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【イラストで考える】「正義は人それぞれ」で終わっていいの?

 「正義は人ぞれぞれだ」とか「『正義』を持ち出すと、人は限りなく残虐になる」とか「正義の敵は、『悪』ではなくて、別な正義」などという言い方は、どこかで聞いたことがあると思います。

 これらは「正義」の概念を相対化させるものだと言えるでしょう。

 確かに「正義」の名のもとにテロや戦争などが行われて大きな犠牲を出すこともあることを思えば、「正義」の概念を持ち出すことに対して警戒したくなるのも無理はありません。

 ただしそれが行きすぎると「しょせん正義なんてものは人それぞれだから、決めようがないんだ」「正義なんか考えても無駄」という思考になります。これは適切なことを言っているように思えますが、言い換えれば結局のところは「だから現状のままでいいんだ」と言っているのと同じことになりかねず、現在の世の中にある問題点から眼をそむけることになるでしょう。

 例えば「『正義』の名のもとに残虐な行為が行われてはいけない」という人は、少なくとも残虐な行為は不正義だと考えているわけです。

 また「正義は人それぞれ」と考えているなら、そう言っている人自身も、当然、何かしらの最低限のラインの「正義」があるはずです。それは自分一人だけのものなのでしょうか。必ずしもそうではないでしょう。

 これは簡単に答えが出る問題ではないでしょうが、「何が正義かなんて決められないんだ」と考えることは、結局は「現状のままでいいんだ」という思考に行き着いてしまいがちであることは、意識しておきたいものです。

よろしければお買い上げいただければ幸いです。面白く参考になる作品をこれからも発表していきたいと思います。