人はいつでも親になれるのかも

【投げ銭制コラムです。オマケ以外の全文をお読みいただけます】

内閣府によるアンケート調査「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書を見ると、いぜん「結婚した方がよい」と考えている人が多いことがわかります。

調査対象は未婚と既婚の人に分かれていますが、このうち未婚の人が「結婚した方がよい」と答えている場合は「いつかは結婚したいと思っている」とほぼ同意だと考えても良いでしょう。

そういう潜在的に「結婚したい」人たちはまだ7割くらいいます。同調査では「結婚したい」と明確に意思を表明した未婚の人はさらに8割近くに跳ね上がります。

結婚していない私や相方の個人的な感想は「なかなか5割にならないもんだねえ」です。でも、こういう2択問題がフィフティ・フィフティにならない時、必ず何らかの社会的バックグラウンドがあると思います。

そしたら、今度はその「結婚したい」の理由が気になりますよね。

その理由のトップのひとつに立っているのは「子どもが欲しい」でした。

今の日本社会では、非嫡出子は法律的に不利なようになっていますから、子どもが欲しいと願う男女は結婚のことを考えざるを得ません。つまり「子どもが欲しい」と「結婚する」はセットになっているのです。

となると「結婚したい」の中には、ただ単に結婚という行為がしたい、婚姻関係を結びたいという欲求以外に「結婚には別に興味はないし、愛し合う人がいなくてもいいけれど、子どもは欲しい。だから結婚しなきゃ」という考えも含まれる可能性が出てきます。

実際親しい友人の中にも「男も結婚も要らんけど、子どもだけは欲しい」という女性が何人もいます。不思議と、そういうことを言う男性はいませんね。

なので、一概に「結婚したい・しなければ」と言っても、結婚と出産という本来は別の2つのものがくっついてしまってそう見えているだけなのかもしれません。

ところが、厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果がショックを与えたように、非正規労働者が4割というのもまた、この現代日本の現実のひとつです。実際はブラックな企業などは虚偽の回答をするか、調査に応じなかったと思うので、非正規の人たちの割合はもっと高いのではないかと思います。

そうすると男女ともに収入が安定せず、結婚もままならない。子どもは作りたいのだけれど、その前段階の結婚にすら至れない。結婚できないから子どもを作れないという気持ちを持っている若い男女が多いというわけですね。そして、少子高齢化が加速していく。

少子化が社会にとっていけないのかどうかという問いはとりあえず措いておきます。

で、こうした問題に解答のひとつを出したのがフランスです。家族手当や出産費用の公費負担はもとより、出産・育児休暇の保障、非嫡出子の平等の保障などなど数々の政策を長い時間をかけて整備してきたことで、生涯出生率が上がりました。要は世の中の意識の「結婚しなきゃ産めない」から「結婚しなきゃ」の部分を取り去ったのです。

結婚してもしなくても子どもが産めるし、出産や育児に対する保障も変わりなく受けられる。だったら産もうかな。フランスでは、結婚するという選択肢と出産するという選択肢が完全に別のトピックになったと言い換えてもいいでしょう。

ここでもうひとつの問いが必要になります。「子どもが欲しい」というのはイコール「自分で産みたい」なのかどうか、ということです。「産む」と「親になる」は不可分のセットなのか

不妊治療の是非が話題になる一方で「実は最近結婚したんだけど、相手は子持ちなんだよねー」みたいな話も増えてきた感じってないですか。それを言ってる人が男であれ女であれ、自分あるいは配偶者の出産経験がなければ「突然、親になっちゃったよ、自分」というわけですよね。

最近、女性と家事労働と結婚の関係をテーマにした『逃げるは恥だが役に立つ』という漫画を読んでいて、登場人物のセリフにハッとしました。

その登場人物は50代の女性で未婚。ちょっといいなと思える子持ちバツイチの同年代の男性との結婚のことを考え「人はいつでも親になれるんだと思っちゃったのよ」みたいなことを言うのです。

そうなんですよね。子持ちの人と結婚することもあるし、血のつながっていない人と養子縁組を結ぶこともある。親のいない子どもを引き取ったりする里子制とかもあるわけです。

