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一人旅に修善寺行ってきたけど、かなり最高でした

やってきましたよ、一人旅。
時間が取れたので、前々から気になっていた修善寺温泉街で二泊三日してきました。今回はその思い出を振り返りながら、一人旅がいかに最高かを語っていこうと思います。
元々は一人で全部過ごす予定だったんですけど、後半の一日は恋人が「行きたいです!」と申されたので、完全一人旅は一泊二日だけです。

「家に帰るまでが遠足」理論でいけば、今回の旅行は「一人旅」ではないのですが、計画から準備から出発から一人でして、一人で温泉街をぶらぶらしてひとりをめいっぱい楽しんだので「一人で旅をする」という実績は解除されているはずです。

まずは修善寺温泉街の基本情報をば。
これを機に、皆さんにも修善寺の素敵さを届けられたらなと思います。

修善寺温泉街とは
静岡県伊豆市の中央に位置する温泉街がメインな素敵な場所。
車、電車、バス等公共交通機関も充実しています。
弘法大師が修行した場所とも言われ、また源頼家が幽閉された地でもある。
頼家が登場する「修善寺物語」の舞台にもなっており、夏目漱石が療養の為に身を寄せた地でもある。
キャッチフレーズは「ノスタルジック・ロマン」

鎌倉時代から歴史と物語を背負っている修善寺です。
それでは行こうと思ったキッカケから申していきます。

修善寺に狙いを定めたワケ

伊豆が好きなんですよ、私。

私が伊豆に魅力を感じる理由は何と言っても「数々の文豪に愛されていた地だから」です。

川端康成の『伊豆の踊り子』をはじめとして、文学作品の舞台になっている伊豆。
さらに太宰治、夏目漱石、森鴎外など名だたる小説家が、心を癒しにきたり、執筆するために身を寄せた伊豆。
サイコーやん……?
自称)文豪の卵である私が、伊豆に憧れないわけがないんですよ。
数々の大先輩が赴いた伊豆半島。嫌いなわけがない。

数年前からちょくちょくとレンタカーを借りて下田やら熱海やら観光地を巡ったりしてきましたが、そこに物足りなさを感じていたのも事実です。
私のイメージにある文豪はizooとかで大はしゃぎしないし、水族館とかも行かない。なんなら運転しない。あと、移動は多分一人。もしくは付き人みたいな人に色々やらせてる。

文豪は、レジャーを楽しまないイメージがある。なぜか。
それはおそらく、文豪は(というかアーティスト全般は)レジャーよりも、自分自身と向き合って、自分の情熱を創作にぶつけているからである!

と、結論づけました。ということでスケジュールに空きが出来た私は自分と向き合うべく、「一人旅にふさわしい伊豆のどこか」を探し始めたのであります。

そして候補として挙がったのが、修善寺でした。
今までに行ったことがない、かつ、「物語」が詰っているところ……!
丁度NHKドラマ「鎌倉殿の13人」も見ていましたしね。数話だけですけど。
二泊三日でお宿を予約して出発準備を始めました。出発する四日前でした。私って案外行動力ありますね。

行き方

帰るまでが遠足ですが、家を出発してからも遠足の始まりです。
スーツケースを引きながらまず向かったのは三島駅。
新幹線に乗るわけではありません。JRでもありません。向かった先は……
伊豆箱根鉄道!!

伊豆箱根鉄道。背景は愛用のiPadさん

修善寺まで520円。
ここの区間は一切のICカードが使えないので要注意です。改札にもICタッチ部分がありませんでした。
なんか、秘境の入り口みたいで良いね。

ラブライブのラッピング車両で揺られること30分。この移動中も面白い景色でいっぱいでした。民家のギリギリを通ったり、間近に田んぼがあったり。間近に見える踏切と、無人駅の改札。あんまり見慣れた景色じゃないのでワクワクが止まりませんでした。

そして修善寺駅に到着したわけですが、まだまだ終わりじゃありません。
目的地、修善寺温泉街はまだまだ先にあるのです。
温泉街はかなりの観光地なので交通機関も充実しています。バスも出ています。
が、ここで私は徒歩という選択肢を取りました。
別にバス代をケチったわけではないですよ、ええ。

