ラティーナ7月号「新しい世界の作曲家:北欧・中欧編」intro. & outtakes

ラティーナ2016年5月号でNRTの成田佳洋さんが企画協力された特集「新しい世界の作曲家」が大好評でした。それで続編としてわたくしオラシオが音頭取りとなり、続編の北欧・中欧編を特集することになりました。明日6/20に発売です!

コンテンツはこんな感じ↓です。
http://latina.co.jp/index.php?main_page=product_info&cPath=2_146&products_id=21997

基本的に前回の「新しい世界の作曲家」を踏襲していますが、若干変更も加えつつ、今回も大変豪華な執筆陣(吉本秀純さん、圷滋夫さん、川辺敬祐さん、高橋健太郎さん、山本勇樹さん and オラシオ)となっております。

正直言って、このエリアをぽこっと切り取って何かわかりやすい文脈でご紹介するのというのは、前提となる情報も日本に入ってきていないですし、なにより、とても複雑なバックグラウンドもあり困難です。

ただ、それを理由に情報の紹介が遅れていて、周りのエリアとの情報量の差が出来たままおぼろげに語られているままなのもまた事実でして。というわけで、ラティーナ読者向けでないものも含め、出来るだけいろいろご紹介しています。

また、そのように情報が少ないエリアなので、コンポーザーたちへのアンケートをたとえ10人でもまとめられたことは非常に貴重な機会だったと思います。

各コンテンツとも、大変充実しておりますので、ぜひぜひみなさん書店などでお買い求めの上、じっくりお読みください。座右の一冊です!
*ちなみにP60~62まで野崎洋子さんによるポーランド・ワルシャワの「ワールド・オブ・マズルカ・フェスティヴァル」のリポートも掲載されています!

そんなわけでいろーんなコンポーザー、アルバムをご紹介している本特集ですが、スペースの関係で泣く泣く載せるのをやめた人・ものもございます。ここでは、その中からいくつかをご紹介したいと思います。

Szirtes Edina Mókus スィルテシュ・エディナ・モークシュ
ハンガリーの作曲家、ヴァイオリニスト、ヴォーカリスト。基本ラディカル・トラッドとクラシックの中間みたいな音楽性なのですが、彼女の面白いところはトランスやユーロ・ポップ系のアルバムにレコーディング・メンバーとしてかなり参加していて、その影響が出ているところでしょうか。
http://szirtesedinamokus.com/

Anu Junnonen アヌ・ユンノネン
フィンランド出身のシンガーソングライター。現在はベルギーのブリュッセルで活躍中。ヨーロッパらしく、バンドは多国籍。アルバムによってけっこう音楽性が違います。ちょこっとベッカ・スティーヴンズあたりにも通じるサウンドです。Anoo名義のアルバムも良いです。
http://www.anujunnonen.com/

Lost Education
ポーランドのインプロ・デュオSza/Za(ヴァイオリン&クラリネット)に女性ヴォーカリストが参加したトリオ。1stはウィリアム・バロウズの「My Education:A Book of Dreams」を下敷きにしたコンセプトアルバム。現代音楽、エクスぺメンタルジャズ、エレクトロニカ、ポエトリーリーディングなどを横断するサウンドです。
https://losteducation.bandcamp.com/releases

Vladimír Václavek ヴラジミール・ヴァーツラヴェク
チェコのベテラン・シンガーソングライター。イヴァ・ビトヴァーとのコラボなどなど、数々の名盤に顔出ししている超有名人なのですが、私の特にお気に入りなのは猫ジャケの「Písně nepísně」というアルバム。ミニマルなギターとちょっとアヴァンギャルドな擦弦楽器、おじさんの独り言みたいなヴォーカルなどなど、中毒性のある音楽。
http://www.vladimirvaclavek.com/

Hildur Guðnadóttir ヘルドュル・グヴズナドーッテル
アイスランドの女性チェリスト、ヴォーカリスト。女性デュオ「ムーム」の片割れとしてポップ・ミュージックを手がけた一方、ヨハン・ヨハンソン、スクーリー・スヴェリッソンらポスト・クラシカルやジャズ・シーンとも積極的にコラボするマルチな天才。ビョークやシガー・ロスなど、ポップと前衛が自然に行き来するシーンを持つアイスランドらしい作曲家です。あのハウシュカとのデュオ作もあり。
http://www.hildurness.com/

