フリーランス・ライターへの一番の「報酬」ってなんだろう *またポーランドに行ってきます*

みなさんは、自分が仕事をしたことに対して、何を返してもらったら一番嬉しいか、考えてみたことがありますか?

給料ですか? 上司や取引先からのほめ言葉ですか?

図書館員との兼業状態をやめ、フリーランスの音楽ライターとして独立して、早いもので今日でまる2年になります。明日からは3年目がはじまります。

組織にしばられること、そして、正直良くないことが起こる可能性が高くなっている図書館業界そのもの、地方の封建的で男女差別的な中小企業の体質なんかにうんざりしていたので、契約が切れたことをきっかけに、思い切ってフリーになったわけです。

2年間やってみてフリーランスでやりたいようにやる(=失敗の責任は全部自分にかかってくる)っていう働き方はシンプルで、自分に合っていると思いましたが、ひとつだけ誤算がありました。

これは、地方都市(青森)に住みながらライターをやっている人間特有の悩みかもなので、東京に住んでいる人には当てはまらないかも。話半分に読んでください。でも、人と一緒に働く仕事との兼業から独立しようと考えている方の参考になれば幸いです。

フリーランスのライターって、基本的にテキストさえちゃんと納品できればやっていける仕事なので、人に会わなくてもいいんです。ライターと言っても、書くネタはいろいろなんで、取材をいっぱいするジャンルの人もいるでしょうが、基本的に私みたいな「音楽ライター」は音を聴いてテキストが書ければ、それでいい。レヴューとかライナーだとそうです。

だから、どんどん人に会わなくなって行きます。

メールでオファーをもらって、音を聴いてテキストを書いて納品し、OKをもらってウェブなり出版物なりに自分の仕事が載る。

ひたすらこの繰り返しになります。この一連の作業には外出する必要もまったくないので、家にこもりがちになります。

さて、最初に書いた質問をもう一度、自分自身に問いかけてみます。フリーランスのプロの書き手に対する一番嬉しい「報酬」ってなんでしょうか。

仕事のオファーがどんどん来ることでしょうか? ツイッターのフォロワーが増えることでしょうか? ギャラの単価が上がることでしょうか? 2年間この仕事をやってみて、ようやくわかりました。

もちろん、上に書いたもの、どれも嬉しいです。それらの数字が上がれば、小躍りして喜んでいます。相方に「やったぜ!」と報告もします。そして、この2年間で、独立した当初予定していたより、自分の仕事は成果を出せているとも思っています。○chでもちょこちょこ叩かれてるし、周りから見たらけっこうイケイケドンドンなんでしょうか?(笑) ありがたいことです。

でも、ひとつだけ、兼業時代からガクッと減ったものがあるのです。それは、

直接対面で仕事についてほめてもらう

という機会です。部屋にこもって、ひたすらノートパソコンにテキストを入力するだけの生活では、そういう声を聴く機会はほとんどないんです。

あと、兼業・専業にかかわらず、これから書き仕事をやりたい人にあらかじめ次のことをお知らせしておきます。

編集者とのやり取りって、マンガや小説のクリエイターと繰り広げられる侃々諤々なもののイメージが強いですが、実際はそんなことないです。良かった、悪かった、もっとこうした方がいいなどの「感想」をもらうことはほとんどなく、ただOKが出るだけのことが多いです。書いたものに関して、いい悪いなどの意見をガンガン言われると思っている人は、その点は拍子抜けしますので、ここに書いておきますね。

もちろん、全然ダメな時はびしびし言われますよ(笑)。

そして、何も言われないのは決して「何とも思われていない」「期待されてない」からではないので、そこでグルグルと悩まないようにしましょう。「そういうもの」なので、悩んでも無駄です。

あと、ダメ出しされた時も見放されたわけではないので、落ち込む前に言われたことにどう応えるかに全力を出しましょう。どうリカバーするかは、その後のオファーがもらえるかどうかを左右する、ものすごく重要なポイントになると私は考えています。自分のダメさに悶えるのは、原稿にOK出されてから!