心の文豪に聞いてみたんです。「バス、乗りますか?」と。
「初めてきた土地を踏みしめないのかね、君」即答されました。心の文豪が。
初めて修善寺に来たんです。どうせだったら隅々まで知りたいと思うのが文豪、いや、私じゃないかと。
そして、これも一人旅のいいところ。キャリーケースをガラガラ引きながら徒歩移動する事を反対する人はいないのです。

修善寺駅から、目的地まで。竹林の小径周辺のお宿を取りました。

距離にして2.9キロ。まぁ、全然余裕で歩けますわ。と、心のお嬢様と共に約40分くらい歩きました。
いろんな考え事をしたり、見えた景色を楽しんだりと、なかなか有意義な時間を過ごせました。

歩いていないと出会えなかった修善寺。素敵ですわ。

狩野川を橋で渡って、山道を登り、坂道を下り、桂川が現れ、ちょっと狭い道のお店を見ていたら、もうそこは修禅寺温泉街。
あっという間でした。

こういう看板に励まされました。距離が書いてないところにワクワクが詰ってるんです

いよいよ始まる一日目 

そして、到着。この時点で夕方四時くらいでした。
お宿にチェックインして、荷物を置いて一息。
文豪らしく、和室で、机があるところ(どこの旅館も大体そうですけど)をチョイスしました。一人で泊まるにはちょっと広い、でも二人だとまあまあ狭いくらいの広さ。それくらいの部屋がまた良い味出てたんですよねぇ。

眼前の桂川の流れが聞こえてくるお部屋、めっちゃ風流です。
荷物を広げていたらお腹が爆裂に鳴り始めました。食べ物を得るべく、そして温泉街を知るべく練り歩くことにしました。
もらってきた地図によれば、いろんなお店があるみたい。
地図はこんな感じ。

実際にもらえる修善寺温泉街周辺マップ。とても見やすくて、わかりやすいです。

結構広い。
こりゃあ二日で回れるかしらと思いながらも、気になるところを見て回ります。

青線部分が歩いたところ。初日でほぼほぼコンプリートしてしまう私の興奮ぶりがわかると思います。

結局、ほとんど見て回りました。
足湯に入ったり、修善寺を参拝したり、スタンプラリーに参加したり、いろんな橋渡ったり。お地蔵さんにお水をかけたり。
でもお店は大体16時くらいに閉まってしまうのでほとんど入れませんでした。また明日来いってシャッターに言われました。

そして何よりも1番楽しみにしていた竹林の小径(こみち)!!!!!!
確実に文豪を、いや、私を呼び寄せているなと確信していたんですよ。

素晴らしすぎる橋
素晴らしすぎる竹林

ものすごくよかったです……。何か、もう、吸い込まれるように歩き回りました。二往復しました。
静かで、ただ川の流れだけが響く空間。虫と、鳥の声が聞こえてきて、ここでしか摂取できない栄養素を取り込みました(オタク的表現)。

夕ご飯は、日本で唯一、食べられるアマゴの漬け丼を食べてニッコリ。美味しすぎます。満腹になったところで、もう少し散策することに。

サーモンに見えるでしょ?アマゴです。これが食べられるのはあまご茶屋(amago.co.jp)さんだけ

十三士の墓を参拝し、源頼家のお墓、指月殿を周り、大満足で帰宅しました。

願いが通じれば軽く感じるという「お伺い石」。「文豪になりたいです!」って思いながら持ち上げたらずっしり重かったです。自力でなります。

お宿の温泉にゆっくり浸かって、公募に出す原稿を書いたり、読書をしたりと非常に有意義な時間を過ごしました。
日が暮れてから雨が降り始め、雨脚がだんだん強くなってきたけれどそれもまた良いBGMです。日付が変わる前に就寝。
電気を消した部屋の、窓に接している障子が外の明かりで照らされて竹林が浮かび上がる様は、もう忘れられないほど素敵なものでした。

もう最終日!? 二日目

小学生が起きるくらいの時間にぱっちり目が覚めた私。寝返りをうったら差し込んできた日の光で、完全に覚醒しました。

今日はどこに行こうかと考えながら、朝ご飯へ。
思えば、旅館に一人で泊まることはなかった。大体家族とか、恋人とか、友人とか、複数人で宿泊していました。一人の朝ごはんも悪くないなぁ。