Tanaka/Lindvall/Wallumrød - 3 Pianos
ノルウェイで活躍中の、それぞれバックグラウンドが違うピアニスト3人が集まったユニット。Tanakaは日本人女性ピアニストの田中鮎美。ほぼインスタレーションに近い感覚の、家庭内ノイズっぽい音が続くアルバムですが、妙に落ち着きます。家具としての音楽。クリスティアン・ヴァルムルーはディスコガイドで作品紹介&アンケート回答あります。
https://nakamalabel.bandcamp.com/album/3-pianos

Erlend Apneseth Trio エアレント・アプネセット・トリオ
ノルウェイの若手トリオ。リーダーのアプネセットが弾く伝統擦弦楽器春男ゲル・フィドルに、ドラム、ギター&エレクトロニクス。この特集の前説で書いた「クラシック+伝統音楽のバックグラウンドに、ジャズと電子音楽の手法をミックスする」の典型的な人たちです。先月来日してたみたいですね。
http://erlendapneseth.com/

Olo Walicki オロ・ヴァリツキ
ポーランドのベーシスト。現人神ズビグニェフ・ナミスウォフスキのバンドメンバーとして名を上げ、ポスト・ロック、映画音楽、チェンバージャズなどなどいろんなジャンルのアルバムをリリースする、この国のミクスチャー具合いを象徴するアーティストのひとり。一ベーシストとしても国内最強クラス。
https://www.olowalicki.com/

Raphael Rogiński ラファエル・ロギンスキ
この人は作曲家と言っていいのかどうかわからないのですが、近年の「楽器を超えた音色を生む」という潮流の中に位置するポーランドのギタリストです。このアルバムは紹介したかったんですけど、悩んだ末やめました。歌っているのはソウルフルな人気女性シンガーNatalia Przybysz。

Timo Alakotila ティモ・アラコティラ
フィンランドのベテラン・ピアニスト。スウィンギーなトラッド・アンサンブルJPPを率いるほか、国内のジャズ、トラッド、クラシック・シーンを股にかける才人。多彩な仕事のどれかにフォーカスして彼の全貌を語るのは難しいのですが、ソロ・ピアノか女性アコーディオン奏者Johanna Juholaとのデュオとかはオススメですかね。
http://www.timoalakotila.com/


あと、基本的に今回設定したエリアの枠外なのですが、執筆してくださったみなさんの中にはとりあげている方もいるスイスのミュージシャンだったら、

Lucia Cadotsch ルツィア・カドッチュ
ジャズ・ヴォーカリスト。昨年リリースして話題を呼んだ『スピーク・ロウ』(国内盤Muzakから)にさらに話題のドラマーJulian Sartoriusなどの演奏を加えDJによるリミックスを施したこちら↓なんかは紹介したかったかな。


まあ、とりあえずこんなところにしといたろ! いかがでしょうか? 北欧や中欧の音楽のミクスチャーな肌ざわりに、私は「集合知」的な何かを感じ取るんですけどどうですかね。独特のカラフルさがありますよね。

スペースと時間がもっとあれば、上で紹介したノルウェイの田中鮎美みたいに現地で活躍している日本人コンポーザーも紹介したかったな。デンマークのNaoko Sakataとか、ポーランドの横山起朗とか。とにかくもっといろいろ紹介したかったのですが、まあ今回の特集はファースト・ステップみたいな感じでしょうか。

さてオマケで、これまで何度か紹介していたために本特集では泣く泣く割愛した「とにかくこの3つは聴いとけや」的なマスターピース3枚(とりあえず中欧のみ)をご紹介しておきます。

Babooshki / Vesna(ポーランド&ウクライナ)

Lenka Dusilová & Clarinet Factory / Eternal Seekers(チェコ)

Herczku Ágnes/Szalóki Ági/Bognár Szilvia - Szájrol Szájra(ハンガリー)

中欧ものについては、私の監修本『中央ヨーロッパ現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド』(DU BOOKS)にも300枚以上紹介されていますので、そちらも併せてごらんください。

最後に、執筆、情報提供、編集などで本特集の実現に向けてご協力くださったみなさまに、この場を借りてお礼を申し上げます。

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オラシオ

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