旅のついでに図書館へ、のススメ

CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が運営する通称「TSUTAYA図書館」をはじめとした公共図書館が最近巷で話題です。図書館には「本を借りる」以外のいろんな利用の仕方や価値があって、これまでとは違う楽しみ方に注目が集まりはじめています。

えー、最後にこれを書くのもかえっていやらしいので(笑)先に宣伝しておきます。4月18日に、私も計6ページ執筆した洋泉社MOOK『図書館へ行こう!』が発売されました。キレイな写真をたっぷり使って、表紙には栗山千明さんのお美しい姿。公共図書館を中心に、さまざまな試みを行っている日本全国の「訪ねたくなる」図書館を計90館、ポップに紹介しているムックです。

このムックのテーマは「まずはとにかく、図書館に行ってみようよ!」だと思います。図書館ラヴな人たちが仰っている「知の宝庫」というのも確かにそうなのですが、それだけだと「特に何かを学ぶ意欲がない、自分みたいな人間は行きにくいなあ」と感じる人も多いわけです。『図書館へ行こう!』はそういう真面目な角度とはまた違う視点から図書館を紹介し、間口を広めにとった本なんです。

とは言え、公共図書館というとやっぱり「地元の人向け」の施設というイメージが強いし、行ったところで本を読む以外の楽しみ方もよくわからないという方は多いのではないでしょうか。というわけで、普段私が個人的にやっている図書館の楽しみ方をここでご紹介します。それは、

旅先で図書館に行ってみる

です。旅行プランにわざわざ図書館を組み込むの? 観光客は本を借りられないのだから意味ないのでは? と疑問を感じた方もいらっしゃるでしょう。

それでは自分の経験を交えつつ、旅先で図書館に行くことのメリットや、その楽しみ方を少しご説明しましょう。

1.建物を楽しむ

たぶん自分の街にある図書館がどんなところかで図書館全体に対するイメージの持ち方は違ってくるのだと思うのですが、最近はすごくキレイでオシャレだったり、有名な建築家に依頼して設計してもらった図書館も多くなっています。単純に外観だけでもチラ見して「おお」と思う館もあるんですよ。

例えば、仙台市民図書館が入っている複合文化施設「せんだいメディアテーク」伊東豊雄の設計で、伊東の代表作のひとつとして建築の世界でも高評価を受けています。

あと、図書館は利用者がストレスなく滞在できるよう独自のノウハウでさまざまな工夫を凝らしているので、インテリアや照明、トイレなどの細かい部分に注目してみても面白いです。その意味では、図書館関係者にはあまり評判が良くない現在開館中の計3つのCCC運営図書館(佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀城市)もなかなか見どころがあると思いますよ。

コチラ↓八戸市立南郷図書館前のイベントViva!Bossa!の模様

2.知らない街をぶらぶらする

地方に行けば行くほど「あるある」なのですが、電車やバスの接続が悪くて小一時間待つ羽目になる。そういう時は駅とかにある「周辺地図」を見て最寄りの図書館をチェックしてみよう! だいたい「徒歩10分圏内」にひとつくらいはあったりするものです。

地図を頼りにゆっくりと街を歩けば、いろんな造りの家が建っていて、小さな公園があったり、小川が流れていたり、そこに住む人たちの日常が見えてきます。あなたが自分の街で通勤する時間に、遠く離れたこの街でも、人がここを通って駅に向かっていく。そうした想像が、ほんのひとときの豊かな時間を味わわせてくれます。

また、雪が多いとか風が強いとか、山間にあるとか海辺にあるとかの自然環境の違いで街の設計も変わってきます。つまり「土地柄」があります。建物の感じとか、どんなお店があるかとかも観察しながら歩くと面白いと思います。私はたいてい「ここで生まれ育った思春期の子たちは、この街でどんな青春を送っているんだろう」とか考えながら図書館までの道のりを進みます。

例えば、会津若松から磐越西線に乗って新津まで来た時。富山方面への電車に乗り換えるまで一時間くらいあったので、新津図書館に行くことにしました。新津の街って、川の感じとか独特で、個人的に忘れられないものになりました。

図書館はどんなに外向けに広報を頑張っていても「地元の人向けの公共施設」であるという軸はぶれませんから、図書館がある街にはそこに住む人たちの飾り気のない日常生活が息づいています。もしあなたがこの時「あ、図書館があるんだ。時間つぶしにちょっと行ってみようかな」と思わなければ、駅でじっと待つだけで出合うことがなかった街の情景。せっかくの旅なのですから、そんな時間を過ごしてみるのも、乙なものではないでしょうか。

3.ただ単に休憩するのもいいんじゃない?