さて一方、8年半近く続けた図書館の仕事では、特に現場主任時代の3年間を経てよくわかったのですが、いい仕事をすると、同僚たちから直にほめてもらえるわけです。そりゃそうですよね、現場主任の場合は、シフトとか配置とか自治体との橋渡しとか、彼女らの日常に直接関係のある業務をやっていたわけですから。

あと、図書館員の仕事は利用者と面と向かって会話することがとても多いので、いい仕事をすると「ありがとう」とか「さすがですね」と感謝される機会も少なくありません。

フリーランスになってそういう声をなかなか聴けなくなり、そうやって直接ほめてもらうことが自分にとって何よりの報酬・エネルギーになっていたんだなと気づきました。特に、何人かの、人格的にも仕事的にも心から信頼している同僚からの評価は続ける力になりました。いろいろ失敗したり、うまくいかないことがあっても、そういう声を支えに、私は図書館員をやれていたのですね。

一方で、地方でライターをやっていると、どうしても人とのつながりがSNSなどネット上に限られてきます。コンサートやインタヴューの仕事など、東京に呼ばれるオファーの時くらいしかありません。地方では開催される数も違いますし、ほとんどそういう仕事はありません。つまり、人に会う機会も少ない。

また、自分の仕事への評価は、エゴサーチで積極的に集めでもしない限り、目に触れることはありません。しかも、同時にネガティヴな意見だって可視化されてしまいます。

いい仕事をすれば何がしかのレスポンスがあるというのは、実際に人と一緒の空間で働いている時だけ

なんだなあと気づいてしまいました。そして、自分が何よりもそうやって直接ほめられるのが好きなんだということも再発見しました。逆に言うと、そうした声を聴く機会が少なければ、メールで編集さんにほめられようが、SNSで自分の仕事が話題になってようが、なかなか満たされないということなんですね。

どんなにネット社会が発展しても、結局直接対面で言葉を交わすアナログな感覚はなかなか消えないということかもしれません。人にほとんど会わなくなった今、とりあえず自分はそういう時間を、自覚していた以上に欲しているということはよくわかりました。

仕事をする上で「何が返ってくるのが一番嬉しいのか。続ける力になるのか」って、ちゃんと考えていた方がいいと思います。何より、仕事は「食べる」ためにもやっているものですから、「続けていけること」がものすごく大事なのです。ギャラがすべてだ、という人はそれでもいいと思います。

でもとりあえず、私の場合はギャラやオファーの数が上がるだけじゃ何かが足りない!と気づいてしまったんです。自分にとっての最高の報酬が何かわかっていると、それをきちんと得るために自分は何をすればいいのか、何を本当にやりたいのか、しっかり見つめることにつながると思います。

じゃあ、そうした「報酬」をもらうためには、どうしたらいいんだろうか?と考えてみました。やっぱりそれには「人と直接話す機会を増やす」しかないんですよね。

東京で働いている同業者が、前会った時「面白い人と会って話す刺激がやめられないので、東京から引っ越せない」と言ってました。その気持ちは、今ならよくわかります。

基本的にフリーランスって自分からガツガツ行かないと仕事が増えていかないのですが、この2年間、思ったより向こうからご指名でオファーをいただく仕事が多かったので、つい「自分からアクションを起こして人に会いに行く、企画を立てる、イベントをやる」っていう基本スタンスがおろそかになってしまったんですよ。で、気づいたらすごく孤独感に悩まされるようになったと。

というわけで、明日からのオラシオはもっともっと人と会うべく、いろいろ自分からアグレッシヴに企画など立てていく所存でございます。

その第一弾として、来月後半に2週間ほどポーランド取材に行って参ります。主な目的なヴロツワフで行われるジャズ・フェスJazz nad Odrąの取材なのですが、それ以外にもたくさんの音楽関係者に会ってきます。

どうもポーランドのジャズ界隈で私は「ポーランドのジャズをむちゃくちゃ知っているヘンな日本人」として有名みたいで、みんなと会ったらちやほやしていろいろほめてくれるでしょう(笑) そして、そういう声をエネルギーにして、もっともっといい仕事をするべく頑張れると思っています。

また、今回のポーランド再訪でいろんなものを食べたり街の写真を撮ったり、ポーランドの今の情報をたっぷり吸収してくるつもりです。それらは、トークイベントなどで活かすつもりです。音楽雑誌や新聞なんかに何か書ければ、といろいろ声をかけてもいます。もちろんこのnoteでも書きます。

ご指名オファーが相次いだことで「受けの姿勢」に終始してしまった今年度後半でしたが、明日からは頑張ってもっとガツガツ行ってみます。みなさまに直接お目にかかる機会も、きっと増えると思います。

では、来年度からもよろしくお願い申し上げます。

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フリーランス・ライターへの一番の「報酬」ってなんだろう *またポーランドに行ってきます*

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