もし「子どもが欲しい」という言葉の中に「産みたい」だけではなくてシンプルに「親になりたい」という意味もあるのなら、後者だけを実現するには、出産以外にももっと道はあるということになります。

実際に同じ血が通っていなければ親子ではないとか親愛の情は生まれないとかナンセンスなこと言う人も、もうだんだん減ってきていますし。

うちの両親も私が5歳の時に母が連れ子する形での再婚でした。父はその時28歳くらいの若造で、突然父親になったのです。今では私は彼こそがほんとうの父だと思っていますし、逆に前の父に肉親感情はまったく持っていません。

結局、まず「親と子」という関係になって、それからどれだけお互いを見つめ合う時間をしっかり重ねていくのかが、大事なのかなと思います。

上記内閣府調査では、未婚の30代女性の「結婚したい理由」で突出して目立っていたものに「老後で一人でいたくない」というものがありました。ここでそう答えた彼女らの「独りではない」状態に必要なのは、配偶者かもしれませんし、息子や娘、そしてそのどちらかの子である孫という意味かもしれません。

これってけっこうよく聞く意見なんですよ。私の周りの未婚女性はよく「独りで死にたくないから・・・」結婚しなければと焦っている、と言う人が多いんです。とは言え、彼女らが果たして「異性(あるいは同性)と愛し合う関係性を作りたい」と思っているのかどうかはちょっと怪しい。さびしいのが嫌と言う気持ちと恋愛感情は必ずしも一致しませんよね。

もしその解決方法が「親になる」ということなのであれば、必ずしも結婚しなくてもいいし、出産する必要もない。養子縁組という方法もありますし、結婚経験者の独身者で子どもがいる人と恋愛関係になれば、法的な親子ではなくてもかなり親に似た気持ちになれるのではとも思います。

また、養子縁組は養親は別に結婚してなくても独身でも構いません。養子は嫡出子扱いになります。つまり「実の子ども」と同じなのです。

個人的には「自分の○○のために他人とある関係を持ちたい」という気持ちにはあまり賛成できませんが・・・・恋愛したい、結婚したい、子どもが欲しい、親になりたいとかいう欲求には、多かれ少なかれそのような自分本位な欲望が含まれているものだとも思います。そのこと自体は、必ずしも悪いことではありません。

もちろん実際に血がつながっていないということは「生まれた時からその子のことを知っているわけではない」と同じなので、そのことによる人間関係的な弊害は少しあるかもしれません。

しかし、血がつながっていてもうまくいってない親子なんてざらにいますし、逆にそうじゃないのにものすごく仲が良い親子も同様にたくさんいますよね。ただ、今のところは後者の成功例の情報が少ないだけです。情報の露出の割合イコール現実ではありませんしね。

自分で産みたいという人はそれはそれで良いと思います。でも、親になるということに達する道は、自分が産むという一本だけではないという事実には、どうしても親になりたいという人にとっての希望が含まれているような気がします。

出産適齢期に必ずしもとらわれる必要もありません。ずっと独身で生きてきて、独りで死ぬ覚悟も決めていたのに、ある日突然子持ちの人と恋に落ちて気がつけば人の親になっている、なんてこともあります。もちろんまだまだ法的な整備が必要な問題です。

それに、この方法は少子化対策にはなりません。すでにいる子どもが、生みの親とは違う人と親子関係を結ぶという話なので「新しく子が生まれる」わけではないからです。だから「少子化対策」を謳う政府がこうしたライフスタイルの奨励に及び腰なのかも。

でも、これだけは言えるのではないでしょうか。

人はいつでも親になれる、と。

このコラムは投げ銭制です。応援してくださった方は、この続きの「私が母に連れられて、前の父と住んでいたマンションを出ると」というオマケを読むことができます。よろしくお願いします。

この続きをみるには

この続き:368文字

人はいつでも親になれるのかも

オラシオ

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

フリーランスのため、みなさまのサポートは取材や執筆活動の貴重な経費とさせていただいております。また、サポートいただくとものすごく励みになります。最高のエネルギーです。よろしくお願いします。

ありがとうございます!SNSでシェアしていただけるとさらに嬉しいです!
22

オラシオ

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。