫌なんですよ。それぞれの人間関係の中で作り上げて行くものじゃないかなと思っているので。
frarevoさん ありがとうございます。人って、大人になったらこんなやりとりをしなきゃいけないのかーと嫌な気分にはなりましたが、実際苦労はしてないんですよ。両親とは仲が良かったですし。ただ、恋愛とか経験する前に勝手に醒めちゃったところはありますね。
Lady SucREさん ありがとうございます。こちらこそはじめまして。そうですね、恋愛の前にいろいろ考えてしまう私や彼女のような人間には「同志」的な感覚は必要なのかもですね。私たちは結婚も別にしたくないし、子どもも要らないということが早めに判っていたので、その点では楽でした。
私とかなり近い価値観です!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。