干物を食べた途端、ジュワッと唾液が溢れました。つまり美味しいということ。

朝ご飯を食べたら、お腹が落ち着くまでちょっとだけ読書。
しばらく読みふけって、それから散歩でも行くかぁと着替えまして、いざ外へ。

午前中にお散歩ができる人生になるとは思いもしませんでした。天気は快晴。最高すぎませんか??
竹林の小径を抜けて赤蛙公園、それから源範頼のお墓を回りました。
赤蛙公園は、島木健作の短編『赤蛙』の着想を得た地でもあります。私も何かインスピレーション湧かないかなぁとぶらぶら歩きましたが、蜘蛛の巣に引っかかっただけでした。夜には蛍が見えるそうな。

それなりの山道を登り、汗だくになりながらベンチで涼んでいると、十二時のチャイム。調べてみると、「恋は水色」という曲らしい。あとでYouTubeで聞いてみたけれど、こんなんだっけ? という印象。もしかしてあの一瞬だけ私は異世界に飛ばされていた……?

と、いうのも。
チャイムが鳴り始めた瞬間に雨が降ってきたんです。空は晴天なのに。いわゆる狐の嫁入りってやつですね。で、鳴り終わった直後、雨脚が弱まったんです。幻想的すぎません? おそらく雨に気を取られてチャイムの音をしっかり聞いていなかったんでしょう。
そして、範頼のお墓に到着しました。
この時からだんだんと雨が強くなってきました。空は快晴なのに。
「何か意味がある雨なんですかね? 意味が無いなら止ませて貰いませんか?」と数百年前に亡くなった範頼さんに話しかけてみました。結果、大雨。
ごめんなさいと心の中で謝って、近くにあった茶庵に避難しました。

ここの茶庵、すごい気に入りました!

個室から見える廊下。この「帰ってきました」感よ

外は大雨。風もそれなりに強い。
暴れ狂う風鈴の音を聞きながら、抹茶を飲みました。冷たいやつです。

この最高のロケーション。完全に馴染んでました。

抹茶を飲んだ後の茶菓子の甘いこと甘いこと。その逆も然り。抹茶の繊細な苦味がわかった瞬間、「このために私の体が作られたのか!」と感動。味覚は衝撃と感動を運んできますね。

雨上がりの紫陽花ってなんでこんなに綺麗なんでしょうか……

その間も降ったり止んだりしていて、なんとも奇妙な天候でした。これも範頼に文句を言ったからでしょうか。
雨脚が弱まった隙を見て、転がるように山を下りました。

その後に、雑貨屋さんでピアスを買って、修善寺プリンを買って、わさびアイスを食べて、再びお宿に戻って、読書と原稿執筆に取りかかりました。

最高に可愛いピアスは燕舎さん(tsubame-sha.net)さんにて購入!
騙されたと思って食べてほしい! ご主人が目の前ですりおろしてくれたわさびがトッピングされた世界で1番美味しいアイス。クリームとわさびの配分を調整しながら食べていくと、わさびが先に消失し悲しい気持ちになります。わさびの香りがまた素晴らしくて、新しいアイスの可能性に出会えます。

めっさ降る雨の音と、川の流れをダブルで聞きながらの読書。
時計を気にせず自分と向き合いながら執筆する時間。
どちらも格別なものでした。晴耕雨読とはまさにこのこと。
あっという間に、恋人が宿に到着したので私の一人旅は終了です。

一人旅を終えて

最ッッ高でしたわ!!!!

計画を立ててから、出発し、到着し、また散策するまでずっとドキドキで、終始胸がブレイクダンスしていました。
何を食べても美味しいし、何をしても楽しかった!
ここには、「全部自分で決めた」からこそ得られた充足感や、「やりとげた」満足感があったのかなぁと思います。
知らない地を踏みしめて、少しずつ知っていくことにも喜びがありました。

一人旅は、一人で歩くからこそ、自分と向き合って、自分にしか見つけられなかった発見、喜びがゴロゴロ転がっていることに気がつける機会だと感じます。
友達と行く旅行も勿論楽しいですけど、一人旅をすることで、「ああ、私こんなこと考えているんだなぁ」って気づける面白さも、滅多にない機会ではないでしょうか。

世界に一人しかいない「私」と向き合う一人旅。
修善寺を大好きになると共に、私の事も、ちょっとだけ好きになれた旅でした。


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