ミカド劇場 すべてとの邂逅篇

ストリップショーをみてきた。

結論からいうと、とにかく熱量と熱量のぶつかり合う、凄まじい現場を目の当たりにした。
以下にその全てを記します。

並び〜着席まで

2023年6月某日、午前10時30分、池袋
池袋ミカド劇場が開場する時刻である。
平日の朝っぱらにも関わらず、十数人の中年のおっちゃんがすでに列をなしている。とりあえず並んどけば間違えることはないだろうと、最後尾のおっちゃんの後ろに並ぶ。
10時35分頃、定刻を少し遅れて開場が始まる。入り口はビニールの暖簾がかかっており、どことなくアンダーグラウンドを感じさせる。
ちなみに列に並んでいる間、壁の掲示で当日出演する踊り子さんをチェックすることができる。だいたい3時間の公演を6人の踊り子さんでまわし、それが1日4公演。踊り子さん1人の持ち時間はだいたい30分ほどだ。一回入場してしまえばその日は入退出自由で、むちゃお得である。ただ、後述するがショーを見るのにはかなり体力を使うので、一日中みるにしても休憩を挟むのが吉だ。
さて、ビニールの暖簾をくぐると、これまた初老のおっちゃんが立っており、おもむろに検温とアルコールプッシュをされる。そのあと、お金出してくださいと要求されるので、入り口横の小部屋(?)にいる兄ちゃんに既定の金額を渡す。今回は13時以前に入ったので早割引がきき、4,000円。なけなしの金を渡すと、兄ちゃんがポイントカードと入場券をくれる。常連は金とポイントカードを一緒に渡してポイントを貯めているっぽい。確認したところ、10回いくと1回観覧無料とのことだった。
ポイントカードと入場券をもらうと、最初に対応してくれたおっちゃんが「目当ての子いますか?」と聞いてくる。「初めて来たのでいません」と返答し、ことなきを得る。
劇場に入る直前に、また若めの兄ちゃんがおり、入場券をもぎってくれる。いまだに「もぎる」という遺物のような行為が当然のようにおこなわれており、少し感動する。
中に入るとすでに席が6割ほど埋まっており、左方2列目の席が空いてたので、踊り子さんとの距離が近い方がいいに決まってる、と意気込み着席する。ここで注意だが、池袋ミカド劇場のステージは少し特殊な形をしている。通常のステージの真ん中ら辺だけ客席に飛び出ているのだ(専門用語でデベソというらしい)。一番前の席もいいっちゃいいが、この飛び出している部分を囲んでいる席が最も当たりといえる。詳しくは後述するが、ストリップショーの肝であるFEVERタイムをバチくそ堪能できるからである。

真ん中の突き出ている部分がデベソ
FEVERタイムはデベソで開催される

着席〜開演まで

この時点で10時50分。開演が11時30分なのでしばし時間がある。
普段であればてきとうにスマホを触りながら時間を潰すのだが、ことストリップ劇場においては携帯いじるの禁止である。もしおれがうっかりスマホなんていじろうものなら、周囲のおっちゃん達から袋叩きにされて、あげくの果てには出禁にされて人生終了だろう。
幸い、32型のテレビがステージの中央にぽつねんと置かれており、暇つぶしには困らなさそうなかんじだ。ではこの孤独な32型TVで何が上映されてるのかというと、まあちょっとエッチなイメージビデオである。乳首や局部は見えないけれども、下着姿にはなる、というレベル感だ。
そんな感じのビデオを40分ぶっ続けでみていられるほど純粋な少年でもないので、10分鑑賞したあとは30分くらい心頭滅却精神統一瞑瞑想想しながら待つ。前の席のおっちゃんは抹茶っぽいパンを食いながら待ってたので、携帯いじる以外だったらわりと何してもいいのかもしれない。
すると11時25分、開演5分前ながらいよいよ全てが始まる雰囲気に。会場のおっちゃん達が静かにふつふつと湧き立つのを感じる。
いよいよ開幕。照明が落ち、踊り子さんのシルエットがふっと舞台上に映る。
第二幕に続く

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