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カンボジアの工房から解き明かす、サポーターというスキルの正体

浦和レッズサポーターのほりけんです。3回にわたってお届けするカンボジア旅行記。今回は第2弾、シェムリアップ編です。郊外にあるカンボジア発ライフスタイルブランドSALASUSUの工房と、上級者ならではのアンコール遺跡の楽しみ方を紹介します。「アディショナルタイム」では、最近考えている「サポーターというスキル」について書きました。

〈これまでのあらすじ〉
2018年9月、カンボジアへ旅に出た。5年ぶり4回目。旅のきっかけは、同年3月のSALASUSUの立ち上げ。まず訪れた首都プノンペンでは、カンボジアの今を目撃し、内戦の歴史を学び直した。

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陸路、シェムリアップへ向かう

プノンペンとシェムリアップの間は1日に何本もフライトがあり、空路なら1時間足らずで着いてしまう。ただ、フライトを予約するとスケジュールが縛られてしまうし、空港に行ったり荷物をチェックインしたりすると、旅が途切れたような気分になる。

そこで今回は陸路を選択した。本当は水路(ボート)でトンレサップ川〜トンレサップ湖を行きたかったのだが、季節のせいか営業していなかったので、必然的にバスになる。

10年前にもプノンペンとシェムリアップをバスで往復したが、昔はローカルなバス会社ばかりで、地元民とバックパッカーの移動手段という印象だった。しかし今は外資系のバス会社が参入しており、車体もサービスも格段に向上。すこぶる快適。ここでも発展を実感した。

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今回お世話になったのはGiant Ibis

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サービスエリア的な。ただ、バス会社ごとに違う模様。

また前日に知人から聞いていた通り、インフラの改善がとても印象的。プノンペンとシェムリアップは国道6号線で結ばれているが、これが非常に整備されていた。以前は道路のそこかしこに穴が空いており、バスもそれを避けるために頻繁に徐行していたが、今は安定してスピードが出せる。おかげで所要時間も短縮した。車窓からの景色も楽しいので、余白のある旅が好きな方には、バスをおすすめしたい。

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昔は中央分離帯とかなかった気がする。

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とても気分が良い。

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実は重要なのが路肩の整備。これで遅い車も抜いていける。

スペースとバイクを手に入れる

シェムリアップに着いたらまずはホテルにチェックイン。街も空港も6号線沿いにあるのだが、その間には高級リゾートホテルが軒を並べている。

スタツアのときはバスから眺めるだけだったが、今回は泊まってやろうと考え、5つ星ホテルのひとつに部屋を取った。1泊50ドルと価格は割安。さらに当日、部屋が余っているということでアップグレードされた。

ワンボランチ(一人旅)では埋めきれない、広大なスペースを手に入れた。

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荷物を置いて、散策に繰り出す。街中まで少し距離があるので、トゥクトゥクを呼ぶところなのだが、今回はホテルでマウンテンバイクを借りることにした。

シェムリアップは4回目、普通にしていたらさほど面白味はない。しかし、ホテルの備品のリストの中にマウンテンバイクを発見。遺跡をチャリで走り回るというゲームプランを思いついた。当初のプランにはなかったものの、なかなか良さそうだ。年甲斐もなく、心が踊る。冒険のにおいがする。

チケットオフィスでは小一時間待たされた。ようやく窓口に辿り着くと、値上がりしたようで思っていたよりも高かった。しかし、ここまで来て買わないという選択肢は存在しない。60ドルちょっとを支払い、3日券を入手。

この日は時間もあまりなかったので、とりあえずアンコール・ワットの前まで走った。たったこれだけでもめちゃくちゃ楽しい!!すぐに「空き時間にはチャリを漕ぐ」というプレー原則を定めた。

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パブストリートの路地裏に分け入る

夜はシェムリアップ随一の繁華街パブストリートに来たが、ネオンが凄いことになっていてビビる。

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ただ、目当てはここではない。喧騒を避けつつ、看板に誘われながら、路地に分け入る。

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辿り着いたのは、SALASUSUのフラッグシップショップ。店構えはとても洒落ている。ここは本当にカンボジア?!と思うくらい。

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SALASUSU:2018年3月、かものはしプロジェクトから独立する形で立ち上げられたNGO。団体と同じ名前(SALASUSU)のライフスタイルブランドを展開しており、ブランドコンセプトはLife Journey(人生の旅)。今回旅に出たきっかけ。
https://salasusu.com/

