ハンガリーの鬼才ヴァイオリニストLajkó Félix ライコー・フェリックスが来日します!

旧ユーゴスラヴィアのセルビア出身、日本では「禁断のヴァイオリニスト」というキャッチコピーでも知られる、現代ハンガリーを代表する鬼才音楽家でヴァイオリニスト兼ツィター奏者のLajkó Félix ライコー・フェリックス(フェーリクス)が11月に来日します!

ホームページ → http://lajkofelix.hu/

しかも何と、世界屈指の舞踏家、田中泯さんとの共演という、なんともすさまじいプロジェクトです。招聘はTHE MUSIC PLANTさん。専門ページ↓ができています。

代表の野崎さんのライコーに対する熱い思いが迸ったブログページもあるので、そちら↓も併せてお読みください。田中泯さんに関しては、こちらのブログやツイッター( @mplantyoko)でも野崎さんが発信していらっしゃいますので、ここでは私はライコーにしぼってご紹介しますね。

実はこのライコー、2015年にも一度来日するかもという話があったんです。でも結局その時は同じハンガリーの歌姫サローキ・アーギを呼ぶことになりました。なぜ彼女のほうに決まったかと言うと、私の監修本『中央ヨーロッパ現在進行形ミュージックシーン・ディスクガイド』(DU BOOKS)で大きくフィーチュアしていたからです。

しかし、私も彼の大ファンでしたし、同書でも彼の『Mező - Field』のレヴュー(ヴァイオリニストの及川景子さんご執筆)を掲載していることもあって、その来日が早く実現すればと願い続けていました。なので、今回の来日がとても嬉しいです。それに、彼は1974年生まれなので私と同い年なんですよ。一国の文化を代表する天才なんですが、なんか勝手に親近感持っちゃう。

では早速彼やその周辺の音楽を試聴音源とともにご紹介していきましょう。

スラヴやバルカンの民俗音楽やジプシー音楽にクラシックやジャズの要素がミックスされつつも、「禁断の」という形容詞がぴったりくるような爆発力と狂気すれすれの危険な匂いがほとばしっている彼独自の音楽性は、彼の祖国旧ユーゴの歴史や文化背景、さらに外国への移住者であるということによる複雑なバックグラウンドをストレートに投げつけられたような衝撃を聴き手に与えてくれます。

あえてジャンル分けすると、Kolinda コリンダなどと同じ「ラディカル・トラッド」と言われることも多いのですが、彼の音楽やヴァイオリンの響き、フレージングからは独特の何かが立ち昇っていて、月並みですがほんとうに「ライコーそのもの」としか言いようがないのです。

ライコーのレコーディング・デビューは、彼より二回りほど年長の木管楽器奏者ミハーイ・ドレシュ Mihály Dreschのカルテットの1993年作『Zeng A Lélek』です。なんとこの時まだ成人前。ちなみにこのドレシュもハンガリー・ジャズ・シーンを代表するカリスマ。いつの時代も、どこの国でも、先輩世代が才能ある後輩を育ててシーンがつながる。民主化直後のハンガリーもそうだったんですね。

ちなみにドレシュは現在こんな感じの作品↓を作っています。なんとあのクリス・ポッターとの共演作。発売元のレーベルBMC Recordsは現代ハンガリー文化になくてはならない存在へと成長しました。

ただ、いかにライコーが天才とは言え、上のドレシュ作品を聴く限りではまだまだその個性は花開いていませんでした。そんな彼が偉大なるトップランナーへの道を歩みはじめたのがLajkó Félix És Zenekara(ライコー・フェーリクス&オーケストラみたいな意味)名義の1st。

超絶のテクニックを駆使してけれん味たっぷりに奏でられる民俗音楽的フレーズと、時折ドカンと炸裂する打楽器のリズム。ロックファンにもアピールするダイナミズムとスピード感は彼の真骨頂です。このアンサンブル名義での次の作品『Koncert'98』はライヴ盤で、さらにすさまじい。日本国内盤も発売され、この時に「禁断のヴァイオリニスト」というコピーが生まれたのでした。

そしてメタリックにかき鳴らされる彼のもう一つの武器ツィターもカッコ良くきまってます。その腕前は、先にご紹介したアルバム『Mező - Field』でたっぷりと味わえます。ライコーがツィターに専念した作品なんです。決して余技などではない、彼のトータルミュージシャンとしての凄みを思い知らされます。ヴァイオリンを弾かないライコーなんて・・・と思いがちな彼のファンにこそ聴いて欲しいです。

ちなみにこの作品、椅子に乗ったライコーの写真を使ったジャケがカッコ良くて、先に挙げた私の監修本の帯に載せたジャケ3枚のうちの1枚になっています。

さて、近年のライコーはソロ、デュオ、トリオ、オーケストラとの共演などなど、その強烈な個性はそのままに、ますます奔放に自由に活動の幅を広げています。

オーケストラとの共演による壮大なエスノ・シンフォニー↓

絵本原作者・小説家のBartos Erika バルトシュ・エリカによる歌詞、ライコー作曲のヴァイオリン&ツィターなどの多重録音トラックに女性歌手Tintér Gabriella ティンテール・ガブリエッラが歌を乗せたアルバム。

ヴァイオリニストとしてはこれが一番ヤバいかもしんない、ヴィオラ奏者Brasnyó Antal ブラシュニョー・アンタルとのデュオ・ライヴ。弓から煙が出るのではないかというほどの超高速パッセージでたたみかけ倒すライコーのスタイルの極限。

あと、面白いところでは、ライコーは馬と共演したり、映画に出演したりとほんといろいろやっています。また同じセルビア出身の先輩ボバン・マルコヴィッチのオルケスタル Boban Marković Orkestar のアルバム↓にもゲスト参加していたり。映画のサウンドトラックもいくつか作っています。

馬との共演↓。なんなんだ、この企画は?

キーボードとドラムと一緒に、人力エレクトロニカみたいな演奏も。やっぱり彼のツィターはノリが良いです。こっち系のアルバムも本気出して作ればすごいのが出来そうな感じもするのですが。

では最後に、ピアニストのBalázs János バラージュ・ヤーノシュとのデュオを。ライコーは、弾いてる時の表情もいっちゃっててヤバいです。

というわけで、この超絶ヴァイオリニスト、ライコーがとうとう来日するのです。目の前で見て聴いてみたくありませんか? ご予約・お問い合わせ先については、最初にリンクを張ったTHE MUSIC PLANTのウェブをご覧いただくとして、改めて情報をさくっと書いておきます。

11月8日(木)豊洲シビックセンターホール
開場18:30 / 開演19:00
全席指定:前売り4500円 / 当日5000円

どうかどうか、この機会をお見逃しなく!

*投げ銭にはしていませんが、この記事を書くには資料費やリサーチの積み重ねなどなど、時間とお金がかかっています。もしよろしければ、そうした経費の一部に充てさせていただきますので、情報が役立った、面白かったという方はサポートしていただけると大変助かります! 

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オラシオ

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