最近は図書館が駅前だったり、駅から歩いて5分くらいのところにあったりというパターンも多くなってきました。ちょっとした分室のようなものが駅前にある場合もあります。

さて、旅がどんなに楽しいと言っても、知らない土地を歩く緊張感と疲れはやっぱりあるでしょう。ちょっと休憩したいな。時々そう思っても、良さげなカフェとかを探したりするのも面倒だし、それはそれで疲れそう。

そういう時は、目についた最寄りの図書館に行ってみればいいんじゃないかと思っています。基本的に図書館では、荷物をたくさん持ったままでの移動はあまりして欲しくないと館側は思っているので、たいてい使用後返金方式のロッカーがあります。とりあえずそこに荷物を預けられます。ほんの少しの時間でも、重い荷物から解放されると、それだけで少し気が楽になります。

あと、特におしゃべりを禁止していない館でも、基本的に本を読んだり調べものをしたりという空間ですからそれなりに静かです。静かな環境は、人の疲労を和らげてくれます

また最近はカフェが併設されていたり、複合文化施設の場合は同じビルの中に飲食店があったりもしますから、図書館をのぞきついでにそちらでお茶したりケーキを食べたりすることもできるでしょう。

コチラ↓は福井市立桜木図書館も入っている福井駅前の複合ビル「アオッサ」からの眺め

寝転んだり、あまりの長時間滞在で地元の人の利用を妨げたりするのはちょっと、ですが、ほんの少しの時間落ち着いた空間で座って休憩や読書をさせてもらうのは全然ありだと思いますよ。実際私もそうやって旅先の図書館で一休みしたことは何回もあります。

4.図書館は観光の拠点?

これは一部の館に限られるのですが、図書館自体が意外に観光情報のハブとして機能している場合があります。

もともと公共図書館は地域の資料の収集に努めていますから、る○ぶみたいな旅行ガイドじゃなくても、地元ネタの本はそれなりに置いてあります。そして、貸出はできなくても、観光客でも誰でも手に取って読むことができます。私が『図書館へ行こう!』のコラムで書いたように、ご当地ネタのイベントを開催したり、地元の職人や産業を紹介する展示企画をやっていることもあります。そうした情報から、旅の次の行き先を決めるというのも面白いかもしれませんね。

また、これまでなら観光案内所に置いていたようなパンフとかを積極的に配布している館もあります。図書館自体がその土地のオススメ観光スポットになっていたり、観光名所に併設されている場合もあるでしょう。代表的な例では、長野県小布施町の「まちとしょテラソ」などが挙げられます。

5.とは言え、最後に少し注意点を・・・

気まぐれで、あるいは予定にあらかじめ組み込んで旅先の図書館を訪ねるのはけっこうおもろいよ、という話だったのですが、よりスムースに図書館巡りを楽しむためにいくつか注意点を最後に書いておきます。

①行くか行かないは別にして、旅先にある主な図書館の情報はあらかじめ館のホームページなどでチェックしておく
・休館日や曜日による開館時間の違いがあるため
②旅行者のテンションのまま館内で行動しない
・基本的に図書館は地元の人たちのもの。騒がしくしたり長時間多人数で読書スペースを占領するような行いは控えましょうね
③どんなに景色が良くても、館内の様子がカッコよくても、決して無断で写真は撮影しない
図書館は原則撮影禁止です。もちろん、図書館員に撮影したい旨を伝えれば許可される場合もあります。とにかく無断で撮ったり、それをネットにアップするのはものすごいマナー違反なので、やめましょう

終わりに

私は図書館員だったので、他の館のことをもっと知らなければスキルを上げられないと思っていて、勉強のために旅先で図書館に行ってた部分もあります。が、そうした専門的な目的を抜きにしても「旅のついでに図書館へ」は充分ありだな、とずっと思っていました。

そこが「良い図書館なのかどうか」というのはとりあえず地元の方たちに評価を委ねるとして、ただ単にちょっとした立ち寄りスポットとしての図書館という捉え方は敷居も低くて良いんじゃないでしょうか。

実際、つい先日私も所用で神戸方面に行った際『図書館へ行こう!』をガイドに、伊丹市立図書館ことば蔵神戸市立東灘図書館にふらっと立ち寄って来ました。伊丹の街並は想像していたのと全然違って、いい感じでした。図書館をきっかけに、良い「まち散歩」ができたなと思っています。

折りしもGW真っ只中をこれから迎えます。この連休中に旅行を計画している方は、ついでに図書館も行ってみませんか?

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