かものはしプロジェクト:「子どもが売られない世界をつくる」というミッションを掲げ、児童買春の問題に取り組むNPO。ほりけんも、過去にスタディツアーに参加したり、インターンをしたりと縁がある(詳しくは第1弾参照)。
https://www.kamonohashi-project.net/

正直なところ、SALASUSUの商品は、僕が身に着けるには綺麗すぎる。しかし、サンダルくらいなら良いかなと思い、購入した。素材はい草、柄は浦和レッズのトリコロール(赤・白・黒)に似たものをチョイス。

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ただ、こちらのサンダル、SALASUSUの前身のSUSUというラインのもので、今は生産を終了をしているよう。現在のSALASUSUのサンダルはさらにお洒落。

買い物を終えたあとは、近くに落ち着いた店を見つけ、翌日に備えてゆっくりした。

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SALASUSUの工房を訪う

いよいよ今回の旅のメインである、SALASUSUの工房へ。

シェムリアップ市内から工房までは、トゥクトゥクで小一時間。朝ドライバーにホテルまで迎えに来てもらい、道の両脇に広がる水田を眺めながら揺られていく。

しばらくすると、看板が目に入る。

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脇道に入るとすぐに、工房へと辿り着いた。

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懐かしさと驚きとが入り交じる。オープンしたての2008年から、2013年、そして今回と、偶然ながら5年ごとに訪れているが、着実に進化を遂げている。

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2008年の工房の入口

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2013年の工房の入口。軒先が広がっている。

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2013年の工房の内部。ミシンの台数が格段に増えた。

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2018年の工房の内部。ラインが複雑になっている。

ただ、今回感じた進化は、質感が異なる。5年前は、ミシンの数とか、ラインの作り方とか、商品を保管する倉庫とか、まさに工房としての物理的な発展が印象に残った。

それに対して今回は、託児所であるとか、給食であるとか、食堂兼研修所であるとか、ものづくり以外の部分の拡充が目についた。SALASUSUの工房が、単にものをつくるだけではない、工房以上の場になっていることを肌で感じた。

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食堂 兼 研修所。平行四辺形の机が色々組み合わせられて面白い。

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工房にはショップを併設。
作り手たちは、作ったものが売れる瞬間を目の当たりにできる。

話には聞いていたけれど、やはり百聞は一見に如かず。実際に現地を訪れ、ああ、かものはしプロジェクトから独立したんだな、名実ともにSALASUSUになったんだな、と実感した。

この日は、文句なしに旅のハイライトだった。

本当に、来て良かった。

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勝手に宣伝するが、シェムリアップに行くならSALASUSUの工房見学ツアーはぜひおすすめしたい。「じっくり」「ぷらっと」「つくって」と3つのプランがあり、料金や所要時間などが違う(今回僕は「じっくり」に参加)。工房の近くには、第3弾の記事で紹介するベンメリアもあるので、組み合わせて行くのも良いと思う。

未踏の遺跡を走破する

昼過ぎに市内に戻ると、遺跡をめぐる冒険を再開。アンコール遺跡を巡るルートには小回りと大回りがあり、見ることのできる遺跡が違う。メジャーなのは、アンコール・ワット、アンコール・トム、タ・プロームが含まれる小回り。しかし、僕はもうその辺りは大体行ったことがあるので、未踏の大回りに乗り出した

このルートには人が少ない。あたりを見渡しても人影がなく、世界を独り占めをしているように感じる瞬間もしばしば。思わず、「うぇーい!」とか、「うひょー!」とか、普段は発しないような声が漏れる。途中、遺跡のひとつでスコールに降られたが、それすらも贅沢な時間。隠れていた冒険心のおもむくままに、40kmを走破した

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スラ・スラン(沐浴池)

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ニャック・ポアン

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プリア・カン

プリア・カンで雨宿り。周りに人はいない。

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雨上がりのバイヨン(アンコール・トム)

友と語らう

夜は、SALASUSUの友人たちに夕食に付き合ってもらった。

近況報告やら、カンボジアあるあるやら、他愛もない話で盛り上がる。

とても楽しいひと時を過ごした。

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アディショナルタイム:サポーターというスキル

前回に続き、サッカーの「サ」の字も出てきていないが、今回は同じ「サ」でもサポーターの話をしたい。

僕は浦和レッズのサポーターだ。

同時に、SALASUSUやかものはしプロジェクトのサポーターでもある。

言葉のあやではない。

かものはしプロジェクトの創業者の村田早耶香さんが言う。

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